フェネックという動物をご存知ですか?大きな耳が特徴の小さいキツネのような動物です。

くりくりとした大きい目が愛らしく、風の谷のナウシカに出てくる「テト」のモデルとも噂されています。しかしその可愛らしさとは裏腹に実は野性が強く、飼育が難しい動物です。

この記事ではそんなフェネックの生態や、飼育上の注意などをご紹介します。

目次

  1. フェネックってどんな生き物?
  2. フェネックって飼えるの!?
  3. フェネックに会える場所

フェネックってどんな生き物?

世界最小の飼えるキツネ「フェネック」の生態
(画像=くつろぐフェネック / 写真AC、『ナゾロジー』より 引用)

ここからはフェネックの生態をご紹介していきますね。

イヌ科キツネ属に属するフェネック、顔立ちがキツネよりも優しいので「イヌなの?キツネなの?」と迷われる方も多いのですが、犬はイヌ科イヌ属ですのでフェネックはキツネの仲間です。別名「フェネックギツネ」と呼ばれることもあります。

体長30~40cmほどとイヌ科の中では最小であるにも関わらず、大きな耳は長さ10~15cmにも及び、ほかのイヌ科動物に負けないくらいの大きさです。

くりくりした大きな目と、大きな耳、ふわふわのしっぽなどどこをとっても可愛らしく、動物園の人気者です。まだまだ日本では珍しいのですが、ペットショップで目にする機会も増えてきました。

野生のフェネックはサハラ砂漠を中心とした北アフリカ全域の暑い地域に生息しています。毛色が薄い茶色なのも熱を吸収させず砂地にまぎれるためです。夜行性で、暑い昼は巣穴に潜っており、気温の下がる夕方から夜にかけて狩りを行います。

特徴的な大きな耳は暗い夜でも獲物が出す音をしっかりと捉えるためのもの。細かい血管が張り巡らされており、体温調節の役割も果たしているそうです。

キツネとしては珍しく、10匹ほどの群れで生活するフェネックは群れの中でコミュニケーションをとるため、鳴き声の種類が非常に豊富です。寂しいときなどは「オロロロロ…」と独特な鳴き方をしますし、甘えるときは「クーン」と犬が甘えるような声、嫌なときは「ニャー」と猫のような声など、ほかの生き物にはないような多彩な鳴き声を持っています。

フェネックの寿命

世界最小の飼えるキツネ「フェネック」の生態
(画像=寝ているフェネック / 写真AC、『ナゾロジー』より 引用)

フェネックの生後6~9か月で成年となり、寿命は平均10年ほどです。

小さいフェネックは野生下ではハイエナやジャッカルなどに襲われることも多く、10年というのはほぼ最大値ですが、飼育下では12~15年生きるとも言われています。

犬や猫の平均寿命は15年ほどですので、うまく飼育すれば同等程度長生きすることになります。体長を考えると、寿命は長い印象です。

フェネックは何を食べるのか

世界最小の飼えるキツネ「フェネック」の生態
(画像=ヒヨコを食べるフェネック / 写真AC、『ナゾロジー』より 引用)

フェネックは犬やキツネなどと同様「肉食に近い雑食」です。

野生下では昆虫、小鳥、爬虫類、卵などを食べ、水分補給のため植物の葉や根っこなどを食べることもあります。砂漠で暮らしているので、基本的には水分は食物から摂取し、水は飲まずに生活します。

飼育する場合は、ドッグフードやキャットフードなどを主食として、野菜・果物などを混ぜて与えるといいそうです。ドライフードだけでなく缶詰などのウエットフードを与えると水分が取れて安心ですね。

また、野生下ではサソリなどを取って食べることが多いフェネックの大好きな食べ物は生きた昆虫です。ペットショップに売ってあるミルワームやコオロギなどをおやつに与えるといいでしょう。

フェネックって飼えるの!?

世界最小の飼えるキツネ「フェネック」の生態
(画像=背中をまるめるフェネック / 写真AC、『ナゾロジー』より 引用)

ワシントン条約で保護されているフェネックですが、日本での飼育に際しては特別な許可や申請などは必要ありません。

ただし、フェネックは希少な生き物であるため、ペットショップなら100~150万円、ブリーダーから直接購入する場合も60~80万円とかなり高額な価格となっています。

また、フェネックを飼育するためには注意しておきたい点がいくつかあります。一つずつ説明していきますね。

①トイレを覚えない

フェネックは決まった場所で便をする習慣がない生き物ですので、トイレを覚えません。

また、フェネックの排泄物は他の動物と比べても臭いがきついため、早めに処理する必要があります。

部屋を汚されることも多々あるので基本的には飼育はケージ内で行うのがおすすめです。なお、ケージの床材をすのこにしておくと排泄物が下に落ちてくれて踏まずに済むので掃除がしやすいですよ。

②あまりなつかない

フェネックはイヌ科の動物ではありますが、犬のように人になつくことはありません。

芸などは覚えませんし、抱っこを嫌う子もいます。長く飼っていると飼い主の顔を覚えて、甘えた声を出したりすることがありますが、基本的には野生が強く、なつきにくい生き物であることを理解しておきましょう。

③診てくれる病院が少ない

エキゾチックアニマルであるフェネックは犬猫のようにどこの動物病院でも診てもらえるわけではありません。

何かあってから病院を探してもなかなか見つからないことがあるので、事前にフェネックを診てくれる病院を探しておく必要があります。

家畜化されていない野生動物であるフェネックの飼育は決して簡単ではありません。

可愛いだけで飼育を始めてしまわず、実際にフェネックと触れ合ったり、ブリーダーさんに話を聞いたりしながら慎重に検討したいものですね。

フェネックに会える場所

世界最小の飼えるキツネ「フェネック」の生態
(画像=群れるフェネック / 写真AC、『ナゾロジー』より 引用)

それでは最後に「本物のフェネックを見てみたい」「触れ合ってみたい」という方のために、東京近郊でフェネックに会える場所をご紹介します。

・井の頭自然文化公園

吉祥寺駅近くにある井の頭自然文化公園には10匹ものフェネックが飼育されています。

園内で生まれた3兄弟のフェネックもいて、兄弟仲良く遊ぶ姿はYoutubeなどでも大人気です。野生に近いのびのびとしたフェネックを見たいならおすすめの場所です。

・もふれる屋カラハリ

浅草駅近く「もふれる屋カラハリ」様々な珍しい動物たちと触れ合えるアニマルカフェです。

ほかのアニマルカフェではフェネックがいても触ることは禁止されていることも珍しくないのですが、もふれる屋カラハリではフェネックと直接触れ合うことができます。

・アニマルルームいけもふ

池袋駅東口からほど近い「アニマルルームいけもふ」にはたくさんの珍しい小動物や猛禽類などと触れ合うことができます。

フェネックについては500円でエサやり体験を行うこともできますよ。

まとめ

いかがでしたか?フェネックの可愛らしい容姿には、砂漠地方で生き抜く知恵がたくさん詰まっていましたね。

法的には禁止されていないものの、野生が保たれているフェネックの飼育は難しく、お金もかかります。

都内にはフェネックと触れ合える場所も複数ありますので、フェネックが気になるという方はまず足を運んでみてはいかがでしょうか。


参考文献

フェネックギツネ

【ペット】フェネックの飼い方:種類・寿命・値段まとめ


提供元・ナゾロジー

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