日常生活を過ごす中で、サステナブル(Sustainable)という言葉をよく耳にするようになりました。サステナブルは「持続可能」という意味が含まれる単語のことであり、環境や社会への配慮を表す言葉として、ビジネス上で扱われます。しかし、これらのサステナブルがなぜ注目されているのか、どのようにビジネスに活かされているのか具体的に分からない方は多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、サステナブルの概要やサステナブル消費について解説するとともに、社会でサステナブルな暮らしが求められている理由をお伝えします。サステナブルと深い関係のある「SDGs」とマーケティングの活動事例も解説しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
サステナブル(Sustainable)の意味とは?
サステナブルとは本来、持続可能という意味の英単語「Sustainable」のことで、現在ではそれに加えて開発を表す「Development」の意味も含めて使われることが多い言葉です。日本では、2016年〜2017年頃から多く使われ始め、「サスティナブル」と表現することもあります。
世界では、1987年に開かれた国連の「環境と開発に関する委員会」の報告書で、持続可能な開発目標のために初めてサステナブルという言葉が使われました。人々の活動が自然環境に与える影響は計り知れないため、環境と社会への配慮を欠かすことなく、持続的にあらゆるものを開発するための考え方がサステナブルになります。
サステナブル消費とは?
先程、サステナブルの意味を解説しました。サステナブルに関連する言葉として、サステナブル消費が挙げられます。消費とは、我々の日常生活に関するあらゆる物品や資源を使用することであり、サステナブル消費の代表例としては下記のとおりです。
関連記事:SDGsに関する取り組みを知った企業の商品・サービス購入経験は2割「2020年度 ESG/SDGsに関する意識調査」(企業広報戦略研究所調べ)
・ サステナブルファッション
・ サステナブルフード
・ サステナブル住宅
それぞれ順番に見ていきましょう。
サステナブルファッション
サステナブルファッションとは、下記2つの要件を満たしたファッションのことを指します。
・ 製品を作る過程・完成した製品はすべて環境に配慮する
・ 上記の過程に関わる方たちの安全に配慮する
たとえば、動物に由来する素材を避けたものを商品化したり、リサイクル素材やデッドストックを活用し、環境に配慮したりすることがサステナブルファッションとして挙げられます。
また、サステナブルファッションは作る側の人間のみならず、衣服として身につける側の人間にも当てはまります。端的に言えば「良い衣服を、長く着続ける」ことが消費者として行えるサステナブルファッションへの貢献になります。従来までの洋服を何度も買い変え続ける価値観ではなく、環境に配慮された良い素材の衣服を着続けることが大切であるという価値観に変化してきています。
サステナブルフード
サステナブルフードには、下記のような複数の意味が込められています。
・ 食品のロスをできる限りなくす
・ 海産物を持続可能な方法で獲る
・ 野菜中心で食事を摂取する
環境面においては、特に食品のロスをできる限り減らすことが注目されています。食品のロスが多くなってしまうと、それらにまつわる海産物や動物の乱獲につながり、ゴミが必要以上に増えることになります。そして、それらを処理するためのエネルギーも必要です。
海産物を持続可能な方法で獲るというのは、言葉のとおり養殖での水産資源や、持続可能な漁業での水産資源のことを指します。また、それらの食材を使用して作られた料理を指すこともあります。
最後の野菜中心の食事に関しては、ヴィーガンやベジタリアンといった価値観を示しているのではなく、あくまで動物性たんぱく質の摂取は最小限に留めようという考え方です。
上記の中でも、食品のロスの軽減や野菜中心の食事は、日常生活の中で今すぐにでも取り組める方法の1つです。そのため、常に意識する必要はないかもしれませんが、できる限りサステナブルフードを日常生活の中に取り入れることも重要です。
サステナブル住宅
日本建設業連合会では、サステナブル住宅(建築)に関して下記のように定めています。
・ 省エネルギー・省資源・リサイクル・有害物質の排出を抑制すること
・ 気候、伝統、文化と調和すること
・ 生活の質を適度に向上させていく建築物を構築すること
これらは、住宅の設計・構築・運用に関する過程において示されています。たとえば、夏の日射遮断や自然風の利用、冬の日射熱等を利用して、電力消費の多い空調に頼らない空間を実現させることが挙げられます。空調は使用するエネルギー量が多いため、環境への悪影響を与えている1つの要因として懸念されています。他にも、太陽光発電を利用したシステムもサステナブル住宅の一環だと言えるでしょう。
