最近、アメリカの株式市場で話題になった EV(電気自動車)メーカーがある。11月10日にナスダック市場に上場した「Rivian(リヴィアン)」だ。上場後に株価が急騰し、GMを上回る時価総額に。今回は、変わりゆく自動車メーカーの時価総額ランキングを紹介する。
世界の自動車メーカーの時価総額ランキングTOP20
早速、世界の自動車メーカーの時価総額ランキングを紹介しよう。参照したのは、2021年11月26日の終値ベースで計算した時価総額だ。ちなみに、時価総額は株価に発行株数を乗じることで算出できる。
順位 | 自動車メーカー | 国 | 時価総額 |
1位 | Tesla(テスラ) | アメリカ | 1兆860億ド |
2位 | Toyota(トヨタ自動車) | 日本 | 2,491億ドル |
3位 | BYD(比亜迪) | 中国 | 1,332億ドル |
4位 | Volkswagen(VW) | ドイツ | 1,230億ドル |
5位 | Daimler(ダイムラー) | ドイツ | 999億ドル |
6位 | Rivian(リヴィアン) | アメリカ | 990億ドル |
7位 | General Motors(GM) | アメリカ | 873億ドル |
8位 | Lucid Motors(ルシード) | アメリカ | 851億ドル |
9位 | Ford(フォード) | アメリカ | 789億ドル |
10位 | Great Wall Motors | 中国 | 700億ドル |
11位 | Ferrari(フェラーリ) | イタリア | 646億ドル |
12位 | NIO(ニオ) | 中国 | 636億ドル |
13位 | BMW | ドイツ | 624億ドル |
14位 | Stellantis(ステランティス) | オランダ | 556億ドル |
15位 | Honda(ホンダ) | 日本 | 481億ドル |
16位 | Xpeng(シャオペン) | 中国 | 437億ドル |
17位 | Hyundai(ヒュンダイ) | 韓国 | 392億ドル |
18位 | SAIC Motor(上海汽車集団) | 中国 | 368億ドル |
19位 | Li Auto(リー・オート) | 中国 | 334億ドル |
20位 | Geely(浙江吉利控股集団) | 中国 | 311億ドル |
時価総額1位はイーロン・マスク氏率いる米EV大手テスラ
世界の時価総額ランキングで1位になったのは、米EV大手のテスラだ。イーロン・マスクCEO(最高経営責任者)が率いるテスラは、2020年の通期決算で初の黒字を計上し、破竹の勢いで販売台数を伸ばしている。
ただし、販売台数では時価総額が2位のトヨタに及ばない。それでも時価総額がトヨタを上回っているのは、将来に対する期待感から投資家の買いが集まり、株価が急上昇しているからだ。
テスラ株の高騰は投資家の「EV」に対する投資意欲をかきたて、冒頭に触れたIPO(新規株式公開)したばかりのリヴィアンの株価が急騰した。その後株価は下落したが、それでも時価総額はGMやフォードを上回っている。
EV投資の過熱感が引き起こしたリヴィアン株の高騰
リヴィアンについてまだよく知らない人は、リヴィアンが生産しているEVはごくわずかであるという事実を知ってほしい。GMやフォードに比べると売上はすずめの涙ほどしかないが、株価はこの2社よりも高い。
その理由の一つにEV投資の過熱感があるが、Amazonから配送用のEVバン10万台の発注を受けていることも大きい。ネット通販世界最大手のAmazonの「お気に入り」になれれば、今後も安定的に大きい売上を見込める。
このような要因が重なり、リヴィアンの株価はIPO直後に急騰したわけだ。その後は一時的に株価が急落したが、今後株価がどのように推移していくのか、多くの個人投資家が注目している。
自動車市場・EVベンチャーの今後は?
時価総額ランキングではトヨタが2位に甘んじているが、EVメーカーへの注目度の高まりとともに、トヨタの順位がさらに下がる可能性はあるのだろうか。
結果はトヨタ次第としか言いようがないが、トヨタが2021年10月末に初の量産電気自動車「bZ4X」の仕様を発表したことや、「脱炭素」に対する取り組みを強化していることを考えると、トヨタの順位が今後急速に下がることは考えにくい。
しかもリヴィアンなどの新興EVメーカーの株式は、現在は期待感だけで機関投資家や個人投資家に買われているだけであり、量産や黒字化に失敗すれば株価は暴落する可能性が高い。
中国のバイトンなど、すでに倒産したEVメーカーもある。今後も、多くのEVベンチャーが誕生しては消えていくだろう。EVメーカーに投資する際は、このようなことも念頭に置いておきたい 。
国内・海外の有名メディアでのジャーナリスト経験を経て、現在は国内外の政治・経済・社会などさまざまなジャンルで多数の解説記事やコラムを執筆。金融専門メディアへの寄稿やニュースメディアのコンサルティングも手掛ける。
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