ふるさと納税をするなら、なるべくお得な返礼品を受け取りたい人は多いでしょう。何をもってお得とするかは一概に言えませんが、ひとつの目安となるのが「還元率」です。今回は還元率を基準に、お得な返礼品をランキングにしてご紹介します。どの返礼品を選ぶか迷っている人は、ぜひ参考にしてください。

ふるさと納税の「還元率」とは?計算方法も紹介

ふるさと納税の返礼品における「お得さ」をはかるための還元率について、計算方法とともに解説します。

ふるさと納税返礼品の還元率とは

ふるさと納税の還元率とは、寄附金額に対する返礼品の価格の割合のことです。返礼(へんれい)率、あるいは返礼割合ともいいます。

還元率(%)=(返礼品の価格(販売価格)÷寄附金額)×100

たとえば、1万円を寄附して販売価格3000円のお米を受け取った場合、還元率は30%です。

販売価格3,000円÷寄附金額1万円×100=30%

ふるさと納税返礼品における「お得さ」とは

ふるさと納税の返礼品は、2019年6月の法改正により、その調達額が寄附金額の3割以下でなければならないと法律で定められました。ここでの調達額とは、自治体が返礼品を調達するために実際に支払った金額をいいます。

出典: 総務省『ふるさと納税ポータルサイト』

そうなると還元率は3割以下となりそうです。しかし、実際には還元率3割を超える返礼品も多くあります。この理由は、自治体が独自のルートなどから、一般消費者が購入するよりも安く返礼品を調達できるケースがあるからです。

よりお得な返礼品を受け取りたい人は、還元率3割を超える返礼品が狙い目といえるでしょう。

このように還元率は「お得さ」を測る目安になります。しかし、いくら還元率が高くても、欲しくないものを選んでは本当にお得とはいえません。まずは自分が欲しいものを優先して選びましょう。

欲しいものがはっきり決まっていなかったり、返礼品選びに迷ったりしたときは、還元率が役立ちます。還元率の高さで商品を絞り込めば、欲しい商品が見つけやすくなるでしょう。

【ふるさと納税サイト別】返礼品の還元率ランキング

ふるさと納税は、民間のふるさと納税サイトを利用して申し込むのが一般的です。

ここでは、利用者の多い5つのふるさと納税サイトについて、その特徴とおすすめポイント、各サイトが取り扱う返礼品の還元率ランキングをご紹介します。

「楽天ふるさと納税」の特徴とおすすめポイント

楽天ふるさと納税は、ECサイト「楽天市場」が提供するふるさと納税サービスです。

出典:楽天ふるさと納税

楽天会員であれば楽天IDを使って、楽天市場で買い物をするのと同じように返礼品を選び、ふるさと納税ができます。申し込みに必要な名前や住所などの情報が自動入力されるのは便利です。

ふるさと納税の寄附で楽天ポイントが貯まるのも大きなメリットです。通常は寄附金額100円につき1ポイントですが、支払いに楽天カードを使ったり、他の楽天サービスを利用して一定の条件を満せしたりすればポイント付与率がアップします。

出典: 楽天ふるさと納税『楽天市場でふるさと納税』

ふるさと納税はいつでもできるので、ポイント付与率が大幅にアップする「楽天スーパーセール」や「お買い物マラソン」といったキャンペーン期間中に行うのがおすすめです。

「ふるなび」の特徴とおすすめポイント

ふるなびは、電化製品や各自治体のお店や宿泊施設で利用できる商品券・宿泊券が多く掲載されているのが特徴です。

出典:ふるなび

ふるなびでは、寄附金額の1~2%相当の「ふるなびコイン」が付与され、AmazonギフトカードまたはPayPay残高に交換できます(2022年以降、dポイントや楽天ポイントにも対応予定)。ふるなびコインは、返礼品のレビュー投稿でももらえます。

出典: ふるなび『ふるなび利用でふるなびコインがもらえる・貯まる!』

そのほか、返礼品を選ばず、先に寄附だけ行える「ふるなびカタログ」というサービスも利用できます。これは寄附金額に応じてポイントが発行され、そのポイントを使って好きなタイミングでカタログに掲載された返礼品と交換できるサービスです。

出典:ふるなびカタログ

ポイントは翌年に繰り越せるので、年末に控除枠を使い切るために焦って返礼品を選ばなくて済み、じっくり選べるメリットがあります。

「ふるさとチョイス」の特徴とおすすめポイント

ふるさとチョイスの強みは、返礼品掲載数、申込可能自治体数の圧倒的な多さです。2021年7月時点で、37万点以上の返礼品が掲載されており、約1600自治体のふるさと納税に申し込めます。

