ボクシングやアメフトなどの、競技者同士が力いっぱいぶつかり合うフルコンタクトスポーツでは、毎回脳に強い衝撃が加わります。
新しい研究では、アメリカ・ボストン大学(Boston University)アルツハイマー病研究センターに所属するマイケル・アロスコ氏ら研究チームが、脳をMRIで見えたときの白い斑点が、アルツハイマー病に関連していると発表しました。
特にフルコンタクトスポーツの選手はこの傾向が大きく、アルツハイマー病のリスクは3倍だと判明したそう。
研究の詳細は、11月24日付の科学誌『Neurology』に掲載されています。
加齢によって進行する「大脳白質病変」
MRIスキャンで判明する脳の症状の1つに「大脳白質病変(英訳:white matter hyperintensities)」があります。
これは脳のMRI画像では白い斑点となって表れます。
症状が進行するにつれて白い部分は大きくなり、複数のかたまりになったり、脳の大部分に広がったりすることもあります。
そして、この白い斑点は脳の毛細血管に血液が流れないことで変異した部分だと考えられています。
大脳白質病変は加齢とともに自然と進行していくのですが、高血圧により過度な進行が見られる場合もあるようです。
また脳梗塞の原因になることも知られており、若い人でも進行度によっては経過観察が必要となります。
さて、主に加齢や高血圧との関連が明らかになってきた大脳白質病変ですが、他の病気との関連はあるのでしょうか?
また脳の状態やダメージによって、大脳白質病変が進行しやすい場合があるのでしょうか?
今回の研究では、特にボクサーやアメフト選手など、「繰り返し脳に衝撃を受けてきた人」との関連性が調べられました。