オーストラリア固有種の「コトドリ(学名:Menura novaehollandiae)」による衝撃の声マネが披露されました。

シドニーのタロンガ動物園(Taronga Zoo)で飼育されている「エコー(Echo)」という7歳のオスが、人の赤ちゃんの泣き声を完璧に真似してみせたのです。

コトドリは動物界一の声マネの名手であり、これまでにカメラのシャッター音やチェーンソーの音を真似する様子が確認されていました。

しかし、人の声を真似るのはかなり珍しいとのこと。

”似ている”という域をはるかに超えた驚異の声マネをご覧ください。

目次

  1. 再現率100%!恐るべき声マネのテクニック

再現率100%!恐るべき声マネのテクニック

実際に撮影されたエコーの声マネがこちら。

偽造かどうかを疑ってしまうレベルですが、これはエコーが本当に発している鳴き声です。

鳥類部門の責任者であるリアン・ゴレビオウスキー(Leanne Golebiowski)氏によれば、エコーが赤ちゃんの泣きマネを始めたのは1年ほど前とのこと。

「おそらく、その時期に来園中の赤ちゃんの泣き声を聞いて、ひそかに習得したのでしょう」と話します。

タロンガ動物園は現在、コロナパンデミックの影響で閉鎖されており、エコーはロックダウン中に泣きマネを自分のものにしたのでしょう。

また、エコーはこの期間中に、新たに2つの音を覚えたという。

1つは電動ドリルの音で、もう1つは火災報知器の音です。ゴレビオウスキー氏は「”今すぐ避難してください(evacuate now)”というアナウンスまで覚えてしまっている」と言います。

コトドリは機械音をよく真似することで知られていますが、人の声を真似るのは非常に稀です。

その一方で、なぜこれほど精密な声マネができるのかは分かっていません。

興味深いことに、コトドリの声帯は、他の鳴き鳥に比べて非常にシンプルです

鳴き鳥のように4対の筋肉ではなく、3対の筋肉で構成されており、比較的原始的なものと考えられています。

こちらは2007年に公開された映像で、南オーストラリアのアデレード動物園(Adelaide Zoo)で飼育されていた「チューク(Chook)」というコトドリの声マネです。

動画内では、生息地を共にする他の鳥類のさまざまな声や、カメラのシャッター音、チェーンソー、サイレン音などを披露しています。

案内役を務めるイギリスの著名な動物学者のデビッド・アッテンボロー氏は「コトドリの歌は、あらゆる鳥類の中で最も複雑かつ精巧で、最も美しい」と評しています。

オスもメスも1年中鳴いていますが、オスは冬の繁殖期に多く鳴くことから「求愛」**に関連しており、メスは天敵の鳴き声をよく真似ることから「防衛」に関連している**と考えられています。

また、最近の研究では、オスが「敵発見、危ないぞ、逃げろ!」という偽の鳴き声を発して、メスをおびき寄せ、交尾成功率を高めていることが判明しました。

このように、コトドリの声マネの用途は多岐にわたり、目的も生息環境や性別によって異なります。

今回観察されたエコーの泣きマネは、もしかしたら「早く元気な赤ちゃんの声を聞きたい」という気持ちの表れなのかもしれません。

参考文献

A Bird in an Australian Zoo Has Learned to Perfectly Mimic a Crying Human Baby

Taronga zoo lyrebird perfectly mimics the ear-splitting wail of a crying baby

提供元・ナゾロジー

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