編集者になるには?
それでは、いよいよ編集者になるための方法について具体的にみていきましょう。一般的に、編集者といえば出版社に就職することを考える方が多いですが、その他の方法で編集者になることも可能です。
編集者になる方法
編集者を目指す方にとっての最大の目標は、出版社に就職することでしょう。しかし、大手出版社の採用倍率は非常に高く、有名大学からの採用が多いのが現状です。編集者として採用される際には、何か得意なことや専門知識があると採用されやすくなります。
もう一つの選択肢は、編集プロダクションで働くことです。編集プロダクションは、出版社の下請け会社で、主に出版社から割り当てられた書籍や特定の記事を制作します。出版社よりも就職しやすいですが、新卒での採用は少なく、アルバイトや中途採用が多いです。
出版社への就職と同様に、専門分野の知識があると有利な場合があります。アルバイトからスタートする方もいます。出版社や編集プロダクションは人材の入れ替わりが激しいのが特徴で、アルバイトの募集も多い傾向があります。
また、自分の仕事が評価されれば、出版社をはじめとする大手編集プロダクションからスカウトされることもあります。この業界では、正社員でもアルバイトでも実務経験があると有利なので、飛び込んでみるのも一つの方法です。
もうひとつの方法は、フリーランスの編集者になることです。出版社や編集プロダクションに入社して経験を積み、退社後にフリーランスになるのが一般的な流れです。出版業界に入ると、経験を積むのは当然ですが、いろいろな人と知り合い、人脈を作ることができます。
この業界は意外と狭い世界なので、人脈を広げておけば、仕事をしているうちに思いがけない人とつながり、新しい仕事が舞い込んでくることもあります。
編集者に求められるスキル
編集者は、出版のほぼすべての工程に関わるため、求められるスキルも多岐にわたります。その一例が「企画力」です。きちんとマーケティングを行い、読者が何を求めているのかを踏まえた上で企画することが大切です。売れる(読まれる)企画を立てるためには、高いレベルの情報収集力が必要です。
そして、企画された内容が望ましい形になるように、キャスティングや品質管理などの「演出」を行います。「品質管理」では、専門家やライターに依頼した原稿が、正しく読みやすく完成しているかどうかを確認することも重要な仕事です。
経験豊富なライターでも誤字・脱字がゼロとは限りませんし、専門家の原稿でもミスが出る場合があります。予算があれば、別途「校正」を依頼することで誤字・脱字を防ぐことができますが、品質そのものは編集者が自分の目で確認することが求められます。
希望する媒体の編集者になれる?
出版事業を支える部署は、広告部、営業部、販売部、出版企画部、Webメディア部など多岐にわたります。そのため、新卒者はこれらの部署にジョブローテーションで配属され、さまざまな業務を経験することになります。
入社して何年も編集部に配属されないことに落ち込む方もいますが、広告営業部から適任と判断されて編集部に異動する例も多いので、タイミングを見計らって異動希望を出してみましょう。
別の部署で経験を積み、出版ビジネスの基本を理解した上で編集者になれば、自然と将来の活躍の場が広がっていくはずです。本や雑誌、マンガを作りたいという気持ちはあっても、会社は組織ですから、ポストがなければ配属されません。
限られたチャンスを生かすためには、日頃からなりたい自分をイメージして、頭の中にたくさんの引き出しを作っておくことが大切です。
編集者の平均年収や将来性は?
最後に、編集者の需要やこれから先の将来性について解説します。編集者の仕事に就くかどうかを迷っている方は、ぜひ職種を決める際の参考にしてください。
編集者の平均年収
編集者(ライター、制作、校正を含む)の平均年収は、20代で368万円、30代で496万円となっています。ただし、大手出版社などでは、30代で年収が1,000万円を超えるケースもあり、入社する会社の規模によって大きく異なります。
編集者の需要
大手出版社では主に新卒採用を行っています。基本的には毎年定期採用を行っていますが、会社の状況によっては採用を行わない場合もあります。
もともと出版業界は人気のある職場なので、熱意のある学生が多く集まりますが、採用人数は決して多くありません。倍率が数十倍、数百倍になることも珍しくないため、厳しい試験を突破するための対策が必要になるのです。
編集プロダクションの場合、毎年コンスタントに採用が行われるという保証はありません。求人があっても編集以外の職種の場合もあるので、適切な時期に適切な仕事を見つけられるかどうかは運にも左右されます。
また、編集プロダクションでは、編集アシスタントのアルバイトが多く募集されています。ただし、激務ですぐに辞めてしまう人も多いので、アルバイトから始めて正社員になるには覚悟が必要です。
編集者の将来性
出版業界全体では、書籍や雑誌の販売部数が伸び悩んでいると言われています。インターネットの普及により、人々が情報を得るためのツールがパソコンやスマートフォンに移ったことも大きな理由のひとつです。
しかし、Webメディアサイトやメールマガジンを企画・運営したり、電子書籍や電子コミック、雑誌の電子版に力を入れたりと、Webの世界でも編集者の活躍の場はたくさんあります。
紙への愛着が強い編集者も多いと思いますが、仕事の可能性を広げるためにも、媒体を問わず柔軟な発想で編集の仕事を考える時代になってきています。