自炊をほとんどしない単身者にとって、テレワーク時の昼食は頭痛の種だった。お弁当を買いに行くのは面倒だし、デリバリーも毎日だと高くつく。カップ麺は手軽だが、味気ない。となると、選択肢のひとつになるのは、レトルト食品だろう。
定番のカレーだけではなく、最近は味も本格的で、種類も豊富。白米さえ炊いておけば、いろいろなメニューが楽しめる。保存も効くし、買い込んでおけば、1週間は十分にやりくり可能だ。
ただし、欠点は調理の手間がそれほどかからないとはいえ、お湯を沸かして温めるという、工程が煩わしい点だろう。そんな自炊をほとんどしない単身者の悩みを解消してくれるアイテムがある。それがレトルト食品専用の調理家電「レトルト亭」だ。
■お湯を沸かして、湯煎する必要がない。ヒーターでレトルトを挟んで温める
「レトルト亭」は鍋や電子レンジなどによる調理が不要で、小さなトースターほどの本体にレトルトをセットして電源を入れれば、内蔵のヒーターで温めてくれるという代物。レトルト食品なんて、お湯を沸かして温めればいいだけなのに、そんな商品いるの? と、自炊派からお叱りを受けそうだが、それすら面倒に感じるのが、自炊をしない人の心理というものなのだ。湯煎に使ったお湯を捨てるのも、もったいない感じがする。きっと開発者も非自炊派の単身者に違いない。そこで開発元であるアピックインターナショナルを訪ねた。
「ある日、レトルトを湯煎するのが面倒で、こたつで温めてみようと思ったのが、開発のきっかけです。試してみると、ぬるめでしたが、問題なく食べられたので、レトルトを電気で温められる製品があっても良いのでは? と、開発に挑戦することにしました」と、商品開発部の佐藤元紀さんはいう。
しかし、当初は社内でもなかなか共感を得ることができなかったという。
「電子レンジでレトルトのまま温められるという製品も最近は登場しているのに、それって必要なの? という意見が多かったですね。ですが、緊急事態宣言などの広がりによって全国的に通勤自粛のムードが広がると一変しました。
確かに電子レンジ対応のレトルトは増えつつあるものの、まだ一部です。また、コンロで鍋を使った湯煎とは異なり、“レトルト亭”は設定した時間が来ると、ベルが鳴り、温めが自動的に止まってくれます。
台所で吹きこぼれないか注視する必要もなく、レトルトが温まるまで仕事を続けることができるというメリットがあります。ガジェット好きで、自炊をしない単身者なら共感してくれるはずという勝算がありました」
リモート会議中でデリバリーが受け取れない! レトルト亭なら、心配は無用
使い方は簡単でレトルトをセットして、ダイヤルを回すだけ。お昼休憩に入る直前に準備しておけば、すぐに昼食を食べることができる。湯煎に使った鍋を洗う手間もなく、効率的だ。
また、デリバリーの場合には、リモート会議の最中に届いてしまうと、受け取りに出られないというデメリットもある。その点、レトルト亭なら、タイマーが終了すると、ベルが鳴るものの、さほど気にならない音量だ。
「ダイヤルの表示は時間ではなく、『小盛』『普通』『大盛』の3つにしました。時間に追われている感じにはしたくなかったんです。温める機能に特化することで7,680円に価格を抑えています。
また、通常のサイズのレトルト食品であれば、ほとんどのメーカーのものに対応しています。まずはクラウドファンディングで販売を開始しましたが、好評のため、一般販売の予定が早まり、11月下旬から家電量販店などでの一般販売がスタートします」
普段は自炊をしている人でも、帰宅が遅かったり、忙しいと、その気力が湧かない日もあるはず。レトルト亭なら、そんなときも何か他の作業をしながら、温めが可能だ。リモート勤務が減ったとしても、ちょっと小腹が空いたときにも使えるアイディア家電といえるだろう。
取材・文/梅中伸介(verb)
男の隠れ家デジタル編集部
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提供元・男の隠れ家デジタル
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