温泉につかるカピバラが科学的に分析されました。

日本の山口大学で行われた研究によれば、カピバラを21日間、湯田温泉につからせたところ、乾燥肌がしっとり肌になり、リラクゼーション効果も確認された、とのこと。

カピバラが温泉好きなのは知られていましたが、皮膚科学的な解明が行われたのは、今回の研究が世界ではじめてとなります。

しかし、いったいどうして研究者たちは温泉の効能調査に、人間ではなくカピバラを選んだのでしょうか?

研究内容の詳細は12月8日に『Scientific Reports』にて公開されています。

目次

湯田温泉がカピバラの皮膚に美肌&美白効果を与えると判明! 山口大学
カピバラのリラックスレベルは目と耳でわかる
温泉は湯冷めしにくいという謎現象がカピバラでも起きていた

湯田温泉がカピバラの皮膚に美肌&美白効果を与えると判明! 山口大学

湯田温泉がカピバラの皮膚に美肌&美白効果を与えていると判明!(山口大学)
(画像=湯田温泉がカピバラの皮膚に美肌&美白効果を与えると判明! 山口大学 / Credit:Canva . ナゾロジー編集部、『ナゾロジー』より引用)

あまり知られていない事実ですが、カピバラの故郷はアマゾン川流域の湿原です。

アマゾンの湿地帯は年間を通して暖かく湿っており、カピバラの皮膚もそのような環境にあわせて進化してきました。

一方で、冬の日本は乾燥しています。

そこで研究者たちが冬のカピバラの皮膚を調べたところ、酷い肌荒れを起こしていることに気付きました。

湿地の暖かく湿った環境に適応したカピバラの皮膚に、日本の冬の乾燥は大きな問題を引き起こしていたのです。

そこで今回、山口大学の研究者たちはカピバラを1日30分、21日間にわたり温泉の湯につけることにしました。

温泉の暖かいお湯は、カピバラの故郷の暖かい湿地を再現するにあたり、最適です。

またカピバラのつかる湯には、アルカリ性で美肌効果があるとされる、湯田温泉から採取されたものが使用されました。

結果、21日後にはカピバラの肌荒れがほぼ完璧に回復していることが判明します。

また皮膚の一部を採取して分析したところ、肌の水分量が増加し、pHは弱アルカリ性に留まっていました。

人間においても、アルカリ性のお湯につかると肌の水分量が増えることが知られていますが、同じ効果がカピバラの肌にもあったようです。

さらに肌の色素沈着の原因となるメラニン値が低下しており、血行状態が改善するという「美白・美肌効果」が発生していることが示されました。

メラニン値が低下した理由は不明なものの、研究者たちは湯田温泉に含まれる何らかの成分がメラニン生成を抑え、結果として肌を白くする効果を与えていると考えられます。

同様の効果が人間にもある場合、湯田温泉に21泊することで、メラニン値を抑えて肌を白くできるかもしれません。

しかしより興味深い結果は、温泉の湯につかっているときのカピバラの精神状態にありました。

今回の研究ではなんと、カピバラの精神状態を定量的に測定することにも成功しています。

温泉につかることで、カピバラの精神にどのような変化が起きていたのでしょうか?