目次

  1. 敷金礼金の意味とは?敷金と礼金の違いも解説
  2. 敷金礼金の相場は?毎月支払うの?
  3. 敷金礼金は退去時返金してもらえるの?
  4. 敷金礼金の金額は交渉できるの?
  5. 敷金礼金がない「ゼロゼロ物件」とは?無料の理由は?
  6. 敷金礼金がない「ゼロゼロ物件」のメリット
  7. 敷金礼金がない「ゼロゼロ物件」の注意点
  8. 敷金礼金を払うお金がない場合の対処法
  9. 敷金礼金と併せてチェックしておきたい引っ越しにかかるお金3選
  10. 物件選び時には敷金礼金について確認しておこう

マンションやアパートなどの賃貸を借りる際に避けて通れない敷金と礼金。

本記事では敷金と礼金の意味や違い、相場、敷金礼金がないゼロゼロ物件などについて詳しくご紹介。ゼロゼロ物件を選ぶメリットや注意点、賃貸契約の際にかかるお金なども解説します。

本記事の内容をざっくり説明
・ 敷金と礼金の意味や意味の違い
・ 敷金礼金の相場・返金の有無
・ 敷金礼金がない「ゼロゼロ物件」のメリットと注意点

敷金礼金の意味とは?敷金と礼金の違いも解説

初めて賃貸契約をする人は、敷金礼金がどういったものなのかわからない人もいるのではないでしょうか。

敷金礼金のことを知らずに契約をしてしまうと、引っ越しのために思ってもいなかった莫大な金額を意図せずに支払わなければいけなくなることも。

満足の行く物件探しをするためにも、敷金と礼金の意味や違いを確認していきましょう。

敷金とは

民法第622条の2によると、敷金とは以下のように定義付けられています。

いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう

引用:民法第622条の2

わかりやすい言葉でいうと、敷金とは家を借りる賃借人(ちんしゃくにん)が大家に賃貸契約をする際に払う預け金のことです。

敷金は主に部屋を退去する際に行われる原状回復に使われることが多いです。また、家賃を滞納した場合に敷金から支払われることもあります。

敷金に関する民法は2020年に大きく変更されました。改正前の民法には、敷金の定義や敷金返還請求権がいつ使用できるかなどが記載されていませんでしたが、改正民法では明確に定義されています。

以下の民法第622条の2では、金返還請求権の行使できるタイミングを「賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき」「賃借人が適法に賃借権を譲り渡したとき」と明文化されているのがわかるでしょう。

第六百二十二条の二 賃貸人は、敷金(いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう。以下この条において同じ。)を受け取っている場合において、次に掲げるときは、賃借人に対し、その受け取った敷金の額から賃貸借に基づいて生じた賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務の額を控除した残額を返還しなければならない。
一 賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき。
二 賃借人が適法に賃借権を譲り渡したとき。
2 賃貸人は、賃借人が賃貸借に基づいて生じた金銭の給付を目的とする債務を履行しないときは、敷金をその債務の弁済に充てることができる。この場合において、賃借人は、賃貸人に対し、敷金をその債務の弁済に充てることを請求することができない。

引用:民法第622条の2

礼金とは

礼金とは、大家に「部屋を貸してくれてありがとう」という気持ちを込めて渡すお金のことをいいます。

礼金は大家の意向や住む地域によって相場が変わります。賃貸を借りるときは、周りの物件の敷金礼金をチェックすることは大切です。

敷金礼金の相場は?毎月支払うの?

敷金礼金を家賃のように毎月払わないといけないのか不安に思っている人もいるのではないでしょうか。

敷金礼金は家を借りる際の初期費用なので、毎月払う必要はありません。また、賃貸契約を延長する際にも敷金礼金は支払わなくて大丈夫です。

敷金の相場は家賃の1〜3ヵ月分、礼金の相場は家賃の1~2ヵ月分が相場です。居住区の場所によって敷金礼金の相場は変わってくるので、引っ越しを検討しているエリアの相場を調べてみることをおすすめします。

敷金礼金は退去時返金してもらえるの?

少なくないお金を支払わなければいけないので、敷金礼金を返金してもらえるのか不安に思っている人も多いのではないでしょうか。

まず、礼金は残念ながら返ってくることはありません。すでにご紹介したように、礼金は大家にお礼の気持ちを示すためのものだからです。

敷金は、退却時に使った原状回復費を引いた額が返却されます。

原状回復費は、入居者が故意につけてしまった傷や汚れ、掃除を怠けてしまったことで発生したカビなどの掃除や修復作業に使われます。

また、物件ごとに特約があり、故意・過失でなくても原状回復費を支払わなければいけないケースもあります。契約書に退去費用や特約に関することが書かれていないか、契約前には確認するようにしておくと安心です。

敷金礼金の金額は交渉できるの?