出典:ふるさとチョイス

ふるさとチョイスから直接申し込めない自治体も含め、全1788自治体の返礼品や自治体の情報が掲載されており、検索機能も充実しています。どんな返礼品があるのかを網羅的に調べるなら、ふるさとチョイスで検索するとよいでしょう。

「さとふる」の特徴とおすすめポイント

さとふるの強みは、サイトの使いやすさにあります。注目ワード検索や特集、各種ランキングやレビューなど、返礼品探しのきっかけとなるコンテンツが充実しており、欲しい返礼品がはっきりしていない人にもおすすめです。

出典:さとふる

ソフトバンクグループの関連会社が運営しており、同じくソフトバンクグループが運営するPayPayと連携したお得なキャンペーンが頻繁に行われています。

出典: さとふる『おすすめ特集&キャンペーン』

ふるさと納税のために確定申告が必要になった人には、「カンタン確定申告ツール」が便利です。ふるさと納税の申告に特化した確定申告書を、4ステップ、5分の簡単な作業で作成できます。

出典: さとふる『ふるさと納税 5分でできる!カンタン確定申告』

「ふるさとプレミアム」の特徴とおすすめポイント

ふるさとプレミアムは、人気の電化製品が多く掲載されているのが特徴です。国産キーボードの最高峰といわれる東プレの「REALFORCE」やダイソンの掃除機、象印の炊飯器などがラインアップされています。

出典:ふるさとプレミアム

寄附額の最大9%相当のAmazonギフト券プレゼントなど、独自キャンペーンによる還元率の高さも魅力です。

出典:ふるさとプレミアム

寄附金額からみる「ふるさと納税」人気自治体ランキング

総務省では毎年、自治体ごとのふるさと納税受入額を調査し、公表しています。受入額の多い自治体は、それだけ多くの人がふるさと納税先として選んでいるということであり、還元率の高いお得な返礼品や魅力的な返礼品が見つかりやすいといえます。

返礼品の選び方

さまざまな返礼品があると選ぶ楽しさがある反面、どれを選べばいいか迷って決められないこともあるでしょう。そんなときは、自分の中で目的や軸を定めると選びやすくなります。いくつか例をあげてご紹介します。

節約したい人

ふるさと納税で節約したい人は、普段から買うものを返礼品として選ぶとよいでしょう。その分の買い物が不要になるので節約になります。主食のお米やトイレットペーパーなどの生活必需品、料理に使いやすい冷凍の豚肉、お酒をよく飲む人ならビールなど。日持ちするものを選ぶのがおすすめです。

普段味わえない美味しい特産品を楽しみたい人

普段味わえない美味しい特産品を楽しみたい人には、シャインマスカットなどの高級フルーツやブランド肉、ブランド米、うなぎ、かに、うに、いくらといった海産物などがおすすめです。スーパーではなかなか手に入らない少し贅沢な産地直送の特産品を、値段を気にせず楽しめるのはふるさと納税の醍醐味です。

食品以外の返礼品が欲しい人

食品以外の返礼品が欲しい人は、家電や宿泊券、食事券がおすすめです。買おうと思っていた家電を手に入れたり、行きたいと思っていた場所へ旅行したりするよいきっかけになります。

返礼品をすべて食品にして、冷蔵庫が一杯になってしまった、期限切れになってしまったという話はよく聞きます。一人暮らしの人や控除上限額の多い人などには、食品以外の返礼品もおすすめです。

ふるさと納税「還元率」に関するよくある質問

Q:ふるさと納税の上限金額(控除上限額)はいくらなの?

自己負担が2000円で済むふるさと納税の上限金額(控除上限額)は、ふるさと納税をする人の収入・所得や家族構成、生命保険料控除や医療費控除、住宅ローン控除などの控除額によって決まります。寄附額が控除限度額を超えると自己負担が増えてしまうため、自分の控除限度額を把握しておくことが大切です。

とはいえ、正確な控除限度額は、ふるさと納税をする年の収入や控除額が確定しなければ分かりません。そのため、収入などの見込額を使って試算した控除限度額を目安とします。

控除限度額の目安は、総務省のサイトに 目安表 が掲載されているほか、ふるさと納税サイトのシミュレーター使って試算できます。

Q:還元率が高いふるさと納税サイトは?

複数のふるさと納税サイトで同じ自治体の同じ商品を取り扱っている場合、基本的に還元率は同じです。ただし、ポイントやギフト券プレゼントなど、サイト独自のキャンペーンを実施していれば、その分だけお得になる可能性があります。

いずれにせよ、サイトごとに取り扱う自治体や返礼品の種類が違うため、なるべく複数のサイトを比較して選ぶほうがよいでしょう。

Q:還元率が高い返礼品がもらえる自治体はどこ?

