これ、日本語としてもちょっとおかしいんじゃないだろうか?

「今日の仕事は楽しみですか。」

のことである。10月4日に品川駅のコンコースのメッセージ広告板に一斉に登場したアルファドライブ/ニューズピックスのメッセージ広告のことだ。普通なら「今日の仕事は楽しいですか?」と書くところなのではないだろうか。なんでこんな変な日本語を使ったのだろう。これがイヤシ系の美女の写真をバックにして「今日のお仕事、楽しいですか?」だったら、缶コーヒーあたりの清涼飲料の広告コピーではある。それがそれが、

「今日の仕事は楽しみですか。」なのである。この変てこりんなコピーを品川駅のコンコースを歩いているサラリーマンがたまたま見たら、そりゃ不快だろう。たしかにこの変な日本語は神経にさわる。そういう意味では成功なのであろう。しかし、予想通り「炎上」した。「不快」「上から目線」「ディストピア感がある」「働く人をバカにしている」「時代と合っていない」などの批判がツイッター上に殺到し、10月5日の午前中をもってこの広告は終了。

そもそもこの広告を掲載したこのアルファドライブ/ニューズピックスとは、これまた紛らわしい表記だが、アルファドライブが新規事業開発・次世代人材育成・組織活性化のソリューションを提供する企業変革ドライブカンパニーで、ニューズピックスは「経済をもっとおもしろく。」がモットーのニュースアプリでビジネスパーソンや、就活生必携のソーシャル経済メディア。

横文字が多いのは仕方ないにしても、いずれも説明がテンコ盛りでなんとなくミットもない。「今日の仕事は楽しみですか。」はこの2社の共同広告なのだ。

この2社を傘下に持つ親会社がユーザベース社である。同社は10月5日公式サイトで、「当駅利用者の方々への配慮に欠く表現となっておりましたことを心よりお詫び申し上げます」と謝罪した。

このユーザベース社は2008年に創業し、2016年10月21日東証マザーズに上場している。同社はミッションとして、「経済情報で、世界をかえる」を掲げ、「世界中の経済情報を人とテクノロジーの力で整理・分析・創出することで、人々の生産性を高め、創造性を解放し、世界中の意志決定を支えるプラットフォームを作り上げたいと考えています」(そのままの引用)。とにかくこの会社の説明は長過ぎる。簡単に言えばBtoBで会社の悩みを解決する企業のようだから、さぞや儲かっているのだろうなと最近の連結決算を見てみると: ・2019年12月期 売上高125億2100万円/営業利益−12億3600万円/経常利益−14億2900万円/当期利益−16億2000万円 ・2020年12月期 売上高138億900万円/営業利益1億400万円/経常利益−2億8100万円/当期利益−64億7200万円

新規事業や買収負担が大きいためか、あまり芳しくないのだ。2021年12月期に関しては、黒字化の見通しではある。しかしこのユーザベースという会社は、TBSホールディングスとの資本業務提携(2019年12月約20億円/第三者割当増資)、三菱地所との資本業務提携(2020年3月/第三者割当増資)、海外募集増資51億円(2020年7月)など増資による拡大戦略をとっているのが気になるところ。昨年11月には創業者の梅田優祐CEOが米国メディア企業のQuartz(クオーツ社)の買収失敗の責任をとって辞任する騒動が勃発している。ユーザベースのクオーツ社買収価格は92億円だった。なんとなく小型のソフトバンクを思わせるような動きではある。株価も2020年10月9日の4105円から下がり続けており、今年8月19日には2059円の安値を記録している。その後持ち直しの兆しがあったが、今回の「今日の仕事は楽しみですか。」騒動で10月6日には2248円まで値を下げた。

そう言えば、ニューズピックスでは幻冬舎と協業で行っていた出版レーベル「NewsPicks Book」で編集長を担当していた幻冬舎・箕輪厚介氏のセクハラ問題を起こして事業を終了するという騒動もあった。

何かとお騒がせなユーザベースであるが、すでに10月8日時点で時価総額は845億円もあるというから、それだけ期待されているということなのだろうか。落合陽一や堀江貴文というちょっと危ないスターも擁しており、また一騒動ありそうな変な期待もある。

文・三浦彰/提供元・SEVENTIE TWO

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