今月10日、米南部・アラバマ州にて妊娠21週の早産で生まれた男の子が、「世界一の早産を生き延びた乳児」として、ギネス世界記録に認定されました。

男の子の名前は、カーティス・ミーンズ(Curtis Means)くん。

カーティスくんは、2020年7月5日に予定より4カ月も早く生まれ、出生時の生存確率は1%以下と宣告されていました。

しかしその後、奇跡的な回復を見せ、無事退院しています。

目次

  1. 生存確率1%に打ち勝った男の子

生存確率1%に打ち勝った男の子

母親のミシェル・バトラー(Michelle Butler)さんは、昨年、妊娠5カ月目に容体が急変し、アラバマ大学バーミンガム病院(UAB)に緊急搬送されました。

そして、7月5日にカーティスくんを出産。実は、カーティスくんともう一人、双子の妹であるカーシャ(C’Asya)ちゃんも生まれていました。

しかし、不幸なことに、カーシャちゃんは翌日、合併症のために息を引き取っています。

一般的な妊娠期間は「十月十日(とつきとおか)」と言うように、およそ40週前後です。

一方で、双子はわずか21週と1日で生まれ、出生時の体重は約420グラムでした。

平均的な新生児の7分の1程度の重さしかありません。

「生存率1%以下」妊娠21週で生まれた男の子がギネス世界記録に認定される
(画像=出生時のカーティスくん / Credit: University of Alabama at Birmingham – Baby born at 21 weeks survives, breaks world record(2021)、『ナゾロジー』より引用)

救急対応を務めたUABの小児科医、ブライアン・シムズ(Brian Sims)医師は、当時を振り返り、「あらゆる数字が示すように、これほど早く生まれた赤ちゃんは、生存の望みがほとんどありませんでした」と言います。

医療チームは、カーティスくんに人工呼吸器を装着し、呼吸・体温調節・栄養ケアなど、24時間体制で治療しました。

懸命な看護の結果、カーティスくんの心拍数と酸素濃度は改善の兆しを見せ、3カ月後には、人工呼吸器を外すことができています。

そして、275日間の入院生活を経て、2021年4月6日、母親のミシェルさんとともに退院することができました。

まだ、栄養チューブや酸素ボトル、薬の服用といった治療が続いていますが、1歳の誕生日も無事に過ぎて、元気を取り戻し始めています。

「生存率1%以下」妊娠21週で生まれた男の子がギネス世界記録に認定される
(画像=母親のミシェルさんとカーティスくん / Credit: University of Alabama at Birmingham – Baby born at 21 weeks survives, breaks world record(2021)、『ナゾロジー』より引用)

シムズ医師は、こう述べています。

「これほど早産の赤ちゃんを集中治療室で看護することは今までありませんでした。

カーティスくんは、文字通り初めての存在であり、治療に当たった私たち自身も未知の領域にいました」

また、同チームのコルム・トラバース(Colm Travers)医師は「年齢と出生時の体重は、新生児が生き残るかどうかの2つの重要な予測因子であり、カーティスくんは、あらゆる科学的な確率に打ち勝ったのです」と話しています。

【編集注 2021.11.12 16:50】 記事内容に一部誤字があったため、修正して再送しております。

提供元・ナゾロジー

【関連記事】
ウミウシに「セルフ斬首と胴体再生」の新行動を発見 生首から心臓まで再生できる(日本)
人間に必要な「1日の水分量」は、他の霊長類の半分だと判明! 森からの脱出に成功した要因か
深海の微生物は「自然に起こる水分解」からエネルギーを得ていた?! エイリアン発見につながる研究結果
「生体工学網膜」が失明治療に革命を起こす?
人工培養脳を「乳児の脳」まで生育することに成功