中古車のハーレーの価格高騰が起こっているなど、人気が高まってきているバイク趣味。「ひとりで楽しめるから密にならない」と、近年のご時世ならではと思える話を聞くこともチラホラ。そんな風潮から注目を集めているハーレーダビッドソン、古き良き時代の鼓動を味わえる中古車から探すとなると、誰もが「程度の良い中古車を格安で手に入れたい」と思うもの。

程度の良し悪しと並んでユーザーを悩ませるのが「車種選び」。ひとくちにハーレーダビッドソンと言ってもタイプはさまざまあり、アメリカンという大きなくくりのなかでも、ソフテイルデラックスやスーパーグライドとモデル名を聞いても違いが分かりづらいところです。

今回、ハーレーダビッドソン専門ウェブマガジンの編集長として、そしてフリーランスのモーターサイクルジャーナリストとしてアメリカやヨーロッパでの海外試乗会にも参加した私が、10年以上の経験のなかで試乗したツインカムエンジン搭載モデルから「これ最高!」と感じた10モデルを 独断と偏見でランキングしました。各モデルの特徴も解説していますので、中古車選びのポイントとして参考にしてみてください。

目次

  1. ツインカムモデルのタイプ別解説
    1. ツーリングファミリー
    2. ソフテイルファミリー
    3. ダイナファミリー
  2. ハーレーメディアの元編集長が語る極上モデル10選-ツインカム編
    1. 10位 ワイドグライド
    2. 9位 ウルトラリミテッド
    3. 8位 ロードキングクラシック
    4. 7位 クロスボーンズ
    5. 6位 ストリートグライド
    6. 5位 ソフテイルスリム
    7. 4位 ファットボブ
    8. 3位 ソフテイルデラックス
    9. 2位 ソフテイルスリムS
    10. 1位 ローライダーS
  3. まとめ

ツインカムモデルのタイプ別解説

ハーレーメディアの元編集長が語る極上モデル10選-ツインカム編
(画像=ツインカムエンジン、『Moto Megane』より引用)

今回紹介するモデルに共通している「ツインカムエンジン」は、1999年から2016年までハーレーダビッドソンのビッグツインモデルに用いられたエンジンです。モデルによって排気量が変わりますが、ベースはすべて同じ。空冷45度VツインOHV式で、排気量は1,450ccから最大1,801ccまでありました。

2017年からビッグツイン系モデルのエンジンは今のミルウォーキーエイトへと移行し、よりパワフルでスポーティな走りが楽しめるようになりました。逆にこのツインカムはボアアップしながら存続してきた歴史もあってか、ミルウォーキーエイトにはない ハーレーらしい鈍重さが楽しめることから、中古車試乗で人気を博しています。新型エンジンは正常進化の賜物ですが、先代エンジンであるツインカムにはスポーティさとは一味違った、古き良き時代のハーレーダビッドソンが楽しめる風味があるというわけです。

ツインカムエンジンを搭載したモデルは、「ツーリングファミリー」「ソフテイルファミリー」「ダイナファミリー」の3カテゴリーに分けられます。それぞれの特徴を解説しましょう。

ツーリングファミリー

ハーレーダビッドソンのフラッグシップモデル「ウルトラ」に代表されるメガツアラーモデルが並ぶ最上級カテゴリーです。アメリカ大陸横断バイクを生み出すことを目指したハーレーダビッドソンの原点とも言えるファミリーで、積載量をアップさせるサドルケースやリアケース、長距離走行の負担を減らす各種装備と、一度乗ってみれば「アメリカ大陸横断、余裕でできんじゃね?」と感じさせてくれる充実ぶり。その分300kgを超える重量級モデルに仕上げられているので、その取り回しは容易とは言い難いもの。ホンダ・ゴールドウイングらと並ぶ大型モデル群です。

ソフテイルファミリー

今でこそ当たり前のように備わる前後サスペンションですが、バイクの進化の過程においてサスペンションというものが存在しない時代がありました。リアホイールはフレームに直接マウントされ、走行時のワダチでの衝撃がダイレクトにライダーに襲いかかる仕様だったのです。直接ホイールを取り付けるそのフレーム構造を、アメリカでは「Hard Tail」(ハードテイル/ハードな衝撃に襲われる尾っぽ)と呼んでいました。

