2018-19シーズンのサッカー・UEFAチャンピオンズリーグ(CL)。マンチェスター・シティFCが優勝の最有力候補と予想され、5.5倍のオッズがついた。昨季スペイン王者のFCバルセロナが7倍前後となっている(いずれも開幕時点のオッズ)。サッカーやスポーツに限らず、あらゆる競争の結果を予想し、的中すると配当率に応じた配当が支払われる賭けを提供しているブックメーカー。いわゆるギャンブルのようだが、果たして日本から楽しめるのだろうか。

ブックメーカーとはどんなものなのか

ブックメーカーがベット(賭け)の対象にするのは、スポーツ競技だけではない。例えば政治では次のアメリカ大統領が誰になるのか、映画のアカデミー賞で作品賞を受賞するのはどの作品かなど様々だ。

日本にもtotoがあるように、スポーツは賭けの対象となりやすい。

2018年夏に開催されたFIFAワールドカップ ロシア大会も、賭けの対象となっていた。グループリーグを勝ち抜け、決勝トーナメントに進出する国のオッズは、コロンビアが最有力で1.36倍。続いてポーランド1.57倍、セネガルが2.25倍、日本は最下位で、3.00倍だった(イギリス最大のブックメーカー「ウィリアムヒル」)。

配当金が高くなる理由

ブックメーカーが世界で人気を集めている理由の一つが、配当金の高さだ。配当を決める方法には「パリミュチュエル方式」と「ブックメーキング方式(ブックメーカー方式)」の2種類があり、この配当方式の違いに高還元の秘密が隠されている。

現在、国内における公営ギャンブルでは主に「パリミュチュエル方式」が採用されているのに対し、ブックメーカーは主に「ブックメーキング方式」なのだ。

「パリミュチュエル方式」では、賭けた時点では配当が確定しておらず、全体の賭け金をまずプールしておき、興行主(運営)がそこから一定金額(興行主の収益)を差し引き、残りの金額が配当に回される。配当額は販売総額によって変動する仕組みだ。ナンバーズなどの数字を的中させるくじやtotoなどもこの方式を採用している。

一方、「ブックメーキング方式」では、賭けた時点で配当が確定していて、的中すれば賭けた時点の配当金が支払われる。興行主は時間の経過とともに配当率を上下させる。たとえば当初は3.0倍でも、人気が出ると1.5倍に引き下げるといったことが可能で、これで配当額のバランスを取っている。

この配当方式の違いから、公営ギャンブルに比べてブックメーカーのほうが還元率は高くなるのだ。

日本では法的には「グレー」

日本では公の機関が賭博(ギャンブル)として開催するスポーツとして「公営競技」があり、認められた運営者以外がギャンブルを開設・運営することは禁止されている。ちなみに日本人が海外に行き、ラスベガスやマカオなどでカジノを楽しむのは違法ではない(年齢制限など現地の法令ルールを守っていれば)。

そのため、日本にはブックメーカーが存在しない。たしかにブックメーカーは海外の事業者で、インターネットを通じてサービスを提供している。ただ日本では特段の定めがないため、黒とも白とも言えず「グレー」とされているだけで、これはオンラインカジノも同様のようだ。

カジノについては、統合型リゾート(IR)実施法(カジノ実施法)が成立するなどの動きはある。とはいえスポーツの結果を的中させて配当金を得たいなら、スポーツ振興くじや公営競技を楽しむのが安全だろう。

文・春美 悠(ファイナンシャル・プランナー)
 

【関連記事】
ネット証券は情報の宝庫?日経新聞から四季報まですべて閲覧可!?(PR)
40代で「がん保険」は必要か?
40歳から効率的にお金を貯めるための6つのステップ
共働きの妻が産休・育休中でも夫の「配偶者控除」を受けられる 意外と知らない節税法
40代が知っておきたい保険の知識まとめ