約5割の米国人が現在の住宅を購入したことを後悔していることが、調査から明らかになった。購入前・購入後に関わらず、住宅サイズや住宅ローンの金利などによる経済的圧迫が後悔の理由だ。

また住宅所有者・賃貸契約者に関わらず、高所得者やミレニアル世代は後悔する傾向が最も高い—という興味深い報告もある。また2012年の価格急騰前と後では後悔の度合いも異なるほか、5人に2人が「住宅ローンよりクレカの返済の方が重要」と考えている。

住宅所有者の51%が「現在の家を買ったことを後悔」

調査は米不動産情報サイト「Trulia」 が2017年6月、2264人の住宅所有者と賃貸契約者を対象に実施したもの。

住宅所有者の51%が「現在の家を買ったことを後悔している」と答えた。2016年の調査結果から2ポイント減っているものの、「もっと大きな家を買えば良かった(33%)」「もっと小さな家を買えば良かった(9%)」「もっと事前調査をすれば良かった(15%)」「もっと改装すれば良かった・改装し過ぎた(26%)」などと悔やんでいる。

「お金が有り余っていれば好きな家を買えて後悔しない」と考えがちだが、実は所得が高い層ほど後悔する傾向が強い。「後悔している」と答えた割合は年間所得5万ドル以下の層(44%)より、年間所得10万ドル以上の層(50%)の方がはるかに高い結果に。「もっと高い家を買えば良かった」と答えた割合は12%と、5万ドル以下の層の3倍だ。その結果、21%が「同じ過ちを犯すのが怖くて家を買い替えられない」という。

「住宅ローンで後悔している」は4割

米金融情報サイト「NerdWallet」の調査では、 2200人のうち41%が「住宅ローンの選択ミス」を後悔の理由として挙げている。27%が「(住宅ローン購入時は)同意した金利でやっていけると思っていた」が、実際は予想していた以上に経済が圧迫されている。また11%が「家を買ってから経済的な不安定さを感じる」と答えた。「もう一度家を買うなら、違った買い方をする」という回答者は49%にものぼる。

また住宅ローンの審査や購入プロセス自体にストレスを感じた購入者も多い。「ストレスが溜まった(32%)」「複雑だった(32%)」「びくびくした(21%)」などといった不快感が、購入後の後悔に拍車をかけているのかもしれない。

しかし約3人に1人は「不動産屋や住宅ローンの仲介者が協力的だった(32%)」「最適な住宅ローン商品を選んだと思う(29%)」と感じでおり、「それだけの価値があった(30%)」と満足している。

ミレニアル世代や賃貸契約の方が後悔の度合いが高い?

それでは家を借りているだけなら気楽なのかと言うと、現実はそうでもないようだ。意外なことに後悔の念は賃貸契約者の方が強く、52%が「今の家を借りたことを後悔している」。

こうした傾向は若い層ほど明白で、ミレニアル世代の10人に7人以上が家の購入あるいは賃貸契約を後悔している。65歳以上の2.5倍に値する割合だ。

家のサイズに関してはさらに後悔が膨らみ、65歳の3.6倍に匹敵する10人に3人が「もっと大きな家を買えば良かった」と後悔している。若い層ほど結婚や出産などで家族が増える環境にあるためかと思われる。

住宅価格高騰が「後悔」を強めている?年間所得10万ドル以上でも「手が出ない」

また住宅に対する後悔は、前金融危機が影響しているとの結果も報告されている。米国では2012年以降、住宅価格が急激に高騰している。

2012年以降に住宅を購入した、あるいは賃貸契約をした50%が「後悔している」が、2012年以前に住宅を購入した、あるいは賃貸契約をした層で後悔しているのは42%だ。12%が「経済的な不安定さ」を後悔の理由として挙げている。

「過去5年以内に家を売らなかくて良かった」と答えた割合も、前者が82%であるのに対し、後者は60%に落ち込む。

価格の高騰が原因で、62%の米国人が「2012年以降、経済的に家を買いにくくなった」と感じており、年間所得10万ドル以上の層ですら26%が「高過ぎて手が出せない」と不満を唱えている。米国全体の年間所得の中央値が7.3万ドルであることを考慮すると、理解に苦しむところだが、恐らく理想とする生活水準の差の影響だろう。

住宅ローンよりクレカの返済の方が重要?

経済面ではどうだろう。住宅ローンや家賃は所得の大部分を占める「支出」だが、多米国人の多くにとってはクレジットカードの支払いの方が重要らしい。返済の優先順位はクレジットカード(40%)、住宅ローン(28%)、学資ローン(7%)、住宅資産(4%)、自動車(3%)、その他(1%)となっている。

ニューヨーク連邦準備銀行2017年第4四半期のデータ によると、米国の家計負債総額は過去最高となる13兆ドル(前四半期比1.5%増)を突破。前回のピーク時だった2008年よりも4730億ドル多い。そのうち8600億ドルがクレジットカード(3.2%増)、8.9兆ドルが住宅ローン(1.6%増)だ。住宅ローンの総額自体は2008年よりも8%減っているものの、巨額の負債であることは変わりない。

しかし専門家いわく、 一般的に住宅ローンや学資ローンの金利はクレジットカードの金利よりも低いため、クレジットカードの支払いを優先させるという発想はけっして間違っていないとのことだ。

文・アレン・琴子(英国在住フリーランスライター)

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