「どうしてもこの部屋に住みたいけれど、敷金礼金が高くて予算オーバー……」と困っている人もいるのではないでしょうか。

実は、敷金礼金の金額は交渉できる場合があります。

敷金礼金の交渉が成功しやすい物件は、ながらく空室だった物件や相場と比べて値段が高い物件です。

大家は空室期間があればあるほど損をしてしまうので、なるべく人に住んでもらいたいと思っています。また「この辺の敷金礼金の相場は〇〇円だから、下げてほしい」と具体的にお願いするのもいいでしょう。

特に引っ越しのオフシーズンを狙うと交渉しやすくなるので、時期に配慮して交渉してみてはいかがでしょうか。

ただし、敷金礼金の金額を下げなくてもすぐに誰かが入居してくるような人気物件は、敷金礼金の交渉は難しいので注意しましょう。

敷金礼金がない「ゼロゼロ物件」とは?無料の理由は?

多大な費用がかかる引っ越しでは、後の生活を考えてなるべく引越し費用を押さえたいもの。

中には、敷金礼金が両方とも0円の物件があります。敷金礼金にお金がかからない物件は「ゼロゼロ物件」と呼ばれ、引っ越し費用を抑えたい人に人気の物件です。

「ゼロゼロ物件っていわくつきなのかな……」と恐れる人もいるのではないでしょうか。

素敵な物件でもゼロゼロ物件となる理由は、人口減少によって家を借りる人が少なくなってしまい、賃貸物件が空室になってしまうことに原因があります。財布に響く初期費用である敷金礼金をなくすことによって、引っ越しをしてもらいたい・自分の賃貸に住んでもらいたいという思いが込められているのです。

ゼロゼロ物件だからよくない物件だというわけではないので安心してくださいね。

敷金礼金がない「ゼロゼロ物件」のメリット

敷金礼金がかからないゼロゼロ物件には、賃貸契約者に嬉しいメリットや知っておきたい注意点があります。

まずは、ゼロゼロ物件のメリットを押さえておきましょう。

ゼロゼロ物件のメリットは、初期費用が少なくなることです。

引っ越しをすると、引っ越し費だけでなく、洗濯機や冷蔵庫などの家電や家具の購入など、物件以外にも必要がかかります。

ゼロゼロ物件を利用して、本来かかるはずだった約家賃2ヵ月分程度のお金が浮くため、他の費用に当てることができるのは嬉しいポイントではないでしょうか。

敷金礼金がない「ゼロゼロ物件」の注意点

お財布に優しいゼロゼロ物件は魅力がありますが、契約する前には注意点を押さえておきましょう。

特に、家賃・入居の条件・他の代金などの契約内容を詳しく確認しておくことをおすすめします。

注意点1.「保証金」の名目で費用が発生しないか確認する

ゼロゼロ物件を選ぶ際の1つ目の注意点は、他の費用が発生しないか確認することです。

つまり、敷金の呼び方を変えただけで実質的には敷金が存在する物件がある場合もあります。

「話が違う!」とトラブルにならないためにも、具体的な見積もりをとり、最終的な費用と項目を詳しく調べておきましょう。

注意点2.敷金礼金がない分家賃が高くなることがある

ゼロゼロ物件を選ぶ際の2つ目の注意点は、敷金礼金がない分家賃が高くなっていないか考えることです。

敷金礼金ありで家賃5万円の物件が、敷金礼金なしで家賃5.4万円になっているケースは実際に存在します。

大家は敷金礼金で補えなかった修繕費やクリーニング代を、家賃を積み重ねていくことによって回収しようとしています。

「敷金礼金がゼロゼロ物件だから」と家賃の相場を考えずに決めてしまうと、日々の生活が苦しくなってしまう可能性があります。

長期的に住む物件を探している場合は、ゼロゼロ物件よりも家賃が安い物件を契約するほうが全体的な費用は抑えれる可能性も。

どの程度の期間入居するつもりか検討して、期間全体を通した費用で比較することがおすすめです。

注意点3.入居の条件がある場合もある

ゼロゼロ物件を選ぶ際の3つ目の注意点は、入居に条件があるか調べることです。

ゼロゼロ物件は、「保険会社に加入するなら入居可能」と条件がある可能性が高いです。

大家の立場からすると、敷金の保証がない分保険会社に加入してもらうことが必要だと考えている人もいます。また、保険会社が指定されていることもあるので、入居する際の金額をよく計算して比較することが大切です。

