みなさんは、普段、どんなアーティストの音楽を好んで聴いているでしょうか。
音楽のジャンルは、ヒップポップ、ロック、レゲエ、ラップ、ソウル、ジャズ…と多岐にわたり、自分のプレイリストを見ても一貫性が見当たらないかもしれません。
しかし今回、アメリカおよびイスラエルの4大学が参加した最新研究によると、私たちは自分の性格特性に近いアーティストをより好むことが判明しました。
音楽の好みは、単に曲の良さだけでなく、アーティストの個性やパブリックイメージに影響されるというのです。
以下の表にある好みのアーティストで、あなたの性格特性が判明するかもしれません。
※外国の研究のため、洋楽アーティストのみが対象になっています。
性格を表す「ビッグ・ファイブ」とは?
本調査は、性格の主要な5因子を示す「ビッグ・ファイブ」に基づいて実施されました。
ビッグ・ファイブとは、基本的な性格特性を表すもので、世界中の心理学研究で使われる信頼性の高い指標です。
人の性格は千差万別ですが、基本的には、この5因子の程度と組み合わせで分類できます。
その5因子がこちら。
開放性(Openness)
新しいことへ挑戦する意欲や独創的な想像力の高さを示します。開放性が強い人は、冒険心にあふれ、新しい環境や考えに対してオープンで、古い慣習や権力に縛られない性格の持ち主です。
誠実性(Conscientiousness)
周囲の人や物事に対する責任感や勤勉性の高さを示します。誠実性が高い人は、何事にも真剣に取り組む意欲があり、行動する前によく考え、困難に耐える忍耐力を持ちます。
外向性(Extraversion)
人とのコミュニケーションの高さや積極性を示します。外向性が高い人は、エネルギッシュで忙しい状態を好み、人に囲まれる空間を求め、グループをまとめる力を持ちます。
調和性(Agreeableness)
周囲との協調性や寛容性の高さを示します。調和性が高い人は、常に利他的で、人と対立することを避ける傾向が強く、注目されると落ち着かない謙虚さや礼儀正しさを持ちます。
情緒安定性(Neuroticism)
感情の起伏や精神の安定性、傷つきやすさを示します。情緒安定性が高い人は、感情のアップダウンが激しく、悲観的で、他人からどう思われているかを気にしやすい傾向にあります。
結果は…?
このビッグ・ファイブを用いた調査を、約8万人の一般被験者と50組の有名アーティストに実施しました。
一般被験者には、自分自身とそれぞれのアーティストの性格特性の評価付けをしてもらっています。また、膨大な数の楽曲を聴いてもらって、曲や歌詞に関する反応も記録しました。
結果、被験者は、自分の性格特性に似ているアーティストをより好む傾向にあることが分かっています。
具体的には、以下の通りです。(ピンクが強いほどスコアが高く、青に近いほど低い)
開放性
開放性が高い人は、レディオヘッドやダフトパンク、ボブ・ディランなどを好んでいます。
逆に、エミネムや50セントのようなラップ、ジャスティン・ビーバーのようなダンスミュージックは聞かないようです。
誠実性
誠実性が高い人は、カントリー歌手のジョージ・ストレイトやマーヴィン・ゲイなどを好んでいます。
ダフトパンクやフォールアウトボーイ、ニルヴァーナなどのロック系は好みでないようです。
外向性
外向性が高い人は、ビヨンセやジャスティン・ビーバー、テイラー・スウィフト、ブリトニー・スピアーズなど、ダンスミュージックを明確に好んでいました。
反対に、ロックバンドはあまり好みでないようです。
調和性
調和性が高い人は、ビリー・ジョエルやジャーニー、エルトン・ジョンなどの80年代ミュージックやポール・マッカートニーを好んでいました。
逆に、ラップやダンスミュージックなどの明るい音楽は好みでないようです。
情緒安定性
情緒安定性が高い人は、デヴィッド・ボウイやフォールアウトボーイ、エヴァネッセンスなどを好んでいます。
好みでないのは、マーヴィン・ゲイやエリカ・バドゥでした。
このように、自分の性格特性が分かれば、自分に合うアーティストや合わないジャンルを見つけることができます。逆に、この表を見れば、好きor苦手なアーティストから自分の性格特性が判明するかもしれません。
研究の詳細は、「Journal of Personality and Social Psychology」に掲載されています。
The self-congruity effect of music
reference: expressdigest / written by くらのすけ
提供元・ナゾロジー
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