世界観光機関(以下:UNWTO)は、コロナ禍により打撃を受けている観光業界について、世界の現状と今後の可能性を表しました。
発表によると、世界各国で観光目的の渡航を完全に禁じているのは29%で、国境封鎖の具合は地域によって大きく異なるということです。ヨーロッパでは87%が国境を開放している一方、アジアでは開放率は30%となっています。
UNWTOは、ワクチン接種とデジタル化の進展によって今後は各種制限が緩和され、国際移動も回復していくだろうと示しています。
UNWTOが世界の現状と今後の展望を発表
7月5日、UNWTOは6月に発表した最新の旅行制限のレポートから、世界各地で現在残っている移動制限の具合をまとめ、それらを緩和させるための新型コロナワクチンとデジタルソリューションの有効性を示しました。
ワクチン接種と各種手続きや管理のデジタル化が進めば、今後数週間から数か月にわたって国際的な移動の向上が見られるはずだと述べています。
国際観光再開に最も遅れているのはアジア、ヨーロッパは9割近くが再開
初めに、旅行制限に関する地域ごとの違いを示しています。
前述の通り、7月5日の発表時点では、世界のすべての目的地の29%が国際観光について国境を閉鎖している状態です。
地域別に見ると、アジア太平洋地域ではすべての国と地域のうち70%で国境が完全に閉鎖されており、全5地域の中で国境再開が最も遅れています。
その他の地域の国境封鎖率は、中東31%、南北アメリカ20%、アフリカ19%と続いており、最も国境封鎖率が低い、即ち国際観光の再開が進んでいるのはヨーロッパです。ヨーロッパ地域の国境封鎖率は13%で9割近くの国や地域で国際観光が再開していることがわかっています。
今後数週間で移動制限の緩和が加速?
UNWTOは、各国政府による渡航自粛要請や各種規制が続く限り、世界的な観光の再開は急激には回復しないとしています。
そうした中、新型コロナワクチンの普及、そして各国政府によるデジタル化加速と国家間の協力によって観光目的の海外渡航に対する規制が大幅に緩和されていくとの考えを表しました。
7月5日の発表では、世界中のすべての目的地の17%が、ワクチン接種を済ませた場合の海外渡航客受け入れについての対処を言及しているとされています。
UNWTOによると、ほとんどの国と地域では、2回のワクチン接種を済ませた人に対してもこれまで通りの旅行制限を引き続き適用しますが、一部の国ではすべての制限が解除されているとのことです。そして、UNWTOは、この旅行制限解除が今後数週間で大幅に加速すると予想しています。
世界の中で最も厳格な措置を講じている目的地について、そのほとんどの国や地域ではワクチン接種率が低いことがわかっており、一方でワクチン接種率が高く、地域内で各国間の協力がある目的地では、観光客が段階的に顔威服できるよう施策が敷かれているということです。
これらのことから、UNWTOは、各国、地域でのワクチン接種の速度と制限緩和には関連性があると述べています。
デジタルソリューションデジタルソリューション導入の促進については本発表では詳細に示されていませんが、UNWTOが7月9日に発表した観光を活性化するデジタルツールが考えられます。
同ツールはすでに60か国で運営されており、旅行者が知りたい情報を1か所に集約しています。今後はUNWTOからの重要な情報なども含む、世界的に主要な観光アプリケーションになり、観光再興につながることが期待されています。
文・訪日ラボ編集部/提供元・訪日ラボ
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