フォーブスの世界大富豪ランキングから、「金融業界を牛耳る金融産業のビリオネア10人」を見てみよう。
1位は総合ランキングでもトップ10入りを果たした世界ランキングでもお馴染みのウォーレン・バフェット氏だが、2位はブラジルの投資機関サフラグループ会長ジョゼフ・サフラ氏、3位は電子取引のパイオニア、インタラクティブ・ブローカーズの設立者兼CEO兼会長トーマス・ピーターフィー氏がランクインしており、顔ぶれがガラリと変わる。
女性では唯一、フィデリティ・インベストメンツ会長アビゲール・ジョンソン氏がランクインした。純資産額は2018年3月12日のデータ。
10位 スティーブン・コーエン(米国) 140億ドル
SACキャピタル・アドバイザーズを軸に「コーエン帝国」を築き上げたコーエン氏だが、インサイダー取引スキャンダル後、SACの閉鎖を余儀なくされた。1992年には「家族運営」のポイント72アセット・マネジメントを新たに立ち上げ、110億ドルを運用している。
「2年間の外部顧客の資金運用禁止」の判決が2018年1月で失効したため、新たなヘッジファンドの再開を計画中だという。
9位 ペトル・ケルナー( チェコ) 159億ドル
チェコで最も裕福なケルナー氏は、オフィス用品の販売からキャリアを積み、1991年に立ち上げたPPFグループを 運用資産350億ドルユーロの巨大投資企業へと成長させた。
PPFグループは不動産事業 や生命保険事業にも乗りだしているほか、中国消費者金融大手、捷信やテレコム企業O2などの株も保有している。
8位 ロバート・ブディ・ハルトノ(インドネシア) 168億ドル
兄マイケル・ブディ・ハルトノ氏と共に「インドネシア一裕福な兄弟」として知られる、巨大財閥ジャルムグループ設立者兼CEO。国内最大手バンク・セントラル・アジアの株の25%以上を保有している。
1950年、義父が破たんから買いとったジャルムは、ごく小規模なたばこメーカーだった。ハルトノ兄弟はジャルムを国内一のたばこメーカーに育てあげただけではなく、不動産・銀行・電子・やし農園 など事業の多角化に成功した。
7位 アビゲール・ジョンソン (米国) 170億ドル
「投資業界最強の女性」といわれるフィデリティ・インベストメンツ会長。2014年~2016年11月まではCEOを務めていたが、会長だった父親の引退を受け、後任に就いた。祖父の代から数えて3代目の会長で、同社の株の推定24.5%を保有している。
家族経営とはいうものの、ハーバード・ビジネススクールでMBA取得後、フィデリティ・インベストメンツにアナリストとして入社し、着実にキャリアを積んだ人物だ。
6位 カール・アイカーン(米国) 172億ドル
持ち株企業アイカーン・エンタープライズ創設者。「乗っ取り屋」「ものいう株主」の異名をとる攻撃的な投資戦略で、次々と企業の経営権を取得。不動産から鉱業、自動車、IT、メタルなど幅広い分野で勢力を拡大している。
トランプ大統領の特別顧問に任命されるものの、「投資事業と利益相反が生じている」との指摘を受け、1年足らずで退任した。
5位 レイ・ダリオ(米国 ) 177億ドル
世界最大の運用資産1600億ドルを誇るヘッジファンド、ブリッジウォーター・アソシエーツ設立者兼CIO。
ゴルフのキャディーのバイトをしている時にゴルファーから投資のコツを習い、12歳で投資を始めた。ハーバード・ビジネススクールでMBA取得後、まだニューヨークの2LDKで暮らしていた1975年、ヘッジファンド、、ブリッジウォーター・アソシエーツを立ち上げた。
4位 ジェームズ・シモンズ (米国) 200億ドル
ヘッジファンド、ルネッサンス・テクノロジーズの設立者。2017年3月末に米国証券取引委員会に提出された上場金融資産の保有明細「13F」によると、同社の運用資産は907億ドルに膨れあがっている(投資データサイト、whalewisdom.com より)。
2010年に現役から退いたものの現在も組織内部で活動を続けており、着実に資産を増やしている。大の民主党支援者で、多額の献金を行っている。
3位 トーマス・ピーターフィー( 米国) 235億ドル
インタラクティブ・ブローカーズの設立者兼CEO兼会長。ハンガリー動乱(1956年)で全財産を失ったハンガリー貴族の子孫で、21歳の時に渡米。1977年にマーケットメイカー業を始め、1993年にインタラクティブ・ブローカーズを立ち上げた。
同氏は金融市場の電子取引を広めた人物としても知られており、オプション価格を決定するための方程式「ブラック?ショールズ方程式」とよく似た、独自のアルゴリズムを作り出した 。ボストン先物取引所の設立者 でもある。
2位 ジョゼフ・サフラ(ブラジル) 236億ドル
「世界で最も裕福な銀行家」として知られる投資機関サフラ・グループ会長。オスマン帝国時代(1299~1922年)から地金取引を領内で営み、後にサフラ銀行を設立した一族の子孫で、2011年にスイスのプライベート銀行、サラシン銀行をオランダのラボ銀行から110万ドルで買収。(SuccessStory.com 、BusinessInsider 2012年3月13日付記事)。
またバナナや砂糖の販売大手チキータ・ブランドの株の50%を保有しており、3人の息子も本国や米国でサフラグループを牛耳っている。
1位 ウォーレン・バフェット(米国) 912億ドル
世界最大の投資持株企業バークシャー・ハサウェイ会長兼CEO。「オマハの賢人」「世界で最も偉大な投資家」「最後の貸し手」などの異名を持つ。
大富豪であるにも関わらず、30年前に3万ドルで買った家に今も住み、マクドナルドとチェリーコークが大好物という質素な暮らしを好む庶民派だ。莫大な収入を得ているのは確かだが、バークシャー・ハサウェイから得ている年棒自体は過去25年間一律の10万ドルである(Investopedia2016年6月29日付記事 )。
文・アレン・琴子(英国在住フリーランスライター)
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