世界的なエコブームに支えられ、2050年には600兆ウォン(約56兆円)規模まで急成長すると予想されるリサイクル産業の主導権を握るための企業間競争が本格化している。韓国アジアトゥデイが報じた。

化学や鉄鋼業界は、廃プラスチックから石油を抜き出し、廃バッテリーからニッケルやリチウムなどの2次電池素材の原料を抽出するエコ事業に我先にと参入している。

業界は、資源リサイクルでコスト削減や新事業への進出が可能になる上、カーボンニュートンらる(炭素中立)という時代的ニーズに応えることができることから、今後、リサイクル市場が爆発的な成長振りを見せるものと見込んでいる。

4日、市場調査機関SNEリサーチによると、グローバル使用済みバッテリー関連市場は、2019年の1兆6500億ウォン(約1543億円)から2030年には約20兆2000億ウォン(約1兆8893円)を超え、2050年には600兆ウォン(約56兆円)に拡大される見通しだ。電気自動車市場が急成長し、廃バッテリー市場もまた大きく増えるという分析だ。

電気自動車バッテリーの場合、充電能力が通常70%以下に下がれば走行可能距離が短くなり、交換が必要だ。しかし、寿命が尽きた廃バッテリーは有害物質であり、そのまま廃棄すれば、深刻な環境汚染を招きかねない。

一方、寿命が尽きた廃バッテリーを回収し、再整備すれば、他の用途に使うことができる。また原材料であるリチウム·コバルト·ニッケルなど資源を抽出、これを販売したり、新しいバッテリーで製造すれば収益性を確保できる。廃バッテリーを活用したバッテリーの場合、生産費用が従来比30~60%安いという。

国内ではLGエナジーソリューション、SKイノベーションなどバッテリー3社とGS·ポスコなど一般企業まで廃バッテリーリサイクル市場の先取りに加わっている。

まずLGエナジーソリューションは使用済みバッテリーから抽出したニッケル·コバルトなどで正極材を製造し、生産から廃棄まで供給網全般に「バッテリーリサイクル循環経済」を構築すると明らかにした。今年5月には米ゼネラルモーターズ(GM)との合弁法人アルティアムセルズを通じ、北米バッテリーリサイクル企業「リ(Li)サイクル」とリサイクル協約を結んだのに続き、廃バッテリーを再利用して作った電気車用ESS工場を忠清北道清州(チュンチョンブクト·チョンジュ)に建設した。

SKイノベーションは、使用済みバッテリーリサイクル事業の展開に最も攻撃的に乗り出している。最近、バッテリー事業の分割による子会社「SKオン(SK on)」の設立を公式化し、使用済みバッテリーリサイクル事業を本格的に成長させると明らかにした。2022年初めに廃バッテリー試験工場を完工し、2025年には商業稼動に入る計画だ。

サムスンSDIは、使用済みバッテリーのリサイクル活性化に向け、昨年、天安(チョンアン)や蔚山(ウルサン)事業所工場で発生するスクラップ循環体系を構築した。さらに、使用済みバッテリーリサイクル会社のピーエムグローに投資し、使用済みバッテリーリサイクル専門企業のソンイルハイテックと協力して該当市場に進出した。会社は今後、海外事業所でも協力範囲を拡大していく構想だ。

一般企業の中では、ポスコが廃バッテリーのリサイクルに力を入れている。ポスコは今年3月に欧州のバッテリー工場の廃バッテリースクラップをブラックパウダーに加工するPLSC法人を設立したのに続き、5月に中国のバッテリー素材会社のファユコバルト社と合弁で「ポスコHYクリーンメタル」を設立した後、廃バッテリーリサイクル事業を準備してきた。さらに、2022年下半期の完成を目標に、全羅南道栗村(チョルラナムド·ユルチョン)の産業団地にバッテリーリサイクル工場を建てている。

GSはポスコと提携し、二次電池リサイクリング合弁会社の設立を推進する。両社はGSエナジーが投資している電気自動車のバッテリー状態を診断·評価できる技術を基盤に、使用済みバッテリーを整備、リサイクルするかどうかを判断するなど、バッテリー関連サービスプラットホーム(BaaS)事業にまで協力範囲を拡大するという構想だ。

現代(ヒュンダイ)車はOCI·ハンファキューセルと廃バッテリー基盤のESSを開発するため協力を強化している。斗山(ドゥサン)重工業も最近、化学剤を使わず、使用後にバッテリーから炭酸リチウムを回収する技術開発に成功し、事業に本格的に参入した。

業界関係者は「使用済みバッテリーリサイクル市場でまだ確固たる主導権を確保した企業がない」とし「強固な収益性が予想される上、参入障壁が低く主導権獲得のための企業間競争が激しくなるだろう」と述べた。

提供元・コリア・エレクトロニクス

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