ここ2、3年でAIに関する情報やまとめ記事がインターネット上でかなり溢れるようになってきました。

しかしながら、多くの人がAIについて、なんとなくの理解で自己解決しているのが現状でしょう。

例えば、最近流行りのAIビジネスを耳にしてもあまりイメージが湧かなかったり、実際のところAIのどのような技術がAIビジネスに使われているのか疑問に思ったりしたことはありませんか?

この記事では、AIが現在実行可能な具体的な技術と具体的な企業のAIビジネスを交えながら、上記のような疑問点を払拭していきます。

また、「現段階でAIビジネスを構築してみたい」と考える経営者に向けての第一歩を後押しできるように、AIツールを導入の際のリスクや他企業のAIビジネスの具体例を整理しました。ぜひ、AIに興味のある皆さんご参考にしてみてください。

目次

  1. AI(人工知能)とは?
  2. なぜ現在AIを活用したビジネスが注目を浴びているのか?
    1. 最近よくビジネスに活用されるディープラーニングとは?
    2. AIを活用したビジネスの市場規模
    3. 日本のAIビジネスにおける競争力
  3. AI主流技術とビジネスの関係性
  4. 海外のAIビジネス事例
    1. Netflix
    2. Aeolus Robotics
  5. 日本のAIビジネス事例
    1. メルカリ
    2. スシロー
    3. 森永製菓株式会社
  6. AIを活用したビジネスの立ち上げ方
    1. AIで解決したい課題点を明確にする
    2. AIの導入の仕方を決める
    3. AIに読み込ませるデータの収集
    4. AIを実用レベルまで強化
    5. 実用し、最適化する
  7. AIビジネスを行う際に気をつけたい4つのリスク
    1. プライバシー面のリスク
    2. 安全面のリスク
    3. セキュリティ面のリスク
    4. 想定外の動作リスク
  8. まとめ

AI(人工知能)とは?

AIとは、「Artificial Intelligence」(人工知能)の略称です。AIは人間が行っている行動の1部をソフトウェアによって再現することができるため、ビジネスにおいても日常生活においてもさまざまなタスクをこなせます。

なぜ現在AIを活用したビジネスが注目を浴びているのか?

現在なぜAIを活用したビジネスが注目を浴びているのでしょうか?

主な要因は2つあります。

  1. AIのニューテクノロジー(ディープラーニング)の登場に共い、ビジネス活用の幅が拡大したから
  2. 人口減少による人手不足など、日本国内の労働問題が加速するから

このような要因により、最近は至るところでAIがビジネスに活用されています。

最近よくビジネスに活用されるディープラーニングとは?

ディープラーニングとは、「大量のデータを学習し、共通する特徴量を自動で抽出することで、状況に応じた柔軟な判断が可能になる機械学習技術の1つ」です。

ディープラーニングは機械学習の一部ですが、従来の機械学習に比べて高精度な分析が可能であり、今日のAIブームの火付け役とも言えます。

また、ディープラーニングによって精度をあげたAIは、業界を横断して活用されるようになりました。

例えばAIの具体的な技術の一つである画像認識は、製造業での検品や、イベントでの人数の推定、医療でのガンの検出にも使われています。

AIを活用したビジネスの市場規模

現在日本のあらゆる業種における、AIビジネスの市場規模が2030年度には、2018年比(5,301億円)の約4倍の2兆1,286億円になると予測されています。

また、2021年以降、日本企業におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の役割を果たす重要な要素としてAIの活用が拡大し、2025年には1兆9357億円になると予測されています。

AIを活用したビジネスの成長率は毎年高成長率で伸びていないものの、技術の進歩に伴い、今後もビジネスチャンスは拡大していくことで、ますます注目される市場になるでしょう。

日本のAIビジネスにおける競争力

AIを活用したビジネスの立ち上げ方・リスク・最新事例など徹底解説!
(画像=各国ごとのAIスタートアップの分布図(出典︰Asgard「THE GLOBAL ARTIFICIAL INTELLIGENCE LANDSCAPE – BY ASGARD AND ROLAND BERGER | 2018」)、『AINOW』より 引用)