このソフテイルファミリーは、当時のハードテイルのフレームから成るシルエットを現代に再現しつつ、フレーム下部に特殊なサスペンションを備つけたことで快適な走りが楽しめる「Soft Tail」(ソフトテイル/優しい尾っぽ)から その名が付けられました。

このソフテイルファミリーには、往年のハーレーダビッドソンの名車を現代版にアレンジしたクラシカルなモデルが並んでいます。

ダイナファミリー

1970年代、「ツーリングファミリーのビッグツインエンジン(当時はショベルヘッドエンジン)とスポーツスターのスポーツ走行性能を掛け合わせたら面白いモデルができる」とのアイディアから生まれたダイナファミリー。パワフルなエンジンに耐えられるツインショック構造のフレームを新たに開発し、そこにビッグツインエンジンを搭載した新カテゴリーが誕生しました。

新型エンジン ミルウォーキーエイトになり、ダイナファミリーのモデルはソフテイルファミリーに吸収され、ダイナファミリーの歴史は数年前に終わりを告げましたが、ハーレーダビッドソン創業者の孫で近代のハーレーを支えた”生きる伝説”ウィリーG(ウィリアム・G・ダビッドソン)がダイナファミリーそのものと数々の名車を生み出したことから、今なお根強いファンが存在するカテゴリーなのです。

ハーレーメディアの元編集長が語る極上モデル10選-ツインカム編

10位 ワイドグライド

ハーレーメディアの元編集長が語る極上モデル10選-ツインカム編
(画像=FXDWG ワイドグライド、『Moto Megane』より引用)
  • ダイナファミリー

個人的にはトップ5に入れたいほど”ハーレーらしいハーレー”なワイドグライド。なぜ10位という低いランクなのか、それは圧倒的乗りづらさから。

このモデルにカッコよく乗れるのは身長175cm以上が必要という、乗り手を選ぶバイクです。今でこそハーレーも体型の大小に関わらず乗りやすいバイクを作っていますが、ツインカムエンジンを搭載したこのワイドグライドが手がけられた当時は「アメリカ人によるアメリカ人のためのバイクメーカー」が堂々とまかり通る、小柄な日本人のことなど一切考慮していないスタイル重視で設計されたラインナップでした。なかでもワイドグライドは 1970年代のチョッパーカルチャーを反映した「フレイム(炎)デザインのフューエルタンク」「チョッパースタイルの基本 Low & Long(低く、長く)スタイル」「長い脚でなければサマにならないフォワードコントロールステップ」「21インチのフロントホイール」「うず高く持ち上がったエイプハンドルバー」という要素すべてを盛り込んだ、ノーマルでこの強烈な個性を匂わせるモデルなのです。

ハーレーメディアの元編集長が語る極上モデル10選-ツインカム編
(画像=FXDWG ワイドグライド、『Moto Megane』より引用)

スタイルは”伝統のチョッパー”そのもの、しかし乗り心地はBAD。

男性の平均身長が約171cmという日本人にとって、もはや気持ちよく乗せる気がないと言ってもいいワイドグライド。乗りやすさの対極に位置するモデルに、古き良き時代のハーレーダビッドソンの魂を感じます。「ハーレーは痩せ我慢して乗るバイク」だと教えてくれるモデル、これを選ぶ人こそ”真のハーレー乗り”と言えるのかもしれません。

9位 ウルトラリミテッド

ハーレーメディアの元編集長が語る極上モデル10選-ツインカム編
(画像=FLHTCU ウルトラリミテッド、『Moto Megane』より引用)
  • ツーリングファミリー

“キング・オブ・モーターサイクル”という呼び名の象徴たるハーレーダビッドソン伝統のフラッグシップモデル、ウルトラがこちら。総重量は370kgオーバーと、乗り回すのはおろか取り回すことさえ躊躇う超重量級モデルです(昔、ウルトラのインプレ企画をフリーランスライターさんに相談したら「ウルトラは怖いから嫌です」と断られたことありました)。一般的なスポーツバイクなら200kg前後、ソフテイルやダイナでも200kg後半から300kgを超えるか超えないか、ぐらいなので、370kgオーバーというのは もはや嫌がらせのレベルと言えます。