注意点4.クリーニング代やリフォーム代を支払う必要があることも

ゼロゼロ物件を選ぶ際の4つ目の注意点は、クリーニング代やリフォーム代を支払わなければいけない可能性があることです。

初期費用がないのならお得なゼロゼロ物件を選ぼうとしている人は、契約書を読む際に注意が必要です。

初期費用としてクリーニング代やリフォーム代を請求されて、結局家賃1ヵ月分程度かかることも。

また、定期クリーニング代が契約内に記載されていて、退去時に家賃数ヵ月分の請求がされた例もあります。

ゼロゼロ物件でも敷金礼金がある物件でも契約書は隅から隅まで目を通し、別途発生する費用がないか確認しましょう。また、わからないことや不明確なことがあれば、契約する前に必ず質問するようにすることをおすすめします。

敷金礼金を払うお金がない場合の対処法

「すぐに引っ越しをしないといけないのに、お金が足りない……」と焦っている人もいるのではないでしょうか。

敷金礼金を払うお金がない場合は、まずは大家に敷金礼金の値段を下げてもらえるように直接交渉してみましょう。

断られた場合に、クレジットカードの分割払いを考慮している人もいらっしゃるかもしれません。しかし、家賃などはそもそもクレジットカードでの支払いはできないケースが多いです。契約して「支払いできない……」といったことにならないよう、支払い方法も確認しておきましょう。

また、単身引っ越しや学生などは、自治体によっては支援してもらえる可能性もあります。自分の住みたい自治体の制度を今一度確認してみてはいかがでしょうか。

敷金礼金と併せてチェックしておきたい引っ越しにかかるお金3選

慣れない引っ越しをすると、予測していなかった出費がかさんでしまうもの。

「お金が足りない」と慌ててしまわないためにも、敷金礼金とあわせてチェックしておきたい、引っ越しにかかるお金について押さえておきましょう。

1.仲介手数料

敷金礼金に加えて引っ越しの際に払う必要になってくるのが「仲介手数料」です。

ほとんどのケースでは大家と直接取引するのではなく、不動産業者を介して賃貸契約をする人がほとんどでしょう。不動産業者を経由した場合、成功報酬として仲介手数料を払う必要があります。

仲介手数料の上限は、宅地建物取引業法によって決められており、上限は賃料の半分の値段です。

ただし、大家の承諾があるなら大家もしくは賃貸契約者に1ヵ月分の家賃分のお金を要求していいことになっています。

決められているのは上限だけなので、仲介手数料が無料な物件もあります。なるべくお金を節約したい人は仲介手数料が無料なところを探してみてはいかがでしょうか。

2.鍵交換費用

鍵交換費用は、賃貸契約の特約として賃貸契約をする人に要求されることがあります。

国土交通省住宅局による「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」によると、大家が鍵交換費用を負担するべきだと記載されています。

しかし、鍵交換費用は必ずしも大家が負担する必要がないので、賃貸契約者が鍵交換費用を要求されることもあるでしょう。

鍵交換の相場は一万円から二万円程度です。引っ越しのお金がないときに、鍵交換費用は財布に響く人も多いのではないでしょうか。

そもそも鍵交換をしないように交渉できますが、鍵交換をしないと前の住民の空き巣の被害にあう可能性があります。安全に住むためにも、鍵交換の費用は必要経費だとして計上しておくとよいでしょう。

3.火災保険・保険会社加入費用

ほとんどのケースでは、火災保険をはじめとする保険会社に加入することになります。

「火災保険に入らないと家事になったときは責任を取らないといけないのかな……」と不安になって、火災保険に入る人もいるのではないでしょうか。

「失火ノ責任ニ関スル法律」によると、大家は、借主が重大な過失を犯した場合を除き、借主に損害賠償を請求できません。

一方、他人のもらい火で自分の家が燃えても、損害賠償を請求できないことを注意しておきましょう。

火災保険に入るメリットは、もらい火によって自分の家が燃えてしまったときの自分の財産を守れることにあります。

もしものことを考えた保険への加入は入居時の条件になっているケースも多いです。こちらも必要な予算として検討しておくとよいでしょう。

物件選び時には敷金礼金について確認しておこう

本記事のまとめ
・敷金礼金の相場は、家賃の1〜3ヵ月分
・敷金は返金してもらえる可能性はあるが、礼金は返ってこない
・ゼロゼロ物件に住む場合は、家賃や保険料などを十分に考慮に入れる

本記事では、敷金礼金の意味やゼロゼロ物件のメリット、注意点などを詳しくご紹介しました。

慣れない賃貸契約をしようとすると、わからないことが多く不安になる人もいるのではないでしょうか。

初期費用が安くなったとしても、入居期間全体を通してみると高くつく可能性もあります。また、契約時に保険費や鍵の交換費用などが計上され驚かないように、事前に明細は開示してもらうようにしてください。

本記事を参考に、敷金礼金の相場を考慮に入れながら、契約書をよく確認しつつ、物件を探してみてはいかがでしょうか。

提供元・U-NOTE

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