point
脳障害や身体麻痺した人の意思が分かる脳内スキャナーが開発される
患者は脳内スキャナーを使用して、医師の質問に「はい / いいえ」のどちらかで返答できる
人が重度の脳障害や身体麻痺を負うと、コミュニケーションが取れなくなります。ずっと寝たきりで、意識の有無さえ判断できない場合もあるでしょう。
そのような場合、家族や医師は今後の治療方針を決定しづらいと感じるでしょう。
また、障害を負った本人も、延命治療についての自分の願いを伝えることができません。
このようなケースに対処するため、カナダの西オンタリオ大学のエイドリアン・M・オーウェン氏は、コミュニケーションが一切取れない人の意思を確認できる脳内スキャナーを開発しました。
この装置によって、患者は「はい / いいえ」の2択で、自分の意思を伝えることができます。
研究の詳細は2月18日「Frontiers in Neuroscience」に掲載されました。
Assessing Time-Resolved fNIRS for Brain-Computer Interface Applications of Mental Communication
脳内スキャナーは脳活動をキャッチする
オーウェン氏は、寝たきりでコミュニケーションの取れない患者たちの幾人かは意識を保っていることに気付いていました。
そして、彼らの脳活動をスキャンすることによって、その意思を確認する方法を考案しました。
新しく開発された技術は、患者がベッドに寝たままでも使用可能です。頭にヘッドセットを装着するだけで脳内をスキャンできます。
脳内スキャナーには、「NIRS脳計測装置」が利用されています。これは、近赤外線を利用した装置です。
近赤外線は頭皮と頭蓋骨を浸透して、脳に届きます。そして、その反射光を頭皮上で測定することで、脳活動を視覚化できます。
この方法は、脳内情報のごく一部しか視覚化できませんが、患者が脳内で思い浮かべたイメージをキャッチすることはできます。
この装置を応用するなら、「患者の脳内イメージの有無によって、意思を確かめる」ことが可能になります。