ハーレーメディアの元編集長が語る極上モデル10選-ツインカム編
(画像=FLHTCU ウルトラリミテッドの走行シーン、『Moto Megane』より引用)

ウルトラをはじめ、ロードグライドやストリートグライド、ロードキングと言ったツーリングファミリーが手がけられる目的、それはアメリカ大陸横断バイクであること。現在の最新モデルはミルウォーキーエイトという最新エンジンが搭載されていますが、1998年から2016年まではツインカムエンジンがその心臓を務め、初期のツインカムエンジンのウルトラは排気量1,449ccでしたが、最終年には1,800ccに及ぶまでのパワーを付与されていました。

ハーレーメディアの元編集長が語る極上モデル10選-ツインカム編
(画像=FLHTCU ウルトラリミテッド、『Moto Megane』より引用)

一般的なネイキッドバイクを超える重装備を備えるバイクゆえに、過不足なく推進させるにはより大きなパワーを必要としたウルトラ。初めてアメリカでウルトラに試乗したとき、ウルトラというバイクの価値を理解できた想いでした。正直言ってウルトラにとって日本は狭すぎるかもしれません。このモデルには、ハーレーダビッドソンの創業以来のDNAが刻み込まれていると言えます。

この日本でアメリカのモーターサイクルカルチャーを体感したい、そんな人はぜひウルトラを選んでみてください。本州縦断すら難なくこなしてくれるバイクです。

8位 ロードキングクラシック

ハーレーメディアの元編集長が語る極上モデル10選-ツインカム編
(画像=FLHR ロードキング、『Moto Megane』より引用)
  • ツーリングファミリー

前述のウルトラと同じツーリングファミリーのモデルながら、重装備のラインナップとは打って変わってクラシカルなスタイルのツアラーです。ウルトラやロードグライドといった重量級モデルが増えてきたツーリングファミリーに残る、いやハーレーダビッドソンが”残したかった”古き良き時代のモデルと言えます。源流は1958年と、半世紀以上昔に生まれた FL デュオグライド。エンジン、フレーム、フットワークなど他モデルと遜色ない正常進化を遂げていますが、スタイルはデュオグライドそのもの。

ハーレーメディアの元編集長が語る極上モデル10選-ツインカム編
(画像=FLHR ロードキング、『Moto Megane』より引用)

ウルトラと同じ排気量のツインカムエンジンを搭載しているので、軽量なロードキングだとよりスピードが楽しめる仕様になっています。そして何よりロードキングの魅力としてお伝えしたいのは、旅先のどんな風景にも似合うそのデザイン。牧歌的な日本の原風景にさえ自然に溶け込んでしまう、”伝統”を体現してくれるメガツアラー ロードキング。必要以上に飛ばさなければフロントスクリーンが走行風を防いでくれるので、ハイウェイライドも苦になりません。味わいとともに ゆったりと日本を駆け回りたい、そんな方にオススメの一台です。

7位 クロスボーンズ

ハーレーメディアの元編集長が語る極上モデル10選-ツインカム編
(画像=FLSTSB ソフテイル・クロスボーンズ、『Moto Megane』より引用)
  • ソフテイルファミリー

フロントフォルムにインパクトを与えているスプリンガーフォークこそ、クロスボーンズ最大の魅力と言えるでしょう。この数年後、アメリカの交通法規の変更により公式にスプリンガーフォークを採用したモデルを作れなくなったことから、最後のスプリンガーフォークモデルとして名を残しました。

バイクのフットワークそのものを支える前後サスペンションは年々進化しており、スプリンガーフォークはある意味時代の遺物。しかしながら”飛ばさない快感”を楽しめるハーレーダビッドソンだからこそ 乗り味が損なわれようともスタイリングを愛せるカルチャーがあり、このクロスボーンズはそうした愛でるべきハーレーらしさを体現した最後の一台とも言えます。

乗り心地? 最新モデルとは比べるべくもないですが、前後16インチのスポークホイール&極太タイヤにスプリンガーフォーク、エイプハンガーと、今のハーレーダビッドソンにはない古き良き味わいがこの一台に詰め込まれています。

