スズキ・ハスラー 価格:136万5100~174万6800円 試乗記
アウトドアテイストを高めたスタイリング。メーカー設定のメモリーナビは秀逸 新型ハスラーのエクステリアデザインは、一見、キープコンセプト。しかし実車を観察して、さまざまな部分が変わっていた、とわかった。
まず目につくのはリアクオーターウィンドウの追加。2トーンカラーの場合はこの窓とリアウィンドウ周辺がルーフと同色になる。かつてのジムニーやエスクードに存在した、ソフトトップやハードトップを装着した姿を思わせる。スタイリングは、アウトドアテイストをぐっと高めている。
ヘッドランプとグリルは旧型に似たデザインにした効果で、ハスラーだとひと目でわかる。縦長のリアコンビランプとバンパーに装着したナンバープレートが印象的なリアビューも同じだ。
最新ジムニーは現行型で、1stや2ndモデルのデザインモチーフを巧みに採用し、ジムニーらしさを高めることに成功した。ハスラーも同様である。スズキはアイデンティティの継承がうまい。
ボディカラーは全11タイプ。バーミリオンオレンジ(写真)とデニムブルーは新色だ。オレンジは旧型の設定色よりも濃く、ブルーは渋めのトーンだ。旧型の途中で色調が変わったピンクを含め、落ち着いたボディ色が多くなっている。アウトドアだけでなく街の風景にもすっと溶け込むようなカラーラインアップだ。さまざまなシーンで着こなせる服が増えたような感じだ。
エクステリアに比べると、インテリアは大きく変わった。スポーツウオッチのプロテクターを思わせる処理でメーター、ディスプレイ、アッパーボックスを囲んだインパネは個性的だ。
メーカーopとなるメモリーナビは魅力的だった。ディスプレイサイズは大型の9インチ。ホーム画面でナビ、車両情報、オーディオが色分けして表示され、それぞれの部分をタッチすると拡大する。デザインのセンスがよく、使いやすかった。スマートフォンとの連携も可能になったので、いつものお気に入り音楽をドライブ中に楽しめる。
荷室に活用自在なアンダーボックスを新設! リニアな加速が印象的
前席がベンチタイプからセパレートタイプに変わった点も話題だ。こちらはボディ側面を平面に近づけた結果、室内幅が30mm広がったことで可能になったそうだ。新型はパーソナル感がぐっと増し、ロングドライブが楽にこなせる。新設のセンタートレイは小物の置き場として重宝しそうだ。
後席の足元空間は35mm長くなったホイールベースのメリットで、ゆとりを増した。とはいえ従来モデルでも身長170cmのパッセンジャーが楽に足を組めるほど広かったので大差はない。それよりも使い勝手がリファインされた荷室のほうがニュースだろう。取り外せるアンダーボックスに要注目。これをどう活用するか。新型ハスラーを使いこなすポイントのひとつだ。
自然吸気(49ps/58Nm)とターボ(64ps/98Nm)から選べるエンジンは、新開発の前者がとくに心地よかった。マイルドハイブリッドシステムと新設計CVTとの相乗効果で力強い走りが楽しめる。最初にエンジン回転だけが上昇し、あとから速度が追いかけるシーンはほとんどなく、リニアな加速が印象に残った。静粛性もぐっと向上した。スズキ初の構造用接着剤などを用いることで、大幅に高まったボディ剛性の効果もありそうだ。
長旅が楽しくなる乗り心地! どこかに遊びに出かけたくなる行動派
ターボの走りは以前よりたくましい。幅広い領域でパワーが実感できるようになった。しかもターボ専用装備となるアダプティブクルーズコントロール、車線逸脱抑制機能は、いずれも制御が的確。高速道路を使ってのロングドライブで、快適性が大幅に高まった。
新型で感心した点は乗り心地だ。ボディ剛性の強化は、本来はこの面のレベルアップのためであり、骨っぽさを残していた旧型とは一変。サスペンションがしっとり動くようになった。これもまた長旅を楽にしてくれるに違いない。しなやかさを増した分、コーナーでは背の高さが気になるシーンがあったのは事実だが、グリップは安定しており、全高に対してシートの着座位置が低いので不安はなかった。
旧型はファッショナブルなクロスオーバースタイル自体が新鮮だった。新型は旧型の特徴はそのままに、ボディ剛性の強化や新開発エンジンを投入し、クルマとしての基本性能を大幅にアップした。「アウトドアシーンが似合うボディ」に、「アウトドアシーンまでの安全快適な走り」が組み合わされた。新型ハスラーは、遊びにでかけたくなる行動派の最右翼である。
スズキ・ハスラー主要諸元と主要装備
価格=7CVT 174万6800円
全長×全幅×全高=3395×1475×1680mm
ホイールベース=2460mm
トレッド=フロント:1285×リア:1290mm
最低地上高=180mm
車重=880kg
エンジン=658cc直3DOHC12Vターボ(レギュラー仕様)
最高出力=47kW(64ps)/6000rpm
最大トルク=98Nm(10.0kgm)/3000rpm
WLTCモード燃費=20.8km/リッター(燃料タンク容量27リッター)
(WLTC市街地/郊外/高速道路=18.5/22.3/21.0km/リッター)
サスペンション=フロント:ストラット/リア:アイソレーテッドトレーリングリンク
ブレーキ=フロント:ベンチレーテッドディスク/リア:ドラム
タイヤ&ホイール=165/60R15+アルミ
駆動方式=4WD
乗車定員=4名
最小回転半径=4.6m
●主な燃費改善対策:ハイブリッドシステム/充電制御付きアイドリングストップ/可変バルブタイミング/電動パワーステアリング/ロックアップ機構付きトルコン/自動無段変速機
●主要装備:スズキセーフティサポート(デュアルカメラブレーキサポート+前後誤発進抑制機能+車線逸脱抑制&警報機能+ふらつき警報+先行車発進お知らせ+ハイビームアシスト+標識認識機能+後退時ブレーキサポート)/アダプティブクルーズコントロール(全車速追従機能付き)/リアパーキングセンサー/ヒルホールドコントロール/ヒルディセントコントロール/グリップコントロール/LEDヘッドランプ/LEDフロントフォグランプ/フロントスタビライザー/プレミアムUV&IRカットガラス/前後バンパーガーニッシュ/フェンダーアーチモール&サイドスプラッシュガード/リモート格納ドアミラー/フルオートオートAC/本革巻きステアリング/リッド付きインパネアッパーボックス/フロアコンソールトレー/ドアトリムカラーガーニッシュ/後席パーソナルテーブル/6スピーカー/前席シートヒーター/後席左右独立スライド&リクライニング機構/助手席前倒し機構/防汚タイプラゲッジフロア/マルチインフォメーションディスプレイ/キーレスプッシュスタート
●装着メーカーop:全方位モニター付きメモリーナビゲーション18万4800円
●ボディカラー:バーミリオンオレンジ・ガンメタリック2トーン(op4万4000円)
※価格はすべて消費税込み リサイクル費用は7120円
Writer:森口将之 Photo:小久保昭彦
提供元・CAR and DRIVER
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