社会でサステナブルな暮らしが求められている理由
ここまで、サステナブルの概要や、サステナブル消費に関して解説をしてきました。ここからは、社会でサステナブルな暮らしが求められている下記3つの理由についてご説明します。
・ 生物の多様性の損失
・ 環境(気候)変動
・ 窒素の化学的循環
それぞれ順番に見ていきましょう。
生物の多様性の損失
世界中の人間活動が原因で、多くの生物の多様性が損失しています。実際、多くの生物が絶滅に追い込まれつつある状況です。、IUCNのレッドリストによると、絶滅してしまう恐れのある動植物は38,500種を超えると言われています。
環境(気候)変動
環境や気候変動の代表例は地球温暖化です。IPCC第5次評価報告書によると、1986年〜2015年までの平均気温と昨今を比較すると、海上と陸を合わせて0.85℃上昇していることが分かっています。また、これらの平均気温は今後も上がり続けていくだろうと予測されています。
窒素の化学的循環
化学肥料や化学燃料を使用しての農作物栽培や生産によって、大量の窒素化合物が自然界に放出されています。これらの窒素化合物は、川や地下水を経て形を変えながら海へと流出され、地下水の汚染を引き起こすが分かっています。また、これらの窒素化合物が、上述した地球温暖化の要因の1つであるとも言われています。
サステナブルな社会を実現するためのSDGs
ここまで、サステナブルの概要などを解説してきましたが、サステナブルはSDGsと深く関係しています。SDGsとは「Sustainable Development Goals」の略語で、世界全体で2030年までに持続可能でより良い世界を目指すための開発目標のことです。SDGsは発展途上国から先進国まで参加するすべての国が対象であり、合計17個の目標が立てられています。
・ 貧困をなくそう
・ 飢餓をゼロに
・ すべての人に健康と福祉を
・ 質の高い教育をみんなに
・ ジェンダー平等を実現しよう
・ 安全な水とトイレを世界中に
・ エネルギーをみんなにそしてクリーンに
・ 働きがいも経済成長も
・ 産業と技術革新の基礎をつくろう
・ 人や国の不平等をなくそう
・ 住み続けられるまちづくりを
・ つくる責任つかう責任
・ 気候変動に具体的な対策を
・ 海の豊かさを守ろう
・ 陸の豊かさも守ろう
・ 平和と公平をすべての人に
・ パートナーシップで目標を達成しよう
これらは国や政府が主導で動いているアジェンダではありますが、民間でも取り組みを見せている企業があります。日本人にも関係する目標がいくつもあるため、日常生活の中で意識して取り組むことが大切です。ビジネスにおいては、SDGsの目標を達成するために企業が取り組む手段として捉えられる「ESG」(環境:Environment/社会:Social/ガバナンス:Governanceの3要素の頭文字を取った言葉)もセットで理解しておきましょう。
SDGsの視点を踏まえたマーケティング活動事例
先ほど、SDGsの概要を解説しました。ここからは、SDGsの視点を踏まえたマーケティングの活動事例を2つご紹介します。
・ 持続可能なエネルギーの利用
・ Allbirds
それぞれ順番に見ていきましょう。
持続可能なエネルギーの利用
持続可能なエネルギーとは、風力、太陽光、バイオマスなどが挙げられます。現在の日本の主なエネルギー源の1つである天然ガスや石油、石炭などは資源に限りがあります。そのため、いつまで使えるのか分からないという問題が現実味を帯びてきています。
そこで注目されているのが、持続可能なエネルギーである太陽光や風力・水力などです。日本国内でも少しずつ取り扱う企業が増えており、そういった企業を選ぶことがSDGsやサステナブルを実現することにも繋がるでしょう。
Allbirds
Allbirdsは、アメリカのカリフォルニアで生まれたフットウェアのブランドです。天然素材のメリノウールを製品に使用しており、カーボンフットプリントも少なくなっています。Allbirdsは2016年創業の企業であるものの、企業価値は1,700億円を超える巨大企業に成長しています。
まとめ
本記事では、サステナブルの概要やサステナブル消費、SDGsについて解説をしてきました。サステナブルとは、持続可能な開発目標のことを指し、SDGsとの深い関係性があります。サステナブルな社会を実現するためにはSDGsの存在が欠かせないため、どのような内容が含まれているのかを理解することが大切です。
まずは、日常生活の中で食品ロスを減らし、良い衣服を長く着続ける等のできることから始めてみてはいかがでしょうか。
提供元・MarkeTRUNK
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