10月とはいえまだまだ日中の最高気温が30°を超えている南の島。しかし海の中は確実に秋の気配が深まっています。秋の回遊魚の代表格のメアジが沿岸にやってきました。こいつのフライは絶品です。今回はメアジを釣ってフライでいただくまでの記事になります。
私にとってのメアジとは
南国の島にはさまざまなアジの仲間がやってきます。それこそ80kgを超えるロウニンアジや、4㎏前後の美味しいカスミアジなど回遊魚食魚系アジの多いこと多いこと。ところがいわゆる「マアジ」は回っては来ません。好きな魚を3つあげろと言われたら迷わず「マアジ、マイワシ、マサバ」と答える私としては、あげた3種類の魚が1匹も回ってこない南の海から似たような味の魚を日々探しています。その筆頭が「メアジ」でなんです。
メアジの基本情報
メアジの語源(島ではガティン)
パッと見はマアジに見まごう形をしているメアジですが、マアジと比べて目が大きいのが特徴であり名前の由来です。関東に住んでいた時には実はこの魚、見たことがありませんでした。噂でのみ知っていました。島に移住して初めてお会いした時も島では「ガティン(沖縄ではガチュン)」と呼ばれていますのでそれがメアジだとは気が付きませんでした。自分で釣ってさばく時に初めて「おや」と思い近所の釣り名人に聞きに行き、それがメアジだと知りました。
深みのある味わい
姿形は全国的に見られるマアジに良く似ていますが、幾つかメアジならではの特徴があります。まず体表が「サバ」に似ていること。初めて島で触った時に、「あ、こいつはアジとサバのハーフだ」と真面目に思いました。次がゼイゴの薄さ。マアジより柔らかく薄いゼイゴを持っています。そして最後が血合いの大きさ。体表面積の半分くらいはあろうかという血合いなのですが、実はこれがメアジの味の深さを作っています。新鮮なうちなら旨味だらけのアジなんです。
アジングの対象魚としてのメアジ
関東地方でも時々水揚げされますが、マアジの美味さに隠れて安い魚ランキング上位になっているメアジ。釣り方釣れ方食べ方はまったく同じなのにかわいそうな話です。奄美以南ではアジといえばこのメアジしかいないので当然アジング対象魚になるのですが、ギンガメアジやオニヒラアジと一緒に回遊していることが多いので、なかなかタックルチョイスが難しい魚です。とりあえずエギングロッドとショアジグロッドの2本は担いで行きます。
今回の釣行記「アジング」
フェリー発着場での夜釣り
大潮から中潮に変わる時節の深夜12時。満潮が11時過ぎだったので、下げ始めで活性が上がる頃を狙っての釣行。昼間中学生の男子どもが近くの河口にヒラアジがきていると教えてくれたが、こちらは深夜がメインの釣り師、常夜灯の無い場所での釣りはしない。ベイトは見えるがなんだかのんびりと泳いでいる。ううむ、ハズレの香りがぷんぷんする。とりあえずアジングを始めるがアタリは無し。
メタルバイブに替えたとたん
少し沖目を狙ってみようとメタルバイブに変更して中層を探ると、一発でヒット。ロッドはエギングロッドからショアジグロッドにチェンジしていたために、のされることはなかったですが引きは強烈。掛かり所が良さそうな場所だったためにぶり上げる。揚がってきたのは本命のメアジ。30㎝ほどのぷりぷりに太ったきれいな魚体でした。しかしこのメタルバイブ、100均で手に入るルアーの中で№1だと思います。
今回の釣果
ぷっくり太ったメアジ
全体的にぷっくりとした30㎝オーバーのメアジ。今回は初めからフライでいただくつもりの釣行だったため締めもせず、血抜きもせずにすぐにロッドを振り直しましたが後が続かず。結局この1匹で納竿となりました。あ、フライにするから処理をしなかった理由は、この大きさのアジなら皮ごとフライにするのでウロコ曳きが待っています。その時に下処理がしてあるとウロコが曳きにくいという理由です。
パーシャルで2日寝かす
