サムスン電子など半導体メーカーに対するバイデン米政府の半導体供給網の情報提供要求について、異例とまでは言えず、これを拒否すれば、米国の公共調達市場への参加が制限される可能性があるという見通しが出た。韓国メディアのグローバル経済新聞が報じた。
米国のシンクタンクである韓米経済研究所(KEI)のマーク·トコラ副所長ら研究陣は12日(現地時間)、米国ワシントンDCのKEI事務室で主要20カ国(G20)財務相会議同行の韓国取材記者団と会い「米国政府の(半導体市場)介入は驚くべきことではない」とし、このように述べたという。
1940年代にAT&Tにトランジスター技術を業界に共有することを要請するなど、米国政府が過去にも技術普及と国内産業成長を助けるため、企業に情報共有を要求したことがあったというのが彼らの説明だ。
研究陣は「多くの場合、米政府は企業から盲目的に(提供された情報を)取らず、一般的に(企業と)交渉をする」とし「米政府はサムスンを米国経済において交渉しうる重要な企業と見ている。ワシントンの望みはサムスンとの協力であって、対立ではない」と強調した。
続いて「米国政府はほかの企業にも同じ情報を要求している。(今回の要求は)サムスンを狙ったものではない」とし「米国市場でサムスンの情報が同種業者に知られても、サムスンの生産能力を米国企業が代替するのは難しいだろう」と述べた。
研究陣は米国政府の要求を「自発的な要請(voluntary request)」と表現した。
サムスンがこれを拒否した場合に取られる措置を聞くと「今後、公共調達への参加が制限される可能性もある」とし「公共部門で働いたり(米国)政府向けに取引する企業に対する米国政府の(資料提供)要求は異例ではない」と答えた。
トコラ副所長は「米国政府は互いに競争が激しい企業と長年協力した経験がある。」とし、「特に国防分野でそうした経験があるが、BAEシステムズ(British Aerospace Systems)のような外国企業がロッキードマーティン社のような米国の競合企業に敏感な情報が漏れるのを恐れず米国政府と情報を共有するケースがあった」と紹介した。
また「BAEシステムズは協力の見返りとして収益性のある米国の国防調達市場に参入した」と付け加えた。
研究陣は、「バイデン政権の目標は半導体チップ数を増やすことだけに、サムスンが拒否しても関税が課せられる可能性は高くない」とも話した。
また「アップルのような米国を代表する企業の供給網を脅かす先例を作ることができるという点でサムスンに負担な要求をする可能性は高くない」とし「不当な待遇があれば国内業界の抗議も大きい」と付け加えた。
コロナ19危機克服の過程で発生した国別格差問題の解消案については、先進国と新興国の財政的協力を強調した。
研究陣は「米国と韓国は増加した公衆保健支出に対処するため、多者間機関を通じて協力しなければならない」とし「国際通貨基金(IMF)の追加特別引出権(SDR)をどのように活用すべきかについて異見があるが、より多くの公共支出をする方がもっと責任感ある政策方向」と述べた。
提供元・コリア・エレクトロニクス
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