離島での生活には郵便に関連したストレスが付きまといます。
「小さい郵便物でも到着まで一週間以上かかる」「販売サイトの送料無料地域から必ず外れる」「台風が来ると予定通りの到着は絶望的」など、離島生活を経験した人なら、いずれも経験があるかもしれません。
しかし最近、そんな配送上のストレスを解消するかもしれない、「離島への新たな輸送方法」が確立されようとしています。
イギリスの郵便事業を営む「Royal Mail」がオークニー諸島に向けて、自律型の無人航空機(ドローン)による郵便配達を実施したのです。
ドローンは海が荒れても霧が出ても問題なく飛行できるため、遅延なく配達できます。
自律型ドローンがイギリスの離島に郵便物を届ける
イギリスの北部には約70の島々で構成されたオークニー諸島があります。
本土とオークニー諸島は幅15kmの海峡によって隔たれているため、陸送だけでは郵便物を届けることができません。
またオークニー諸島内の島々すべてに荷物を届けるのはさらにたいへんです。
ある島から別の島までの距離が数十km離れている場合もあり、毎回その距離を船や大きな飛行機で輸送しなければいけないのです。
また海が荒れたり霧が出たりするだけでも輸送が難しくなるので、小さな郵便物であってもすぐに遅延してしまいます。
そこでイギリスのRoyal Mail社は、輸送サービスを提供する非営利団体「Windracers Ltd」と協力して、ドローンによる無人の郵便配達にチャレンジすることにしました。
この取り組みに利用されたのは大型のツインエンジンドローンです。
この自律型ドローンは一度に最大100kgの郵便物を載せ、霧や海の状態に関係なく、目的地まで安全に届けることができます。
ちなみに飛行中は、コンピュータによって完全に制御されています。
作業員がいくつかの危険ポイントを選択するだけで、あとはプラン通りに自動飛行してくれるのです。
そして作業員がドローンに装備したカメラの映像を常時監視しているため、トラブルがあった時にはすぐに対処できるとのこと。
実際、2週間の試験運用ではオークニー諸島の州都カークウォール(Kirkwall)から最北端のノース・ロナルドセー島(North Ronaldsay)へと郵便物を運びました。
この2点間の距離は56kmでしたが、20分未満で届けることができたそうです。
ノース・ロナルドセー島は住民が70人の小さなコミュニティですが、そのような場所にも素早く郵便物が届くようになったのですね。
今後、Royal Mail社は試験運用の成果を考慮し、郵便ドローンの運用範囲をイギリス全土の遠隔地へと拡大するかもしれません。
同様の技術が世界各地に広がるのを期待したいところです。
参考文献
Drones used to deliver post to remote Orkney island
Another Royal Mail First: Company trials delivering 100% of remote community’s mail by lower emission drone
提供元・ナゾロジー
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