最近、宇宙で栽培された最初のトウガラシが「宇宙タコス」として食べられました。
NASAの宇宙飛行士メーガン・マッカーサー氏は、現在、他の6人のクルーと共に国際宇宙ステーション(ISS)に滞在しています。
そして10月29日、彼女は自身のTwitterで「これまでで最高の宇宙タコスを作った」と報告しました。
宇宙空間での植物栽培
宇宙飛行士にとって、食料の入手手段を増やすことは大きな課題です。
もし、宇宙空間でいくらかでも食料を生産できるなら、長期間に及ぶミッションにも対応できるでしょう。
そのためNASAは現在、ISSなどの宇宙空間で植物の栽培が可能かテストしています。
これまでにもラディッシュやレタスなどが栽培・収穫されてきました。
しかし、これまでのテストで「微小重力下では果実の発育が悪い」ことも判明しており、その原因も十分には解明されていません。
今回注目を浴びているトウガラシも他の作物に比べて栽培が困難であり、発芽・成長・結実に時間がかかったようです。
とはいえ7月から始まったプロジェクトは、ISSの植物育成施設で十分な監視とお世話がなされた後、収穫までたどり着くことができました。
トウガラシを育ててきた宇宙飛行士たちは、実食を心待ちにしてきたに違いありません。
宇宙産の唐辛子で作ったタコスを食べる
ISSで栽培されたトウガラシは、アメリカ・ニューメキシコ州のハッチ(Hatch)という地域で生産されているニューメキシコチリ(またはハッチチリ)と呼ばれる品種です。
ちなみに未成熟なトウガラシは緑色の青トウガラシとして、熟したトウガラシは真っ赤な赤トウガラシとして扱われます。
今回宇宙飛行士たちは、ISSで栽培した緑と赤のニューメキシコチリを食べることにしました。
収穫されたばかりの宇宙産ニューメキシコチリと水で戻した乾燥トマト、タコス用ビーフを使って、「宇宙タコス」を楽しんだのです。
宇宙空間では珍しく、収穫したての新鮮な食感や風味を味わえたことでしょう。
このように宇宙での植物栽培テストは着実に進んでいます。
今回の宇宙タコスは、食料生産システムを開発して有人探査の範囲を広げるための一歩となりました。
さらに、宇宙飛行士にとって植物を育てることは、単に食料問題を解決する以上の役割があります。
植物を観察し育てる過程が、宇宙空間でのストレスやプレッシャーを和らげ、精神的・身体的な健康を増進させてくれるのです。
現在、宇宙飛行士たちは植物を育てる過程と結果の両方を楽しんでおり、今後もあらゆる面で良い成果が期待できるでしょう。
参考文献
Astronauts make delicious hot tacos with peppers they grew on the ISS
提供元・ナゾロジー
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