兄弟間でイジメにあうと精神病にかかりやすくなるという研究が発表
(画像=patakuso、『ナゾロジー』より引用)

学校や家庭環境、様々な場所で起こり得る「いじめ」ですが、兄弟にいじめられた経験があると、将来精神疾患症状に苦しむ可能性が3倍も高まるという研究結果が発表されました。

Sibling bullying in middle childhood and psychotic disorder at 18 years: a prospective cohort study

イギリスのウォーリック大学は同国の子供3600人を対象に、「12歳時のいじめの経験」と、「18歳時の精神状態」についてアンケート調査を実施。「いじめ」とはつまり、汚いことや感情を傷つけつことを言ったり、蹴ったり、押したり、嘘をついたりする行為のことを指します。

今回の研究で調べた10代のうち、664人が家庭内での兄弟によるいじめの被害者であり、486人が加害者でした。そして、771人は被害者でも加害者でもありました。そしていじめに関わったとされる子どもたちが18歳になった時、55人が精神障害を発症しています。つまり、子どもたちは兄弟間のいじめに関わるほど精神障害を引き起こすく、その中でも、いじめの「被害者」である子供たちの発症リスクが最も高いということがわかりました。

兄弟間でイジメにあうと精神病にかかりやすくなるという研究が発表
(画像=Pixabay、『ナゾロジー』より引用)

兄弟から1週間、あるいは1ヶ月に数回程度いじめを受ける子どもたちは、他の子どもたちと比べて統合失調症のような精神病にかかる可能性が2倍から3倍高くなりました。さらに家と学校の両方でいじめに合う子供たちの場合、その可能性が4倍にもなるのです。

この研究が掲載されたPsychological Medicine内では、子供時代のトラウマは脳に恒久的な「認識の脆弱性」を生み出し、ストレスに対する感受性を高めると説明されています。

よって家庭でいじめられた子どもは友達にもいじめられることが多く、さらに感情を押し殺したり制限したりしてしまうのです。

家庭でいじめられるということは、苦痛から逃れられる「安全地帯」がないということを意味します。そのような地獄に子どもたちを放りこまずにすむように、また子どもたちが大人になった時精神病で苦しまなくてすむように、家庭内で居場所を作ってあげるのが親の役割なのかもしれません。

via: Mail Online/ translated & text by Nazology staff

最終更新日:2021.01.28 THURSDAY

公開日:2018.02.15 THURSDAY

提供元・ナゾロジー

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