6位 ストリートグライド

ハーレーメディアの元編集長が語る極上モデル10選-ツインカム編
(画像=FLHX ストリートグライド、『Moto Megane』より引用)
  • ツーリングファミリー

「ウルトラじゃん」そう思った方はやや早合点でございます。確かに「バッドウイングフェアリング」と呼ばれるフロントマスクやボディラインはウルトラですが、ストリートグライドはその名の通り、「街乗りを楽しむメガツアラー」として生み出されました。300kgオーバーのストリートバイクと言われても、日本人的には少々理解し難いですよね。

元々はアメリカ西海岸で流行した「バガー」というカスタムスタイルから。これはウルトラをはじめとするメガツアラーの余計な装備を削ぎ落とし、大きなフロントホイールや装飾でオリジナリティを表現するストリートカスタムのことを言います。ストリートグライドは、そんなムーブメントにマッチしたベースモデルとして わざわざH-Dカンパニーが用意したものなのです。

ハーレーメディアの元編集長が語る極上モデル10選-ツインカム編
(画像=FLHX ストリートグライド、『Moto Megane』より引用)

前後17インチホイールやリアケースを備えるウルトラと異なり、フロント19/リア18インチというツアラーには似つかわしくない大径ホイールが奢られ、よくよく見るとフォグランプといったツアラー向け装備は取り除かれ、バガースタイルらしくリアエンドも大きなテールランプなど不要と 流麗なシルエットを重視した仕上げとされています。

アメリカのアウトローが好んで個性を発揮し合うバガーカスタム、その土台となるこのストリートグライド。ウルトラよりも操りやすく、自分色に染めやすいところがカスタムカルチャーを育んできたハーレーらしさとも言えます。そんな乗り方をしている日本人の方ってCoolだな、と思ってしまう私です。

5位 ソフテイルスリム

ハーレーメディアの元編集長が語る極上モデル10選-ツインカム編
(画像=FLS ソフテイルスリム、『Moto Megane』より引用)
  • ソフテイルファミリー

「スリムって」と ついツッコんでしまいたくなるネーミングですが、コンセプト通り無駄を削ぎ落とした ソフテイルファミリーのなかでもとりわけスポーツライドが楽しめるモデルです。そのコンセプトは、1950年代アメリカのダートトラックレースで活躍した「ボバー」と呼ばれるレーシングカスタム。当時ハーレーダビッドソンのモデルのホイールは前後16インチが基本で、フットワーク強化を目的に太いタイヤを履かせてグリップ力を高めていました。そのうえで、装備品はもちろん前後フェンダーまで短くカットし、「前後16インチホイール + ファットタイヤ」「油圧式フロントフォーク」「大きなヘッドライト」「ダートラ仕様バーハンドル」といったディテールから成るボバーが成熟していったのです。

ハーレーメディアの元編集長が語る極上モデル10選-ツインカム編
(画像=FLS ソフテイルスリム、『Moto Megane』より引用)

スポーツスターだとフォーティーエイトがボバーにあたりますが、トライアングルを描くソフテイルフレームで組み上げられたソフテイルスリムこそ「ザ・ボバー」と評したい一台。そしてエンジンがツインカムで、ボディそのものは軽量にまとめられながら やや重ったるいエンジンが”飛ばさない快感”を楽しませる仕上がりとなっています。乗り味はソフテイルファミリーで五指に入る快適さ。ツーリングを楽しみたい人には装備が充実しているヘリテイジソフテイルクラシック(ヘリテイジ)が向いているかもしれませんが、街乗りにも用いたい人にはこのソフテイルスリムをオススメしたいですね。

4位 ファットボブ

ハーレーメディアの元編集長が語る極上モデル10選-ツインカム編
(画像=FXDF ファットボブ、『Moto Megane』より引用)
  • ダイナファミリー

デュアルヘッドライト、前後16インチのディッシュホイール + ファットタイヤ、真一文字のドラッグバー、2本出しのショットガンマフラーと、ダイナファミリーでありながらナローなフォルムを微塵も感じさせない亜流とも言えるファットボブ。初めてこのモデルを見たときは「またハーレーがおかしなことをした」と思ったのですが、いざ乗ってみたら……凶暴なまでにスポーティで、抜群のハイウェイライドを味わわせてくれたのだから また驚いた次第でした。

