おすわりについて
[命令通り動く犬が良い犬?]
「愛犬が言うことを聞いてくれない」という飼い主さんからの相談は非常に多いです。
「おすわり」「おいで」「まって」など飼い主さんが指示を出しても全く言うことを聞いてくれない。
では飼い主さんの指示に完璧に従ってくれるわんちゃんが、理想の家庭犬なのでしょうか?
飼い主さんの指示に完璧に従ってくれるわんちゃんも素晴らしい家庭犬だと思うのですが、逆に飼い主さんの指示がないと動いてくれないわんちゃんになってしまいがちです。
人間社会で言う『指示待ち人間』といったところでしょうか。
こちらが指示さえ与えればちゃんと仕事をしてくれるのですが、それ以上の事が出来ないため常に指示を与え続けなければいけません。
これだと指示を与える方も疲れてしまいます。
わんちゃんと暮らす飼い主さんも、わんちゃんが起きてから寝るまで常に指示を出し続けることは難しいと思います。
家族の一員として共に暮らすのであれば、わんちゃんは家族の生活リズムを把握し、自分が今なにをすれば家族が喜んでくれるかを考え行動出来るわんちゃんが真の理想的な家庭犬だと思います。
わんちゃんが自分で考えて行動出来るようになれば、飼い主さんはわんちゃんに一つ一つ指示を出す必要がなくなり家族の負担も減ります。
例えば、飼い主さんが在宅ワークをしている時や電話がかかってきた時は静かに過ごす。
お散歩に行く前は玄関でおすわりしてリードをつけてくれるのを待つ。
遊ぶ時間は思いっきり遊ぶ。
飼い主さんが寝る時間になったら自分も寝床につく。
など、飼い主さんの生活リズムに合わせて行動してくれるようになります。
[飼い主さんが褒めの達人になる]
自分で考えて行動してくれるわんちゃんに育てるにはどのような練習をしていけば良いのでしょうか?
それは「今、自分がどう行動すれば飼い主さんは褒めてくれるんだろう?」とわんちゃんに考えてもらうようにすることです。
なのでわんちゃんが自分で考えて行動してくれるようになるには飼い主さんが褒めの達人になる必要があります。
練習方法は色々ありますが今回はわんちゃんの『おすわり』という動作を通して、飼い主さんが褒めの達人になる練習をお伝えしたいと思います。
[練習方法]
飼い主が褒めの達人になるための基本的な練習方法の流れは以下のようになります。
これはわんちゃんにどんな動作を教える時でも基本の練習方法になります。
①動作の言葉をかける
②動作をやらせる
③褒める
①〜③を繰り返すことでわんちゃんは、飼い主さんから褒められるために動作をやろう!と覚えてくれます。
家の中でも、お散歩中でも、飼い主さんはわんちゃんにおすわりをして欲しいと思ったタイミングで「おすわり」と声をかけ、おすわりの体勢を取らせ褒めます。
練習を進めていくと、わんちゃんは飼い主さんの「おすわり」の声がかからなくても、飼い主さんの様子を見ながらおすわりの体勢を取る瞬間があります。
その時、飼い主さんはすかさずわんちゃんが自発的におすわりしてくれたことをよく褒めてください。
するとわんちゃんは「あ、こういう時におすわりをすると飼い主さんから褒められるんだ。次はどうすれば飼い主さんに褒められるかな?」と飼い主さんに褒められる為に色んな行動を試し始めます。
在宅ワーク中わんちゃんが大人しくしている時、お散歩に行く前におすわりして待っていた時など、日常生活の中でわんちゃんが自発的に行動したことが、飼い主さんにとって嬉しい事であれば「そうしてくれると嬉しいよ!良い子だね!」とすかさず褒めてあげるとわんちゃんはどんどんと飼い主さんが喜ぶ行動を取ってくれるようになります。
重要なのは飼い主さんがわんちゃんをよく観察し、わんちゃんの自発的な行動に気づき、素早く褒めること。
これが『わんちゃんが自分で考えて行動出来るようになる』秘訣です!
動作を教える時にやってはいけないことは、わんちゃんが動作をやらないからといって怒ること。
わんちゃんはとにかく飼い主さんに褒められたい一心で動作を覚えようとしてくれています。
その時に飼い主さんから怒られると、『飼い主さんからの掛け声=怒られるイヤな言葉』と認識してしまい動作をやらなくなってしまいます。
[練習のコツ]
①動作の言葉をかける
・家族で言葉を統一
わんちゃんに『おすわり』を教えようと思ったらまずは家族でわんちゃんに『おすわり』をさせる時にかけ声を統一します。
例えばお父さんは「すわれ」、お母さんは「すわって」、お姉ちゃんは「おすわり」、お兄ちゃんは「シット」
と、家族で声がけがバラバラだとわんちゃんはどのかけ声で『おすわり』をしていいのか分からなくなってしまいます。
なのでかけ声は必ず家族で統一するようにしてください。
・かけ声は優しく
かけ声は飼い主さんに褒められるための嬉しい言葉です。
なので大きな声を出したり怒鳴るような声はわんちゃんを怖がらせてしまい逆効果になってしまいます。
また、普段のかけ声が大きくて怒鳴り口調になってしまうと、いざ外出先やドッグカフェ、動物病院など静かな環境で声を掛けなければいけない時に困る場合があります。
わんちゃんは大きな怒鳴り声でしか練習していないので、飼い主さんのよそ行きの優しい声では反応しなくなってしまいます。
なのでいつでもどんな状況でもわんちゃんに伝わるように、優しく声がけするようにしましょう。
②動作をやらせる
・『おすわり』の態勢を取らせる
言葉を統一したら次はその動作の意味を教えます。
今回は『おすわり』の練習なので、『おすわり』とはこういう体勢を取ることだよと教えてあげます。
わんちゃんにはリードを着用しておき、飼い主さんはリードを短く持ちます。
「おすわり」と声を掛けたらリードを斜め後方に引き、同時にわんちゃんのお尻を斜め前に押しておすわりの体勢を取らせます。
③褒める
・素早く褒める
わんちゃんにおすわりの体勢を取らせたら素早く褒めます。
声を掛けてから褒めるまで2秒以内に褒めるようにしましょう。
褒めるまでのスピードが鍵になります。
これは飼い主さんから褒められることが嬉しいと思ってもらう練習なのでオヤツ等は使いません。
あくまでも飼い主さんの褒める声、優しい表情、撫でる手を最高のご褒美にしてください。
[その他の動作の練習方法は?]
『おすわり』以外の動作でも褒める練習は出来ます。
『おいで』や『まって』といった動作を通して褒める練習の方法もありますので次回はそれらの練習方法もお伝えしたいと思います。
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