ふるさと納税の受入額が多い自治体は、還元率の高い返礼品や魅力的な返礼品が多い傾向があります。

受入額上位の自治体は、前述の「寄附金額からみる「ふるさと納税」人気自治体ランキング」や、総務省が公表している「ふるさと納税に関する現況調査」の受入額・受入件数の実績から確認できます。

出典: 総務省『ふるさと納税に関する現況調査結果(令和3年度実施)』

ふるさと納税をする際に注意するポイント

ふるさと納税では、どうしても返礼品選びに気を取られがちです。しかし、お得に制度を利用するには、次のようなポイントにも注意が必要です。

自分の控除限度額の範囲内で寄附する

ふるさと納税をお得に楽しむには、自己負担額が2000円となる控除限度額の範囲内で寄附することがポイントです。

控除限度額は、年収や家族構成、ふるさと納税以外の各種控除額によって変わります。ふるさと納税をする前に、自分の条件で寄附する金額の目安を確認しておきましょう。試算にはふるさと納税サイトのシミュレーターを利用すると便利です。

参考: さとふる ふるさと納税控除上限額シミュレーション

<控除上限額の例>

ふるさと納税をする人 年収 家族構成 控除限度額(目安)
Aさん(会社員) 700万円 独身 10万8000円
Bさん(会社員) 700万円 妻(会社員)
子ども1人(小学生)
10万8000円
Cさん(会社員) 700万円 妻(専業主婦)
子ども1人(幼稚園)
8万6000円
Dさん(会社員) 700万円 妻(専業主婦)
子ども2人(高校生・大学生)
6万6000円

※住宅ローン控除や医療費控除などの他の控除を受けていないケース、社会保険料控除額は給与収入の15%と仮定

参考: 全額控除されるふるさと納税額(年間上限)の目安(総務省・ふるさと納税ポータルサイト) をもとに筆者作成

ふるさと納税の控除額は、1月1日から12月31日までの1年単位で計算される

ふるさと納税の申し込みはいつでも可能です。ただし、控除額の計算は毎年1月1日から12月31日までの寄附額をもとに計算されます。その年の所得税および翌年の住民税からの控除を受けるには、毎年12月31日までに申し込みと支払い(入金)を完了していなければならないので注意しましょう。

<支払い(入金)完了日による控除対象年の違い>

ふるさと納税申込日 2021年12月31日 2021年12月31日
支払い(入金)完了日 2021年12月31日 2022年1月2日
控除対象年 2021年分 2022年分

クレジットカード決済であれば、申し込みと同時に支払い(入金)が完了します。

ふるさと納税ワンストップ特例制度を利用する場合は、ふるさと納税をした翌年1月10日までに必着で、ふるさと納税先の自治体へ申請書の郵送が必要です。

出典: 総務省『ふるさと納税ポータルサイト』

寄附しただけでは税金から控除されない

ふるさと納税で寄附をしても、確定申告をしなければ税金から控除されません。控除されなければ、ふるさと納税先への純粋な寄附であり、全額自己負担になってしまいます。ふるさと納税をした翌年には、忘れず確定申告をしましょう。

以下の要件を満たす場合は、「ふるさと納税ワンストップ特例制度」を利用できます。この制度を利用すれば、確定申告をしなくても控除を受けられます。

<ふるさと納税ワンストップ特例の適用要件>

確定申告が不要な給与所得者等であること 年末調整で税金に関する手続きが完結する給与所得者等が対象です。給与所得者でも、年末調整の対象とならない人や、医療費控除などを受けるために確定申告を行う人は利用できません。特例申請書を提出していても、確定申告を行うと申請は無効になり、すべての寄附分について申告が必要です。

1年間の寄附先が5自治体以内であること 同じ自治体へ複数回寄附しても、1自治体とカウントします。6自治体以上に寄附した場合、特例申請書を提出した自治体も含め、すべての寄附分について確定申告が必要になります。

寄附先の自治体へワンストップ特例申請書を提出していること 同じ自治体への寄附でも、その都度申請書の提出が必要です。

出典: 総務省『ふるさと納税ポータルサイト』

特例の利用は、申請書を記入して自治体に郵送するだけの簡単な手続きです。うまく活用しましょう。申請書は、寄附申込時に送付希望欄にチェックして自治体から送付してもらうか、ふるさと納税サイトや各自治体、総務省のサイトからダウンロードできます。

まとめ

ふるさと納税の返礼品選びに迷ったとき、お得さの目安となる「還元率」は大いに役立ちます。一方で本来の制度の趣旨を外れた過度な返礼品競争は問題視され、規制強化につながった過去もあります。

各自治体はそのような制約を受けつつも、趣向を凝らし、地域の魅力が詰まった返礼品を多く提供しています。ふるさと納税をする側も、地域を応援するという制度の趣旨を踏まえながら、お得にふるさと納税を楽しみましょう。