クラフトマンシップ(職人技)、イノベーション(革新)、テクノロジー(技術)という企業理念を大切に守り続ける“BULOVA(ブローバ)”。伝統を守りつつ、独特のデザイン、高性能のテクノロジー、優れた品質を併せもった魅力的な時計を世界中へ届けている。
そんなブローバが手がける最新作は、1957年に米海軍潜水実験隊(以下NEDU:The US Navy Experimental Diving Unit)へ提供した復刻モデルだ。

第2次世界大戦中、米政府の要請に応じてさまざまなMIL規格の時計を製造していたことで知られるブローバ。
なかでも1955年12月5日に米国海軍艦船局が、(1)規定の深さまで水を通さないこと、(2)何ヶ月もの間水蒸気が侵入しないこと、(3)暗闇でも視認できること、(4)外周に回転可能なリングが付いていることの四つの条件を満たした海軍のための水中時計の製造を、ブローバの研究開発を率いていたオマー・ブラッドリー陸軍元帥に求めた。それを基に作成されたのが、契約仕様書“MIL-SHIPS-W-2181潜水用”だ。
1957年5月、ブローバは最初にプロトタイプを三つNEDUに納入。その試作品は、独自の2ピース防水ケースバック、厚手の真鍮製耐磁ケースホルダー、17石の手巻きムーヴメント10BPCHN、巻き過ぎ防止の独自クラッチ機構などを備えていた。1958年には追加で試作品が数台納入され、潜水部隊が実地テストを実施。そのテストはベゼルが確実に固定されているか、水密性が確保されているかを確認する広範囲で厳しいものであった。
試作品は実際のダイビングで着用、深層潜行テストも行われ、当時としてかなりの深度となる392フィート(約119.5m)までの深度テストに成功している。海軍が製作したブローバプロトタイプのテクニカルレポートには、テストで得られた知見や推奨事項が詳細に記されている。海軍は「このような時計は見たことがない」とコメントし、興奮に包まれていたようだ。
しかし、海軍が追加試作品の最終承認を待っている間に、ブローバはこの時計の開発を中止し、別の開発を進行。結果、MIL-SHIPS-W-2181潜水用プロトタイプは数本のみの製造にとどまり、そのすべてが海軍に納入、実地フィールドでテストされた。

海軍のために開発されたユニークな時計“ミルシップ”は、2021年に初めてブローバから発売される。最大の特徴は6時位置に備えられた“モイスチャーインジケーター”だ。
これはオリジナルモデルに搭載されていたのと同じく、ケース内部に高湿度を検出した際、インジケーターの色が変わることで知らせてくれるユニークな機能。万が一防水性能が失われた際には、モイスチャーインジケーターが通常時のライトブラウンからブルーに変化するが、本作は20気圧の防水性を備えているため安心して使用できる。
ブラック文字盤に夜光塗料を塗布した針やインデックス、ラグの形状などは、洗練されたデザインでありながら汎用性を兼ね備えている。また、当時のMIL-SHIPS-W-2181潜水用の仕様を忠実に復刻した、両回転トップリングを採用。これは安全性を高め、水中用のグローブでも操作可能な、押し込んで操作するプッシュロック式だ。なお裏ブタには“Master Diver Helmet”の刻印が施されている。
BULOVA(ブローバ)
アーカイブスシリーズ ミルシップ

【問い合わせ先】
ブローバ相談室
TEL.0570-03-1390
提供元・Watch LIFE NEWS
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