詳しくは後述しますが、Uチップほど生産されているお国柄の違いがでるデザインもないのではと思っています。大別するならば、英国系、フランス系、アメリカ系。この3タイプに分けることが出来そうです。その理由を調べてみると、それぞれの成り立ちに違いを見つけることが出来ました。
そうした系譜を知れば知るほど、男の嗜みとしてこの3タイプの必要性に納得がいくはずです。国別にブランドを整理し、代表的なUチップを見比べてください。既にいずれかお持ちの方であれば、次はどのタイプにするのか。また初めての相棒を探している方にも、参考になるはずです。
目次
U チップとは略称、正式名称は国よって異なります。
・英国ではカントリーシューズという位置づけ
・フランスでは狩猟靴として誕生しました。
・アメリカではゴルフシューズとして広がりました。
U チップとは略称、正式名称は国よって異なります。
Uチップと呼ばれる所以は、その形状・デザインにある事は容易に想像できます。トゥ部分を一文字に切り返しやメダリオンでアクセントを施したものがストレートチップと呼ばれるように、甲部分の縫い模様をしてその呼称が授けられました。足入れし、上から覗くと他のデザインでは得れない存在感を感じることが出来ます
英国ではカントリーシューズという位置づけ
イギリスでは「エプロン・フロント・ダービー」または「ノルウィージャン・ダービー」などと呼ばれています。1930年前後にカントリーシューズとしてスタイルの原型が完成します。つまり働く靴として誕生し、各ブランドがそれぞれの意匠を加えながら進化していきます。
他国の同デザインにはあまり見られない特徴が、つま先のセンターシームです。このひと手間を加えることでU 字部分のカーブを深くすることにでき、シャープな表情を作り出すことに繋がりました。ブランドによってはコバ部分の張り出しを狭くすことで、さらにドレッシーな印象を足すことに成功しています。
その代表格がエドワードグリーンのDoverですが、詳細は商品紹介で。
フランスでは狩猟靴として誕生しました。
フランスでは狩猟を意味する「シャッス(Chasse)」などと呼ばれています。英語ではChase(チェイス=追跡・追いかける)となります。U字を構成するモカシン縫いの位置を高く、他国のものよりつま先部分が丸く、愛らしい印象を残しています。
トウ部分のセンターシームは無いものも多く、デザインよりも実用性を重んじたためだと思われます。パラブーツのシャンボートはその代表ですが、ラバーソールを装着することで歩行性をより高めました。JMウェストンのゴルフも同様に、その汎用性の高さから大戦以降、街にも一気に広がりました。
アメリカではゴルフシューズとして広がりました。
現在ではゴルフシューズと言えばスニーカータイプが主流ですが、20年ほど前まではストレートチップやウイングチップが当たり前でした。当時はスポーツメーカー(ナイキやアディダス)ではなく、フットジョイやジョンストン&マーフィなどのシューズブランドがゴルフシューズも製造していました。
イギリスで誕生したゴルフは、クラス(階級)に基づいたルールが重んじられるスポーツです。しかしアメリカではルールは尊重されるものの、よりスポーツとしての側面が取り上げられてきました。動きやすい服装が主流になり、そうした流れに沿って、運動する靴=動きやすいUチップが浸透して行ったのかも知れません。そしてスポーティなフォルムはグリーン以外にも広がっていったようです。
しかしアメリカ固有の呼称は見つかりませんでした。