上記のグラフを見るとわかるように、現在アメリカが世界で最もAIのスタートアップを排出している国となります。2位に中国、3位にイスラエルが続き、以下は先進国がランクインしました。日本は6位であり、ドイツやフランスよりも上位となりました。

以上のランキングにより、日本は上位のアメリカや中国に力及ばないものの、AIビジネスを率いる先進国として世界をリードしていることがわかりますね。

AI主流技術とビジネスの関係性

次にAI技術とビジネス関係について見ていきましょう。一度は皆さんもAIがどのようにビジネスに応用されているのか疑問に思ったりしたことはありませんか?

下記はの表は、ビジネスの課題点の具体例とAIが実際にどのように使われているのか解説したものです。AIに今まで触れたことない非エンジニアの方にもわかりやすく整理しましたので、ぜひご覧ください。

課題タイプ 解説 事例
分類 予測モデルにもとづいて、新規の入力が属するカテゴリーを予測する。 画像内のオブジェクト認識
連続的評価 予測モデルにもとづいて、未知の時間点における時系列データの値を予測する。 製品の売上予測
クラスタリング 互いに独立したデータをその類似性や共通性にもとづいて、いくつかのカテゴリーに分ける。 顧客情報にもとづいた顧客の分類
その他の最適化 特定の入力に対して最適な出力を予測する。 燃料と所要時間に対して最適な自動車の移動経路の算出
異常検知 任意の入力が異常であるか否かを判定する。この課題タイプは分類のサブクラスと見なすことができる(「異常」に分類された入力を検出する)。 機械の振動から機械の異常を検知する
ランキング 何らかの情報検索システムにおいて、特定の基準にしたがってデータを整列する。 購入おすすめアイテムのランキング
おすすめシステム ユーザに選択することを推奨するデータを提示する。推奨データの選定は、類似したユーザの行動やユーザの選択傾向にもとづく おすすめ購入アイテムの提示
データの生成 予測モデルにもとづいて新規のデータを生成する。 特定の音楽ジャンルに属する楽曲の生成

下記は、先ほどの表で紹介した「課題タイプ」と「AIにおけるどの技術が活用されているのか」をまとめたグラフです。

AIを活用したビジネスを行いたい方は、参考にしてみると良いでしょう。

課題タイプ 代表的な使用技術
連続的評価 フィードフォワード・ニューラルネットワーク、線形回帰
クラスタリング K-means、Affinity Propagation
その他最適化 生成的アルゴリズム
異常検知 サポートベクターマシンによるによる1分類、k近傍法(k-nearest neighbors)、ニューラルネットワーク
ランキング サポートベクターマシンによるランキング、ニューラルネットワーク
オススメシステム 協調フィルタリング
データの生成 敵対的生成ネットワーク、隠れマルコフモデル

海外のAIビジネス事例

先程紹介した「世界のAIビジネスにおける競争力」のデータから分かるように、アメリカでのAIビジネスが日本より盛んなのは間違いありません。

そこで今回は、そんなAIビジネス大国アメリカの中でも、日本の企業・社会に向けて役立ちしそうなAIビジネス事例を2社ピックアップしてみました。

特に、商品を独自のECサイトやアプリで販売している企業の経営者や介護施設の人材不足に困っている経営者の方は、参考になるでしょう。

Netflix

AIを活用したビジネスの立ち上げ方・リスク・最新事例など徹底解説!
(画像=出典:about.netflix.com/ja/より、『AINOW』より 引用)

このコロナ下で前期売上純利益を2倍まで伸ばし、今なお株価上昇中の世界大手ストリーミング動画配信サービスの提供会社「Netflix社」は、2020年7月〜9月の決算でAIのレコメンドシステムによる、ユーザーのコンテンツ視聴が75%前後であることを明らかにしました。

