法人(ビジネス)カードでは、何が審査されるのだろうか。個人であれば、クレヒスや勤続年数などある程度想像がつくが、初めて法人(ビジネス)カード申し込む場合は、不安な人もいるだろう。審査通過率がアップする方法など含めて、疑問に答えていこう。

目次
1,法人(ビジネス)クレジットカードで審査される4つのポイント
2,審査通過率をアップする方法は?
3,審査に通らなかったときの対処法は?
4,法人(ビジネス)カードのメリット

1,法人(ビジネス)クレジットカードで審査される4つのポイント

個人向けクレジットカードでは個人の信用が審査されるのに対し、法人カードでは主に法人の信用が審査されるため、必然的に審査内容は個人向けとは異なる。各社とも審査の詳細は公開していないので、情報元はネット上の口コミになるが、ポイントを紹介していこう。

審査ポイント1,業歴――会社設立から3年が目安

長く続いている会社は経営が安定していると見なされるため、信頼を得やすい。一方、設立したばかりの法人はどうしても信頼を得にくい。ただし、法人化する前の個人事業主としての業歴が長ければ、審査でプラスに働くだろう。

一般的に法人カードの審査においては、会社設立から3年以上経っていることが望ましいと言われている。

審査ポイント2,業績――節税対策での赤字は?

もちろん、赤字決算よりも黒字決算のほうが審査では有利だ。ただし、売上は十分にあるが、節税対策として経費を多く計上していて赤字決算になっている場合は、必ずしも審査で不利になるわけではない。

反対に、黒字決算であっても売上が少なかったり、借入額が多かったりすると、審査ではマイナスになる。一般的に、借入金が年間売上額の半分以上あると審査通過は難しいようだ。

審査ポイント3,代表者個人の信用情報――借入は年収の3分の1を超えないよう

審査対象が法人とはいえ、代表者の信用情報も無関係ではない。代表者が過去にクレジットカードやカードローンの返済を延滞していたり、自己破産や任意整理の経験があったりすると、法人カードの審査ではマイナスになる。

また、代表者個人が複数のクレジットカードを持っていて、その限度額の合算が年収の3分の1を超えている場合、新しく法人カードを作るのは難しいと言われている。

審査ポイント4,事業の実態――固定電話は有利に働く?

違法・脱法行為を目的として設立された法人かどうか判断するために、固定電話回線やオフィスの有無もチェックされる。

個人経営の会社では経費節約のためにバーチャルオフィスを利用していることがあるが、法人カードの審査では、それがマイナスに働くという話をよく聞く。会社のウェブサイトも、ないよりはあったほうがいいだろう。

2,法人(ビジネス)クレジットカードの審査通過率をアップする方法は?

法人カードの審査ポイントを踏まえて考えると、審査通過率を上げる方法が明確になる。ここからは、それを説明していこう。

方法1,オフィスを持ち、固定電話を設置し、会社のウェブサイトを作成する

パソコンとスマホだけでできるビジネスなら、オフィスや固定電話の必要性を感じないかもしれない。業務のほとんどが外回りである営業のような仕事も同様だ。

しかし法人カードの審査においては、オフィスや固定電話のない会社は信用されにくいようだ。また顧客が固定客中心という会社では、ウェブサイトを必要としないこともあるだろう。

しかし、カード会社からは事業の実態が見えにくい。名刺のようなものと割り切って、多少手間やコストがかかってもウェブサイトを作成しておきたい。

方法2,代表者の信用情報に問題がある場合は「待ちの姿勢」も有効

代表者の信用情報に傷がある場合は、その情報が抹消されるのを待つしかない。自己破産や任意整理をした場合は5年(銀行系クレジットカードの場合は10年)経過するとその情報が抹消されるので、その後申し込むといいだろう。

延滞の場合は、延滞が解消されてから5年経過するとその情報が抹消される。ただし、審査では延滞解消から3年が経過した時点で、それが問題視されなくなると言われている。

方法3,代表者がグレードの高いクレジットカードを作る

代表者個人の信用情報がクリーンで十分な年収があるなら、まずは個人でゴールドカードやプラチナカードを作るのも手だ。

他のクレジットカードの審査に通ったという情報は、審査でプラスに働く。それがハイグレードのクレジットカードなら、なおのことだ。

方法4,使っていないカードがあれば解約する

年収が十分でない場合は、代表者名義の使っていないカードを解約して、保有しているカードの限度額の合計を減らすことで、法人カードの審査に通りやすくなることがある。

方法5,プロモーションで申し込む

入会を検討しているクレジットカード会社が、デパートや空港などで入会プロモーションを行っていたら、直談判してみるのも一つの方法だ。このようなプロモーションではノルマが設定されていることが多く、カード会社の営業スタッフ経由だと審査に通りやすいと言われている。

また、会社の事情を説明して便宜を図ってもらう方法もある。たとえば、現時点では赤字だが、すでに大きな仕事を契約済で次年度は大幅な黒字が見込まれる……といった場合、それを説明することで審査に通りやすくなることがあるようだ。

3,審査に通らなかったときの2つの対処法

法人カードの審査に通らないと、経費を一括で管理できないなど、ビジネスを行う上で手間がかかる。審査に通るような環境を整えて再度申し込むことになるが、それまでの間はどうすればいいだろうか。

対処法1,個人事業主向けビジネスカードか個人向けカードを利用する

法人カードの審査に通る環境が整うまでは、個人が審査対象となる個人事業主向けビジネスカードか、通常のクレジットカードを利用して経費を精算する方法もある。どちらのカードでもいいが、ビジネスカードにはビジネスで便利な特典・サービスが付帯することが多いので、できればそちらがいいだろう。

なお、どちらのカードも利用代金は個人口座から引き落とされるため、これで経費を支払った場合は代表者が立て替えたことになる。経理処理では、「役員借入金勘定」という勘定科目を用いて計上する。

対処法2,法人デビットカードに申し込む

金融機関に法人口座を開設している場合は、その口座に連動した法人用のデビットカードを作る方法もある。デビットカードは後払いではなく即時決済であり、キャッシングも利用できないが、国際ブランドのものであれば、クレジットカードに近い感覚で利用できるので便利だ。

ただし、金融機関に法人口座を持っていない場合は、まずはその申し込みからとなる。法人口座の開設にも審査があるが、法人カードよりは審査に通やすいと考えていい。

4,法人(ビジネス)カードを持つメリットは?

法人カードは、ビジネスに活用できるさまざまな特典・サービスが充実していることが多いので、年会費とのバランスを考えつつ、できれば1枚は取得しておきたい。

事業の経費をクレジットカードで支払う場合、利用金額はかなり多くなり、ポイントもそれに応じてどんどん貯まる。これも、法人カードを持つメリットと言えるだろう。

法人カードには、個人向けクレジットカードや法人デビットカードにはないメリットがあり、会社経営者の心強いパートナーになるだろう。折を見て、申し込みを検討したい。

文・モリソウイチロウ(ライター)
 

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