サムスン電子が世界最大のファウンドリ(半導体委託生産)企業の台湾TSMCと競争している3ナノメートル(nm・100億分の1m)半導体の生産時期を来年上半期に繰り上げたと、韓国nocutnewsが報じた。

サムスン電子のチェ·シヨン ファウンドリ事業部長(社長)は6日(米国現地時間)、オンラインで開催された「サムスンファウンドリフォーラム2021」の基調演説で、来年上半期に次世代GAA(Gate-All-Around)技術を適用した3ナノ1世代、2023年に3ナノ2世代の量産を開始すると明らかにした。

サムスン電子独自のGAA技術は既存のフィンフェット(FinFET)技術より消費電力は少なく、性能面では優れており、設計柔軟性を持っているため、工程の微細化を持続するのに欠かせない。

GAA技術が適用された3ナノ工程は、フィンフェット基盤の5ナノ工程に比べ性能は30%向上し、電力消耗は50%、面積は35%減少すると予想される。

サムスン電子が当初、来年下半期に予想されていた3ナノ量産を上半期に繰り上げることに成功すれば、業界1位のTSMCを上回る世界初になる可能性が高い。これに先立ち、外信はTSMCが来年2月から台湾で3ナノ工程生産ラインを稼動させ、7月からインテルCPUとGPUの量産に入る予定だと報じていた。

チェ社長は「大規模な投資を通じて生産力量を拡大し、GAAなど先端微細工程だけでなく、従来の工程でも差別化された技術革新を続けていく」とし「3ナノ工程の場合、安定的な生産歩留まりを確保し、量産のための準備が進められている」と述べた。

サムスン電子、TSMCより早く来年上半期に3ナノ工程半導体を量産へ
(画像=サムスン電子 ファウンドリ事業部 チェシヨン社長(写真:サムスン電子)、『コリア・エレクトロニクス』より 引用)

サムスン電子は2025年にはGAAベースの2ナノ製品を量産する計画だと明らかにした。サムスン電子が2ナノ半導体生産計画を公開したのは今回が初めて。

サムスン電子が2022年に3ナノ第1世代、2023年に3ナノ第2世代、2025年に2ナノという工程量産ロードマップを明らかにしたことは、次世代トランジスター技術の先取りに自信を示したものと解釈される。

サムスン電子はまた、フィンフェットベースの17ナノ新工程を発表した。チェ社長は「コスト面での効率性と応用分野別に競争力を備えた製品を提供するため、フィンフェット技術を持続的に改善している」と説明した。

17ナノ工程は現在のファウンドリ需要の多数を占める28ナノ工程に比べ性能は39%、電力効率は49%向上し、面積は43%減少すると期待される。サムスン電子は平面トランジスター基盤の28ナノ以上の工程を主に活用するイメージセンサー、モバイルディスプレードライバーICなどの製品に17ナノ新工程を適用し、応用先に拡大していく方針だ。

サムスン電子はまた、既存の14ナノ工程を3.3V高電圧、eMRAM支援など、MCU(マイクロコントローラーユニット)に適用できる多様なオプションを開発し、モノのインターネット(IoT)、ウェアラブル機器など、フィンフェット工程の応用先多角化を支援すると発表した。8ナノRF(Radio Frequency)プラットフォームの場合、5G半導体市場で6GHz以下mmWave(ミリメートルウェーブ)製品でのリーダーシップを確保するという計画だ。

一方、2016年、初めて始まった「サムスンファウンドリフォーラム」は、サムスン電子が毎年、主要諸国を回りながら、顧客企業を相手にファウンドリ事業のロードマップや新技術を紹介する行事だ。昨年は、新型コロナウイルス感染症(コロナ19)事態を受け、フォーラムがキャンセルされたが、今年はオンライン上のイベントとして行われた。

今回のファウンドリフォーラムでは過去最多の500社、2千人以上のファブレス顧客とパートナーが事前登録し、高い関心を集めた。

サムスン電子はファウンドリ顧客とパートナー社の生態系強化のためのセーフフォーラム(SAFE、Samsung Advanced Foundry Ecosystem)を来月にオンラインで開催する予定だ。

提供元・コリア・エレクトロニクス

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