靴好きに言わせると、その日のコーディネートは足元から決めていくようです。それだけ選択肢があるというのは羨ましい限りですが、毎日同じ靴を履くというのは、靴のコンディション維持の点からも好ましいことではないので、ある程度のバリエーションを揃える必要はあります。そして着こなしに相応しい靴を合わせる、セオリーを守ることは男の身だしなみにとって大切な姿勢だと思います。
ですから紐靴はめんどうだ、しかしスリッポンタイプでは軽すぎる。そんな時に便利なモンクストラップ、という消去法的な選択はあまり関心しません。今日はモンクストラップを履く、だからパンツはこれで、ジャケットは・・・・という捉えかたで望みたいものです。
モンクストラップのモンク(monk)とは、修道士という意味です。語源はギリシア語の『一人で暮らす人』にあるようで、俗世間の生活を捨て修道院で暮らす修道士を指す英語になりました。そして16世紀頃の修道士が履いていた靴がモンクストラップシューズの原型になりました。
今では国を問わず多くのブランドでモンクストラップを手がけていますが、様々な変遷のなかで、イギリス王室の要望でデザインされたものがあるため、源流はイギリスにあるのかも知れません。
タイトルにあるように、モンクストラップは大きく3タイプに分かれます。構造上はどのタイプも、紐ではなくベルトを使ってフィット感を得るようになっています。しかし、このタイプがあるから、このタイプは大丈夫という事にはならず、ぞれぞれに相応しい、よりパーフェクトなコーディネートがあります。
だから、迷ってはいけません。3タイプとも手に入れる、その理由をお伝えします。
シングル・ダブル・サイドの3タイプ。さらに官能的なブーツタイプ。
シングルモンクストラップ
モンクストラップの基本形、シングルモンクストラップはJohn LobbのREDMIREというモデルです。内側から伸びたストラップを外側のバックルで留めるというすべてのモンクストラップシューズに共通いた構造です。後述する2タイプよりも寡黙な印象なので、コーディネートの守備範囲が広いと思います。カントリーシューズの代わり組みあせると上品な田舎暮らしが味わえます。
ダブルモンクストラップ
甲革を大きくとり、2本のベルトでしっかり組み合わせえています。John Lobbの名品WILLIAM は他ブランドのモチーフとなった誉れを抱いています。というのも、この起源はウィンザー公(エドワード8世)がジョン・ロブ(John Lobb)に注文したものだとか。
個性の強いデザインなので、全体が見えるようなパンツ丈で整えます。他はネクタイに至るまでシンプルなものを選択しましょう。しかしシーンが許されるならば、シャツをロンドンストライプに代える程度の遊びは受けとめてくれそうです。
サイドモンクストラップ または サイドストラップ
これまでモンクストラップはシングルとダブルの2タイプが主流だったと思います。しかしここ数年画像のようなサイドモンクストラップと呼ばれる新しいタイプが各ブランドからリリースされるようになりました。これはJohn LobbのJERMYN III というモデルですが。ダブルモンクの1本を切り落としたストイックな面構えです。
ブランドによっては、履き口に沿って回り込むようにベルトをレイアウトしたものもあり、また多くが細身のシルエットを採用していることもあってシャープな足元に仕上がります。バックルが目立たないので、上から覗くとブーツを履いているようにも見えます。適度な履きしわが浮き上れば、取っておきのデニムとのマリアージュも楽しみです。
ダブルモンクストラップ ブーツタイプ
こちらはJohn Lobbのビスポークラインで届けられる、ブーツタイプのダブルモンクストラップです。ブーツにしてはストラップの印象が強いので躊躇しがちですが、下の画像のように並べてみるとコーディーネートのイメージが作りやすいと思います。サイドゴアブーツやチャッカブーツを履くように、同じように扱えばいいのです。
ただ、履きはじめは少し強い気持ちをもって臨む必要がありそうです。そして自分なりのバランスを探りましょう。答えが見つかる頃には頼もしいパートナーになっているはずです。