現在、世界の9億人以上が無呼吸症候群だと言われています。
多くの場合、無呼吸症候群といびきはセットであり、大きないびきは寝室を共にする人を困らせてしまうものですね。
このように、いびきの悩みは世界共通です。では宇宙でも共通ですか?
NASA医療担当官であるJ.D.ポーク博士は、「宇宙飛行士もいびきをかくのか?」という疑問に答えています。
いびきの仕組み
いびきは喉と軟口蓋(なんこうがい)周辺から聞こえてきます。軟口蓋は口の奥の柔らかい部分であり、口蓋垂(こうがいすい:通称のどちんこ)もこれに含まれます。
起きている時には筋肉によって軟口蓋や口蓋垂が支えられているので、気道が十分確保された状態を維持できます。
しかし、寝ている時には筋肉の弛緩と重力により、軟口蓋と口蓋垂が垂れ下がってしまい気道が狭くなってしまうのです。
そして気道が狭い状態で空気が流れることにより空気抵抗が大きくなります。この空気抵抗によって粘膜が振動しノイズが生じるのです。
また、首のまわりに多くの脂肪や筋肉がついているなら、それらの重量がより気道を狭くしていびきを誘発します。
このようにいびきには重力が大きく関係しているわけですが、重力が少ない宇宙空間でもいびきをかいてしまうのでしょうか?
宇宙飛行士はいびきをかくの?
ポーク博士はABCニュースに、「地球のいびきは、重力が舌と口内後部の軟組織を後方に引っ張る時に発生します。微小重力下では舌と顎が喉の中で後ろに下がらないので、気道閉塞が少ない」と語っています。
つまり、宇宙空間では重力による影響が少ないため、宇宙飛行士はいびきをほとんどかかなくなるのです。
また、2009年、当時NASA宇宙飛行士だったマイク・マッシミーノ氏も、自身のいびきについて語っています。
彼は日ごろからいびきをかいていたようですが、宇宙の法則といびきの原因をよく知っていたため、宇宙へのフライト前に同僚に対して「このフライトではいびきをかかない」と約束できました。
わたしたちも宇宙空間でなら、いびきの悩みとは無縁の生活を送れることでしょう。
しかし世界の9億人が宇宙飛行士になるよりは、地球上で治療することの方がはるかに現実的だと言えますね。
Radditでは「眠っているお父さんを宇宙に打ち上げよう」なんてブラックジョークが飛び出しています。
もしパートナーをいびきで悩ませているなら、こんなジョークを言われる前に近くの病院で相談してくださいね。
reference: medicaldaily
提供元・ナゾロジー
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