軍隊、医療、交通に関連する仕事は集中力を要する業務であり、睡眠不足や疲労が重大な影響を与えます。

コーヒーやエナジードリンクによるカフェイン摂取は一時的な覚醒をもたらしますが、摂取すればするほどその効果は薄れていきます。

そこで、アメリカ・オハイオ州の防衛技術会社Infoscitexに所属する心理学者リンジー・マッキンタイア氏ら研究チームは、睡眠不足でも集中力を向上させる別の方法を見つけました。

市販の機器で首を電気刺激するなら、カフェインよりも高い効果を生み出せるというのです。

研究の詳細は、6月10日付の科学誌『Communications Biology』に掲載されました。

眠気には青斑核(せいはんかく)の刺激が効果的

首を電気刺激することで脳を活性化させるデバイス登場
経頭蓋直流電気刺激 / Credit:Yokoi and Sumiyoshi_Transcranial direct-current stimulation(Wikipedia)(画像=『ナゾロジー』より 引用)

これまでの研究により、経頭蓋直流電気刺激(英訳:Transcranial direct-current stimulation)と呼ばれる療法が、睡眠不足の人を覚醒させると分かっています。

これは頭部に特殊な装置を巻き、外側から脳に電流刺激を与えるというもの。

そしてこの覚醒効果は、脳の青斑核(せいはんかく)と呼ばれる領域を刺激することで得られていると考えられています。

脳に電極を直接刺す必要はありませんが、それでも個人が容易に行える方法ではありません。

カフェイン摂取の方がやはり現実的なのです。

そこで研究チームは、より簡単に青斑核を刺激できる方法を探すことにしました。