AIレコメンドシステムは、ユーザーの閲覧履歴や購入履歴のデータを活用して、似たような行動をしているユーザーを探し、相互分析をして商品を表示させる技術のことです。

同システムは、今後もビジネスの収益をあげること期待され、インターネット上で製品を販売している多くの企業から注目を浴びています。

他に有名なAIレコメンドツールとしては、シルバーエッグ・テクノロジー社の「アイジェント・レコメンダー」や、Amazon社の「Amazon Personalize」などが挙げられます。

Aeolus Robotics

AIを活用したビジネスの立ち上げ方・リスク・最新事例など徹底解説!
(画像=出典︰marubun.co.jp/maker/a7ijkd000000a0jm.htmlより、『AINOW』より 引用)

Aeolus Robotics Corporationは、サンフランシスコに拠点を置く、AIを搭載した凡用型ロボット製造、販売している企業です。

近年、同社が開発した介護型ロボットが介護ビジネスにおいてスタッフの身体的負担の軽減や高齢化が進む先進国で労働力不足の解消できる点から多くの注目を浴びています。

また、ロボットを実際に現場に導入して活用することが容易なこと、且つ低コストで導入できることも大きなメリットです。

日本のAIビジネス事例

近年日本でも、社内にAIを取り入れて業務効率化や収益性を伸ばす企業が増えてきました。

今回は、その中でも私たちに身近な企業の事例を3つ紹介します。

メルカリ

AIを活用したビジネスの立ち上げ方・リスク・最新事例など徹底解説!
(画像=出典:about.mercari.com/about/company/より、『AINOW』より 引用)

フリマアプリでおなじみのメルカリでは、AIを活用した写真検索機能が導入されています。

従来、出品者は、商品の情報を調べて詳しく記入する必要がありました。しかし、同機能によって、出品者がいちいち商品情報を入力しなくても、写真を撮るだけで商品名やカテゴリ、ブランドなどを自動で予測できるようになりました。

結果的に、メルカリでの出品がより手軽になり、ユーザーエクスペリエンスの向上に繋がりました。

AIの画像検索技術は、「機械学習」と「ディープラーニング」が適用されており、これから自社でさまざまな商品をECで販売する場合、必須となってくるAI技術の1つでしょう。

スシロー

AIを活用したビジネスの立ち上げ方・リスク・最新事例など徹底解説!
(画像=出典:akindo-sushiro.co.jp/より、『AINOW』より 引用)

大手回転寿司チェーン「スシロー」は、エッジAIを搭載したカメラで、ユーザーがとった皿の数を画像認識し、枚数と価格を計測するシステムを導入することにより、会計の一連のフローを自動化することに成功しました。

エッジAIとは、エッジデバイスに搭載されたAIの意味で、エッジとは「端」のことを指します。

エッジAを活用すれば、Iクラウド環境にデータを発信する必要がなく、リアルタイムでの処理やオフライン環境での処理も可能になります。

森永製菓株式会社

AIを活用したビジネスの立ち上げ方・リスク・最新事例など徹底解説!
(画像=出典︰morinaga.co.jp/より、『AINOW』より 引用)