離島住みというのはいろいろと面倒が多く、例えば買い物などは週に1度しか出られません。すると毎日のメニューなども行き当たりばったりでは効率が悪くなるのでおおむね一週間分のメニューを決めてしまいます。そこにイレギュラーで入ってきた魚などを入れ込むとなるとどうしてもすぐにはさばけないことも出てきます。今回がそれで、好むと好まざるにかかわらずパーシャルで二日間寝かせました。味も良くなりますしね。
アジフライを作っていく
フライ用はウロコを落とす
同じアジの仲間でもギンガメアジやナンヨウカイワリなどをアジフライにする時には皮を曳きます。これは皮がぶ厚いことと、やはり生臭いから。しかしメアジに関してはマアジと同じように皮付きのままで充分フライでいただけます。なんなら細かいウロコなので、ウロコすら付いたままでも気になりません。この細かいウロコを一応落として水洗いするところから始めます。
フライ用はゼイゴを外す
以前の記事で「アジ系は皮をむく時にゼイゴまで剥がれるので無理にゼイゴは取らなくても良い」と書きましたが、フライ用はきちんと取りましょう。この部位ばかりは揚げたくらいでは食べられるレベルまでにはなりません。ただメアジのゼイゴは薄くて柔らかいので、あまり神経質に削らなくても良いでしょう。体側まで入った部分は残っていても構いません。
三枚におろす
通常のアジフライですと背開きにして腹骨を漉いて扇形のフライを作るのですが、今回のメアジが肉厚なことと、当家が二人暮らしであることを鑑みて三枚におろすことにしました。実は三枚におろすのと扇状に開くのでは、手間はあまり変わりません。食べやすさからいえば、三枚におろすほうが当然上ですので、アジフライ作り全般で三枚おろしはおすすめなんです。
塩をして臭み抜き
お刺身でも塩焼きでもフライでも、お魚の下ごしらえをする時には塩を軽く振ることをおすすめします。皮下にある余分な水分と生臭みを浸透圧の力で外に押し出して(吸い出して?)くれます。この作業をすることで旨味がグンと上がりますので、やらない法はありません。15分ほど置いたら真水で洗い、水分をよく拭き取ります。あとは料理法によって新たに塩をしたり、胡椒を振りかけたりしましょう。
メアジフライを揚げていく
衣を作る(コツ)
フライをカリッと簡単に揚げるコツを一つ。通常フライは小麦粉を振って卵液に漬けてパン粉をまぶして揚げますが、バッター液で作るやり方をおすすめします。そもそもバッターには衣の意味がありますが、ここでは下地に使います。卵、水、小麦粉、牛乳などを混ぜた「衣液」に揚げダネをくぐらせてパン粉をまぶすのですが、それを「コツのいらない天ぷら粉」などのみで作ります。水で天ぷら粉を溶くだけで完璧なバッター液ができますよ。
高温で揚げていく
バッター液にくぐらせた揚げダネにパン粉をまぶしたらいよいよ揚げです。油の温度を170°程度に上げておきます。生でもいただけるお魚や貝などはお肉などと違い、じっくりと揚げる必要はありません。タネを入れたら少し火力を弱め、焦げないように気を付けます。衣がカリッとするまで揚げたら油をよく切って予熱で火を通しましょう。揚げ色の目安はポメラニアン色程度がおすすめです。
旬のお魚は絶品です!
昔から「旬のものをいただくと寿命が延びる」と言われています。もちろん迷信なのでしょうが、旬のものはお野菜でもお魚でも口に入れると活力が湧いてくる気がします。農家の方や漁師さんの体が何となく強そうに感じるのもその辺りに理由がありそうですよね。農家さんや漁師さん並みにとはいきませんが、家庭菜園や釣りを趣味に持っている方々も旬のものを口にするチャンスは多いと思います。秋から冬にかけての旬の魚を食べまくっちゃいましょう。
文・kuma10/提供元・暮らし~の
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