ハーレーメディアの元編集長が語る極上モデル10選-ツインカム編
(画像=FXDF ファットボブ、『Moto Megane』より引用)

ダイナファミリーでありながら足回りを重くする前後16インチディッシュホイールに疑問を抱いていたのですが、実はこの重量感あるホイールが軽やかなスポーツライドにずっしりとした安定感を与え、しかも設置面の多さがワインディングでも過不足ないグリップ力を発揮するという。他メーカーのようなスポーツバイクを追求してこなかったハーレーだからこそ編み出せたマシンと言えるのかもしれません。

大雨のなか、ファットボブで高速道路を走るというシチュエーションに見舞われたのですが、ボディそのものはもちろん重量感あるホイールの恩恵か、不安定なコンディションのなかでも不安なく高速走行を楽しませてくれたのが特に印象的でした。

伝統から外れたフォルムながら、ゆえに生み出すことができた亜流モデル ファットボブ。その実力はツインカム搭載モデル中でも屈指です。

3位 ソフテイルデラックス

ハーレーメディアの元編集長が語る極上モデル10選-ツインカム編
(画像=FLSTN ソフテイルデラックス、『Moto Megane』より引用)
  • ソフテイルファミリー

年を追うごとにファクトリーカスタムモデルなど 目を引く魅力的なモデルが増えてくるなか、変わらぬ姿でラインナップに君臨し続けるデラックス。ネーミングこそベタい印象ですが、3灯ヘッドライト、フルメッキのツインカムエンジン、前後16インチホイール、ホワイトリボンタイヤ、1950年代を彷彿させる大柄な前後フェンダー、トゥームストーン(墓石)テールライトと、ロードキングと並ぶ”現代に生きる伝説”とも言える存在です。

ハーレーメディアの元編集長が語る極上モデル10選-ツインカム編
(画像=FLSTN ソフテイルデラックス、『Moto Megane』より引用)

ソフテイルスリムと比較するとわかりやすいのですが、より軽量なスリムがスポーティな仕上がりなのに対して、サドルケースなど積載グッズこそないものの 重心がしっかりと定まったスタイリングから成るデラックスのライディングは安定感抜群で、身長160cm未満の方でも足つきに不安なく乗れ、それでいて乗りやすいという万能型モデルです。

他メーカーのいろんなバイクに乗ってきたという方でも、このデラックスに乗ってみればハーレーダビッドソンの哲学が垣間見えることでしょう。それぐらい、多くの人に乗ってみて欲しい、多くの人に知ってもらいたい一台です。

2位 ソフテイルスリムS

ハーレーメディアの元編集長が語る極上モデル10選-ツインカム編
(画像=FLSS ソフテイルスリムS、『Moto Megane』より引用)
  • ソフテイルファミリー

前述のソフテイルスリムの上位互換モデルで、ツインカム110Bと、排気量は1,801ccに及びます。そう、ウルトラに搭載されている仕様です。超重量級モデルのウルトラなら「そのぐらいのパワーは当然必要」と思うところですが、ネイキッドバイクとも言えるソフテイルスリムにツインカム110Bを搭載したら、ただただ凶暴なバイクになって操り切れないのでは。誰もがそう思うところでしょう。

ハーレーメディアの元編集長が語る極上モデル10選-ツインカム編
(画像=FLSS ソフテイルスリムS、『Moto Megane』より引用)

確かにソフテイルスリムを超えるパワーを持ち合わせていたスリムS。ハイウェイ、ワインディング、ストリートとさまざまなシチュエーションで確かめてみると、持て余すと思われていたパワーが暴れることなく、よりフットワークを確かなものにしたジェントルな乗り心地になっていたことに驚かされました。調子に乗ってバンクさせるとステップボードを簡単に擦ってしまいますが、ついそんな走り方を楽しみたくなるスリムの兄貴分なのです。1位に登場するモデルに乗るまで、このソフテイルスリムSが私のなかでダントツの1位評価モデルでした。