大手お菓子製造会社の「森永製菓」は、チャットボットツールを導入することで、カスタマーサービスの業務効率を上昇させました。

また、これまでが接点がなかった「ちょっと聞いてみたい」という消費者にリーチできるようになったことで、お問い合わせが以前と比べて4倍まで伸びました。

有名なチャットボットツールだと、AI Messenger ChatbotやCAIWA Service Viiiなどがあります。

AIを活用したビジネスの立ち上げ方

AIの各技術や事業事例が理解できたところで、次はAIビジネスの立ち上げ方について紹介します。 具体的には、以下の5つのステップを意識しましょう。

  1. AIで解決したい課題点を明確にする
  2. AIの導入の仕方を決める
  3. AIに読み込ませるデータの収集
  4. AIを実用レベルまで強化
  5. 実用し、最適化する

AIで解決したい課題点を明確にする

AIを活用したビジネスの立ち上げる際、まずはAIを活用して解決したい課題を出来るだけ具体的に明確化しましょう。

例えば、社内をバックオフィス、営業やマーケターの現場、事業戦略部署の3つに分け、それぞれの部署が抱える課題点とマッチするAI技術を明確にするのも良いでしょう。

AIの導入の仕方を決める

課題点が明確になった後は、AIの導入の仕方を決めましょう。

基本的には、「他社にAI導入を委託するか」「自社開発を行うのか」の二択となります。もし、自社にAIに対応できる人材がいない場合は、迷わずAIを他社に委託しましょう。

最近では、AIサービスを提供する会社が増えてきているため、低コストでAIツールを導入できる可能性があります。

AIに読み込ませるデータの収集

もし、AIの機械学習機能をビジネスに取り入れるのであれば、関連するデータ収集を行いましょう。

収集するデータは、膨大であればあるほどAIのパフォーマンスが向上します。

AIを実用レベルまで強化

データを収集したら、モデルの精度とパフォーマンスを高めます。AIを強化する場合は、機械学習のアルゴリズムを使ってモデルのトレーニングを行い、テストしてパフォーマンスについて評価しましょう。

もし、テストのパフォーマンス評価が低い場合は、「機械学習の使われている技術が正しいのか」、それとも「読み込ませたデータが正しいのか」分析してみましょう。

実用し、最適化する

AIのモデルを強化できたら、実際現場にて実用してパフォーマンスを検証してみましょう。

よく起こる間違いとして、「AIをビジネスに実用できたら終了だ」と考える方がいますが、それはいけません。

AIは日進月歩で進化する技術だからです。そのため、常に最新データのスキャンやAI技術の見直し、AIを最適化することが重要になります。

AIビジネスを行う際に気をつけたい4つのリスク

ここからは、ビジネスにAIを本格的に導入する際には、以下の4つのリスクに備える必要があります。

  • プライバシー面のリスク
  • 安全面のリスク
  • セキュリティ面のリスク
  • 想定外の動作リスク

それぞれ詳しく解説していきます。

プライバシー面のリスク

AIに機械学習をさせるために膨大なデータの収集と活用が必要となりますが、この際特に気をつけなければならないのが「個人情報の漏洩」です。

個人情報の漏洩は、企業の信頼を損ねるだけでなく、業務停止や賠償責任などの事態に陥ってしまう可能性があります。

そうならないためにも、取引企業や消費者に対して個人情報およびプライバシー保護の取り組みに関する情報を常に開示し続け、しっかりとした信頼関係を築き上げることが重要です。

安全面のリスク

安全面のリスクに関しては、AIを独自開発している企業が主に対象となります。AIシステムが利用者および第三者に身体的、財産的に悪影響を及ばさないかどうか入念に独自開発したシステムを検査しましょう。

セキュリティ面のリスク

今後、AI産業が発展していく中でサイバー攻撃を受けて、AIシステムが中断するリスクが重大な課題となってくるでしょう。

例えば、AIシステムが使われている工場の生産管理システムが停止したり、AI搭載をした車がコントロールできなくなったりするリスクがあります。

それと同時にAIのサイバーセキュリティー分野にも今後注目が集まってくるかもしれません。

想定外の動作リスク

AIはまだまだ発展中の最先端技術であり、想定外の動作を引き起こすリスクがあります。

現在、想定外のリスク発生時には、人やAIによってAIを監視・対処する仕組み作りが必要だという議論があります。

実際に、AIを導入する前には、AIシステムが正常に動作するかどうかを監視する仕組みづくりが必要となるでしょう。

まとめ

記事を最後まで読んでいただきありがとうございます。実際、AI技術の詳細な内容からビジネスの構築の仕方を今回ご紹介させていただきました。

少しでも、皆さんのAIに対して掴みきれない知識が明確になって、今後のキャリアや経営に参考していただけると大変幸いです。

提供元・AINOW

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