アメリカ空軍に採用されているメガネブランドは3社あり、そのひとつがAOつまり AMERICAN OPTICAL EYEWEARであることは、別項で記述済みです。
その関係は古く1917年にはアメリカ政府に納入が始まっています。特にパイロットサングラスの代名詞となる『アビエーター AVIATOR』を開発すると、その品質が高く評価され『オリジナル パイロットサングラス』と呼ばれるようになります。
この『アビエーター AVIATOR』 は、1969年のアポロ11号による月面着陸計画の際に、アームストロング船長や乗務員たちも使用しました。彼らが使用した製品は現在ワシントンにあるスミソニアン・エアー・スペース博物館に展示されています。
このようにサングラスの評価が目立つAOなのですが、実は世界最古の眼鏡メーカーであることや、多くの著名人に愛用されるクラフツマンシップに溢れるブランド力を持っています。培ってきた技術、それが生かされた美しい商品の紹介もしたいと思います。
AMERICAN OPTICAL EYEWEARの歴史 愛用者など
AMERICAN OPTICAL EYEWEARの歴史について
American Optical(=AO)は、マサチューセッツ州サウスブリッジに1833年に設立された、眼鏡メーカー。現存する世界最古の企業です。
メガネ産業の起こりは、アメリカではなくヨーロッパでした。ですからアメリカではメガネのフレームやレンズをヨーロッパ(フランス、ドイツ、イングランドなど)から輸入していました。メタルフレームが主流で、他の金属製品と同様に現地のジュエリー職人による手作りが中心でした。
当時のフレームは品質と技術がともなわず今のように快適なものではなかったようです。ですからオーダーしたとしても、満足を得るものは望めませんでした。
そうした粗悪な輸入メガネを見て、「私ならもっと良いものが作れるのに」そうつぶやいた若者がいました。
宝石の貿易の仕事をしていたウィリアム・ピッチャーです。そうした小さな思いがAmerican Optical(=AO)社の誕生につながりました。
その後の躍進から、世界の眼鏡産業の歴史はアメリカンオプティカルから始まったといっても過言ではないでしょう。AO社は眼鏡の歴史を塗りかえてきました。1874年には世界初の縁なしメガネを発明します。1885年には耳の後ろで湾曲する形のメガネのつるを考案しました。
きっかけは、従業員が「乗馬するときにメガネが落ちないようには出来か?」という提案でした。このメガネは使い勝手が良く、「乗馬メガネ」という名前で、またたく間に世間に広がりました。この意匠はその後サングラスなどにも採用されより一般的な評価を得ていきます。
1891年には、アメリカ初の金張りフレームを製造しています。そのクラシカルでクラフツマンシップ溢れる繊細なフレームは現在も健在です。揺るぎないトップメーカーと言えるでしょう。
20世紀を迎えてからも、産業革命の波を乗りこなし、また二度の世界大戦の軍需もあり事業としても着実の発展してきました。
映画にも登場 個性豊かな愛用者
そうしたことからサングラスが映画シーンに登場することもあります。有名なのは『イージーライダー』『トップガン』『タクシードライバー』などが挙げられます。
マルコムX
眼鏡フレームとして注目されたのは、アメリカの黒人公民権運動活動家マルコムXでしょう。
サーモントタイプと呼ばれる、セルとメタルのコンビフレームです。眉毛のようにセル部分があることからブロータイプとも言われ、一説には軍人が威厳を出せるようなデザインを求められたとか。左右のレンズをまたぐブリッジと言われるパーツはメッキではなく12金が使われていることが刻印されています。
知性的なデザインは現代でも人気が衰えませんが、ヴィンテージフレームを探すニーズも少なくありません。
AOの定番、看板商品と言えるモデルです。
ビル・エヴァンス
ジャズミュージシャンのビル・エヴァンスも愛用者のひとりです。彼はモダン・ジャズを代表するピアニストです。印象的な和音を用いスタンダード楽曲をアレンジした演奏は、ハービー・ハンコック、チック・コリア、キース・ジャレットなど多くのピアニストたちに影響を与えました。
彼は音楽だけでなく、知性溢れるファッションも注目され、スーツとタイ、そしてAOの眼鏡が代表的なコーディネートでした。特にこのアルバム『waltz for debby』の横顔はとても印象的です。
ほかにも、JFケネディをはじめ、バラク・オバマまでホワイトハウスの要人にも愛用されたとの情報もあります。