たった一年、限られた台数だけの販売だったので、中古車市場に出てくることは稀ですが、もしソフテイルスリムを軸に中古車検索をしているとき、このスリムSを見かけたら(もちろん程度の確認は必要ですが)「気になる一台」として即チェックすることをオススメします。

1位 ローライダーS

ハーレーメディアの元編集長が語る極上モデル10選-ツインカム編
(画像=FXDLS ローライダーS、『Moto Megane』より引用)
  • ダイナファミリー

ダイナファミリーのなかでも伝統の一台として今なお継承されるローライダー。ハーレーダビッドソンに触れたことがある人で、その名を聞いたことがない人はまずいないでしょう。そのローライダーをベースモデルに、前述のソフテイルスリムSに続いて「Sシリーズ」としてツインカム110(排気量1,801cc)を搭載したのがこのローライダーSです。

ただローライダーに大排気量エンジンを積んだだけのモデルではありません。今もアメリカのアウトローのあいだで人気のカスタムスタイル「クラブスタイル」にまとめ上げられています。前後サスペンションやホイールをよりスポーティに強化し、うず高いライザーで持ち上げられたドラッグバー、そして個性的なビキニカウルでフロントマスクを彩り、真っ黒に仕上げるこのスタイルは、ヘルズエンジェルスを題材にしたアメリカのドラマ「SONS OF ANARCHEY」(サンズ・オブ・アナーキー)の主人公のハーレーと瓜二つ。エンジンから進行方向に向けて突き出されるスクリーミンイーグルのエアクリーナーもパフォーマンスアップとともに 良い味付けになっています。

ハーレーメディアの元編集長が語る極上モデル10選-ツインカム編
(画像=FXDLS ローライダーSのワインディング走行シーン、『Moto Megane』より引用)

ハーレーダビッドソンのカスタムスタイルにおいて「美しい」とされるLow & Long(低く、長く)。ローライダーSはLow & Longスタイルを見事に表現していますが、それだけを見ると ことライディングに関しては「真っ直ぐだけが取り柄の直線番長」だと思われることでしょう。

ところがこのローライダーS、ワインディングでも過不足ない性能を発揮するのです。フランスで開催されたメディア向け試乗会で用意されたコースは、マルセイユの山奥に広がるタイトワインディングで、同時試乗となったスポーツスター・ロードスターにはうってつけながら、「ローライダーSには不向きだろう」と思わず眉をひそめました。それがいざ走り出したところ、ともすればスポーツバイクとして高められたロードスター以上のパワフルな走行性能を味わわせてくれたのです。

ハーレーメディアの元編集長が語る極上モデル10選-ツインカム編
(画像=FXDLS ローライダーS、『Moto Megane』より引用)

シルエットはベースのローライダーと遜色なく、むしろハンドルがドラッグバーになっているので より操りにくくさえ思えるローライダーSですが、これが驚くことに抜群の操舵性能を堪能させてくれます。そのスタイリングからは俄かに信じ難いかもしれませんが、ツインカムエンジン搭載モデルのなかで文句なしの1位と評したい 完成度高いモデルでした。このローライダーS、前後サスペンションやEFIチューニングをかけたりしたらどうなるんだろう……想像するだけでワクワクがとまらない特別な一台。中古車市場で発見したら、可能な範囲でキープしちゃいましょう。

まとめ

ハーレーメディアの元編集長が語る極上モデル10選-ツインカム編
(画像=『Moto Megane』より引用)

いかがでしたか。「あれ、あのモデルが入っていない」などご意見もあろうかと思います。正直、このトップ10に入れたかったけど泣く泣くランク外としたモデルは多数あります。そんななかで、皆さんにより良いハーレーライフを送っていただくべく、その参考となればとまとめさせていただきました。こうして振り返ってみると、ツインカムエンジン搭載モデルは実に個性的なものばかりでした。最新エンジン ミルウォーキーエイトにはない、良い意味での鈍重な乗り心地が魅力のツインカム、機会があれば実車に触れてみて、良いモデルと出会えるキッカケとしてみてください。

提供元・Moto Megane

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