1957年10月、旧ソ連の打ち上げたスプートニク1号が、世界初の人工衛星として歴史に名を刻みました。
星空の間を進むスプートニクに人々は驚嘆し、また、一人のアメリカ人少年の心を奪いました。彼はスプートニクをきっかけにロケット作りに目覚め、ついにはNASAのエンジニアになったのです。
その物語を描いたのが『遠い空の向こうに』(1999)という映画です。
一方で、スプートニク以降、人工衛星の開発競争は世界各地で激化し、今日までに約4000回の打ち上げが行われました。
その結果、地球の低軌道帯には、人工衛星のデブリ(破片)が無数に散らばることになったのです。そのデブリが今、様々な問題を引き起こすとして問題になっています。
デブリが原因で星が探せなくなっている?
人工衛星は故障や衝突により破損・分解し、その断片がデブリとして残ります。大きさは数マイクロメートル〜数メートルと様々です。
大半は大気圏に突入して燃え尽きますが、現在でも4500トンを越えるデブリが地球を取り囲んでいます。
1957年から2015年までのデブリの増加を忠実に再現した動画が、ストラスクライド大学(スコットランド)のスチュアート・グレイ氏により制作されています。
動画を追っていくと、年々物凄い勢いでデブリが増えていくのが分かります。
ここで映っているのは10センチ以上のデブリだけですが、それだけでも約2万個を越えます。10センチ以下のデブリは他に数百万個もあるそうです。
天文学者たちは、増え続けるデブリに懸念を抱いています。
デブリ表面は、太陽光を反射することで、地球に向けた強い直射光を生み出します。この光が恒星の微弱な光よりもはるかに強いので、観測の際の障害になっているのです。
これに対処するため、エンジニアたちは、人工衛星の表面を黒くすることで光の反射を抑えようと試行錯誤しています。しかし、すでにある無数のデブリへの対処無しには解決はしないでしょう。
船外クルーの命が危ない
問題はそれだけではありません。デブリは有人ミッションのクルーをも危険にさらします。
デブリはふわふわと浮かんでいるだけに思えますが、実際は毎秒3〜10キロという高速で移動しています。
もしEVA(船外活動)をしているクルーに当たれば、吹き飛ばされて宇宙で迷子になるか、あるいは命を落とす危険性があります。
その怖さは映画『ゼロ・グラビティ』(2013)にも描かれています。以下の動画は、EVA中のクルーにデブリが衝突するシーンです。
また、デブリは宇宙船や稼働中の人工衛星に衝突し、故障の原因にもなるでしょう。
今や人類のゴミ問題は地球内に留まらず、宇宙にまで及んでいます。スペースデブリ問題を解決せずして、宇宙分野のさらなる発展を進めるべきではないでしょう。
提供元・ナゾロジー
【関連記事】
・ウミウシに「セルフ斬首と胴体再生」の新行動を発見 生首から心臓まで再生できる(日本)
・人間に必要な「1日の水分量」は、他の霊長類の半分だと判明! 森からの脱出に成功した要因か
・深海の微生物は「自然に起こる水分解」からエネルギーを得ていた?! エイリアン発見につながる研究結果
・「生体工学網膜」が失明治療に革命を起こす?
・人工培養脳を「乳児の脳」まで生育することに成功