10月4日、ついに東京で1日の新型コロナ感染者が87人になり、実に昨年11月2日以来、11カ月ぶりに100人を切った。緊急事態宣言が9月30日に解除になり、街には活気が戻り始めている。いよいよシュリンクした経済にも明るい兆しが見え始めている。

一方、暗い話題としては、ずるずると下げ続けている株式市場がある。9月14日に日経平均が実に31年ぶり(1990年8月以来)の高値3万670円10銭を記録したが、10月に入って、2万9000円台、2万8000円台と下げ続け、10月4日には遂に2万7000円台にまで急落している。高値からほぼ10%の値下げで、昨年の3月のコロナショックによる2万円割れから1年半にわたって上げ続けてきた相場に暗雲が立ち込めている。米国金利上昇懸念、中国不動産大手恒大集団の経営危機に加えて原油価格の急騰がけん引する全世界的なインフレ懸念が原因に挙げられる。さらに米国 日本ではバイデン大統領、岸田文雄新首相がキャピタルゲイン(株式売却益及び配当)への課税強化をそれぞれ表明しており、これが嫌気されている。米国ではすでに一部の富裕層で保有株式の売却が進んでいるという情報もある。日本でも富裕層だけでなく海外機関投資家にも同様な動きが出ているのではないかという観測もある。

このままズルズルと日経平均が下がるようだと消費にも悪影響が出そうだ。特に日本では株が上がっても影響はラグジュアリーブランド消費に影響があるぐらいだが、下がると消費全体に悪影響が出るのでタチが悪い。

さらに選挙のリスクがないわけではない。今回の衆院選は10月19日公示、10月31日投開票になりそうだ。自・公連立政権はなんとか過半数を持ちこたえそうだが、一部に過半数を割り込む惨敗を予想する見方もある。現在の急落には自公惨敗ショックを予測した売りも含まれると言われている。

現在の日本の不況は、「消費不況」であると言っていいが、繊研新聞による「ファッションビジネス景況・消費見通しアンケート」が10月5日に紙面で公開された。これは同紙が四半期ごとに行っている調査だ。日本の代表的なSPA、アパレルメーカー、百貨店、デベロッパー、専門店、素材メーカー、スポーツ関連メーカー、海外ブランド日本法人、アクセサリーメーカーなど110社ほどがアンケートに答えている。これによると:

7月~9月のファッション消費は4~6月に比べてどうか?:
・回復している:3.7%
・変わらない:44.0%
・悪くなっている:48.6%

10月~12月のファッション消費は?
・良くなる:41.8%
・変わらない:35.5%
・悪くなる:0.9%
・その他:21.8%

上記設問で「良くなる」と答えた以外の企業への質問。ファッション消費が回復に向かうのはいつと考えるか?
・2022年1~3月:20.3%
・2022年4~6月:23.4%
・2022年7~9月:7.8%
・その他:48.5%

かなり(41.8%)の企業が10~12月にファッション消費が回復すると見ているようだ。秋冬ものの実需期前に非常事態宣言が解除になったことを好感しているのだろう。ただし、本格的回復は2022年1~3月、4~6月と見ている企業が全体の43.7%もある。疑心暗鬼ということなのだろう。11月あたりに感染第6波がくるという予測は依然として消えていない。

株価、原油価格、米国金利、税制改革、選挙、コロナ感染再拡大と複雑な要素がからみ合ったまま、混沌とした状況が続いていきそうだ。自社の確固たるスタンスを確立していない企業には難しい局面と言えそうだ。

文・三浦彰/提供元・SEVENTIE TWO

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