朝にシャワーを浴びるほとんどの人は、温水によって心地よく目覚めたいと思っています。
しかし近年、冷たいシャワーを浴びることを習慣としている人が増えているようです。
ここでは「健康に良い」と言われる冷水シャワーのメリットを、いくつかの科学的な研究結果からご紹介します。
※冷水シャワーを浴びる行為は心臓に大きな負担を掛けるので注意しましょう。
冷水シャワーは病欠を減少させる
オランダで行われた大規模な研究では、冷たいシャワーを浴びる人は、温かいシャワーを浴びる人に比べて「仕事を休みにくい」という結果がでました。
その研究には3000人以上の参加者を4つのグループにわけ、1か月間すべての人に毎日温かいシャワーを浴びてもらいました。
しかしシャワーの終わりだけは、４つのグループでそれぞれ異なった手順をとってもらいました。
１つ目のグループは、温かいシャワーの後、30秒間だけ冷水を浴びてシャワーを終えました。
2つ目と3つ目のグループは、それぞれ冷水シャワーを60秒、90秒浴びてから終えました。
4つ目のグループは、冷水を浴びることなく、最後まで温かいシャワーで終えるよう指示されました。
ちなみに64%の参加者は、冷水シャワーが好きになったので、実験終了後も冷水シャワーを浴び続けたとのこと。
そして3か月後の追跡調査の結果、冷たいシャワーを浴びたグループでは、病欠が29%減少していました。
そしてそれらのグループでは、それぞれ冷水を浴びる時間が異なっていましたが、時間の差は結果と関係ありませんでした。
病欠が減少した理由ははっきりと判明していませんが、研究者たちは免疫力の向上が関係していると考えています。
ちなみに、チェコ共和国の別の研究では、「週3回の冷水シャワーによりわずかに免疫力が向上した」という結果が得られています。
神経の働きや血行を改善し、ダイエットにも役立つかも
冷水シャワーのメリットを指摘した研究は他にも存在します。
例えば、冷水は交感神経系を活性化させると分かっています。
これは私たちが危険やストレス、恐怖を感じたときに自動的に起こる生理反応を司っている神経系です。
冷水によってこの神経系が活性化するとノルアドレナリンというホルモンが増加し、その効果で心拍数や血圧が上昇。
結果的に健康増進にもつながると言われています。
また別の研究では、冷水に浸かることで血行が良くなると分かっています。
冷水にさらされると、皮膚への血流が一時的に減少。
その後、体は自分自身を温めるために皮膚への血流を増加させ、全体的にも血行が改善されます。
ちなみに、運動後の冷水風呂の効果を調べた研究では、筋肉への血流が改善されました。
さらに別の研究では、冷水シャワーがダイエットに役立つという証拠も挙げられています。
14℃の冷水に浸かることで、代謝が350%向上したという結果が出たのです。
代謝とは体内で生じるエネルギー変換のプロセスなので、これが高まることで消費エネルギーも増加します。
そのため冷水シャワーは、ダイエットにも多少は効果があると言えるでしょう。
冷水を浴びると脳と心がすっきりする
冷水シャワーは精神的な面にも良い影響を与えると考えられています。
例えば、冷水シャワーによって交感神経系が活性化した結果、精神的な覚醒度も高まるという説があります。
また高齢者の場合、顔や首に冷水を当てると、脳の機能が向上するという結果が得られました。
さらに冷水シャワーがうつ病の症状を緩和させるケースもあります。
そのメカニズムは、皮膚から脳へ伝わる電気信号にあると考えられています。
皮膚には冷たさを感じる受容体が高密度に存在しているため、冷たいシャワーを浴びると、脳に大量の電気信号が一気に送られることに。
これにより脳は刺激を受け、抗うつ効果が得られるというのです。
さて、このようにいくつかの研究が、冷水シャワーにはさまざまなメリットがあることを証明しています。
もちろん、はっきりとした理由が明らかになっていないものも多いので、今後さらなる研究が求められるでしょう。
そして、いきなり冷水を浴びる行為が心臓に負担をかけることも知っておかなければいけません。
ですから心臓病などを患っていない場合に限り、専門家と相談しつつ、冷たいシャワーを毎日の日課にできるでしょう。
もしかしたら、今よりもずっと健康になれるかもしれませんよ。
参考文献 Cold showers are said to be good for you – here’s what the evidence shows
提供元・ナゾロジー
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