ネット上のサービスやスマートフォンアプリを使用し始める際は、住所や電話番号などの入力を求められることがほとんどだ。読者の中には、個人情報を入力し第三者に提供することを不安に思う人も少なくないだろう。また、スマホで扱われる個人情報と言えるものの中には、「住所」「電話番号」の他にも、「Webの閲覧履歴」「検索履歴」といった各種履歴や、「位置情報」などデバイス側のシステムで解析される情報も存在している。2021年にはiPhoneで「ユーザーの同意なしには個人情報を収集できないようにする」システムの修正が行われたが、実は“別の個人情報”がほぼ強制的にアプリに送られている可能性があることが、研究者の発表によって明らかとなった。
スマホに必須の便利機能のもとになるシステム

スマホやスマートウォッチに搭載されている加速度計。傾きや加速度などスマホにかかる動きの検知に用いられるセンサーだ。もちろんiPhoneにも高機能な加速度計が搭載されている。
セキュリティ研究者のTommy Mysk氏によれば、iOSアプリはiPhoneなどで収集された加速度計のデータにユーザーの許可なくアクセスができるといい、加えてそのデータを分析すれば、「運動と活動」「位置情報」「心拍数・呼吸数」「オーディオの記録」までもが分かってしまうというのだ。
「運動と活動」とは、加速度計によってユーザーが横になっているのか座っているのか、歩いているのか走っているのかなどが把握できるというもの。例えば体調が悪くて一日中寝込んでいた日には、「この人今日はずっと家で寝ているな」なんて情報が収集されてしまうかもしれないのだ。何時に起きて、何時に帰ってくるのかといった行動パターンを測れるようになったら、何かの犯罪に使用されないか心配にもなってしまうだろう。
また「位置情報」の面では、仮にあなたがiPhoneの位置情報共有機能を切りながら乗り物に乗っていたとしても、加速度センサーが揺れなどの情報を収集していると、同じ乗り物の中に共有機能をオンにしている人がいたら、双方の揺れのデータから「この2人は同じ乗り物に乗っている」と判断し、あなたの位置情報を推測することまでできてしまうのだという。