目次

  1. 彫刻家が集まって石切り場を公園に再生
  2. 一歩踏み入ると異次元の世界が待っている
  3. 異次元からの贈り物のようなジャングルジム
  4. 古代遺跡と見間違うネガティブマウンド
  5. 世界遺産に認定されそうな「午後の丘」
  6. 札幌軟石の建築物が残る石山緑地周辺を散策
  7. まとめ

彫刻家が集まって石切り場を公園に再生

石切り場がアートな公園に変貌!コスプレも映える異空間「札幌市・石山緑地」
(画像=<荒々しい岩肌とアートが調和>、『たびこふれ』より 引用)

札幌市南区石山地区の「石山緑地」は、かつて石切り場として利用されていました。その役割を終えた後、荒れ地となっていたことに心を痛めた彫刻家たちのアイデアにより、近代アートがちりばめられた公園に生まれ変わりました。摩訶不思議な公園、石山緑地の魅力を紹介します。

石切り場がアートな公園に変貌!コスプレも映える異空間「札幌市・石山緑地」
(画像=<北海道の開拓時代を支えた札幌軟石>、『たびこふれ』より 引用)

石山地区では、明治時代から昭和初期にかけて札幌軟石という石が採石されていました。札幌軟石は、約4万年前に発生した支笏火山の巨大噴火により、火砕流が堆積してできた溶結凝灰岩です。断熱性・防火性に優れ、建物の外壁として使われていました。今でも小樽運河の倉庫群や日本キリスト教団札幌協会など、歴史的な建物の外壁に見ることができます。

石切り場がアートな公園に変貌!コスプレも映える異空間「札幌市・石山緑地」
(画像=<札幌軟石が歴史に埋もれることを回避>、『たびこふれ』より 引用)

札幌の歴史を支えた石切り場ですが、安価なコンクリートに取って代わられ、採石が行われなくなったあとは、荒れ地になっていました。「開拓の歴史を支えた場所を蘇らせよう」と、道内の彫刻家5人が立ち上がり、造形集団「CINQ(サンク)」を結成。構想から4年の歳月をかけて、1996年に「石山緑地」が完成しました。

一歩踏み入ると異次元の世界が待っている

石切り場がアートな公園に変貌!コスプレも映える異空間「札幌市・石山緑地」
(画像=<「呼吸する門」と題された南ブロックの入口>、『たびこふれ』より 引用)

石山緑地は南北ふたつのブロックに別れています。石切り場をリニューアルしたのは「南エブロック」で、札幌市の「ふるさと文化百選」にも選ばれています。「呼吸する門」と題された南ブロックの入口を入ると、そこは異次元の世界。一般的な公園のイメージが覆ります。

石切り場がアートな公園に変貌!コスプレも映える異空間「札幌市・石山緑地」
(画像=<たくさんの子どもたちが水遊びを楽しむ>、『たびこふれ』より 引用)

芝生広場に進むと、スパイラルスプリングに迎えられました。バベルの塔を思わせる玉石の塔から湧き落ちた水が、螺旋状の水路を伝って流れています。30度を超える暑さの中、子どもたちが楽しそうに水遊びをしていました。

石切り場がアートな公園に変貌!コスプレも映える異空間「札幌市・石山緑地」
(画像=<不思議な形の遊具>、『たびこふれ』より 引用)

金属と石で造られた「てつなぎ石」もベンチを兼ねた遊具の一つです。湾曲したアーチや、トゲトゲだらけの石など独創的。どのように遊ぶのか説明はありませんが、子どもたちは自由な発想で楽しむのでしょうね。

石切り場がアートな公園に変貌!コスプレも映える異空間「札幌市・石山緑地」
(画像=<公園にテントは北海道の定番>、『たびこふれ』より 引用)

公園に小さなテントを持ち込むファミリーを見かけます。日差しを避けることができるし、子どもの着替えにも便利。広々とした公園が多い北海道らしい光景です。

石切り場がアートな公園に変貌!コスプレも映える異空間「札幌市・石山緑地」
(画像=<公園の隅々にアートが散りばめられている>、『たびこふれ』より 引用)

石と金属を組み合わせた椅子や、アンティーク調の水飲み場など、園内の設備はすべてスタイリッシュ。照明やフェンスまでデザインが施される徹底ぶり。公園全体がアートスペースであるコンセプトが伝わります。

異次元からの贈り物のようなジャングルジム

石切り場がアートな公園に変貌!コスプレも映える異空間「札幌市・石山緑地」
(画像=<石切り場と真っ赤なジャングルジムがマッチング>、『たびこふれ』より 引用)

公園内の随所に石切り場の切羽が残され、荒々しさを感じさせます。「沈黙の森」と名付けられたエリアは、迫り来るような岩肌と異次元から出現したような真っ赤なジャングルジム「赤い空の箱」のミスマッチがユニーク。てっぺんに登ると、溶結凝灰岩の露出が間近に迫り、迫力がありました。

古代遺跡と見間違うネガティブマウンド

石切り場がアートな公園に変貌!コスプレも映える異空間「札幌市・石山緑地」
(画像=<中世ヨーロッパのコロシアムのような迫力>、『たびこふれ』より 引用)

ネガティブマウンド(石のイベント広場及び野外ステージ)は、中世ヨーロッパのコロシアムのような雰囲気。野外での演劇やコンサートにも対応できる階段状になっています。通常は盛り上がっている形状を「マウンド」と呼びますが、ここはへこんでいるので「ネガティブ」と表現されています。

石切り場がアートな公園に変貌!コスプレも映える異空間「札幌市・石山緑地」
(画像=<コスプレイヤーにも人気>、『たびこふれ』より 引用)

斬新なデザインが特徴的なネガティブマウンドですが、市民の反応を見るために、制作現場を公開したことがありました。メディアも含めて評価は上々。「無機質な感じがが映える」と、コスプレイヤーにも人気です。完成後はイベント会場としても利用され、「石山緑地芸術祭」や「札幌国際芸術祭」など、多くの催しが開催されています。

※新型コロナウイルス蔓延防止のため、現在はすべてのイベントが中止されています。

世界遺産に認定されそうな「午後の丘」

石切り場がアートな公園に変貌!コスプレも映える異空間「札幌市・石山緑地」
(画像=<かくれんぼに最適?>、『たびこふれ』より 引用)

さらに奥に進むと、緑地の最終地点「午後の丘」にたどり着きます。そこは軟石の壁から転がり落ちたようなキューブが並ぶ不思議な世界。異国を訪れたような気分になりました。開拓時代に札幌の礎を築いた場所が、近代アートによって蘇生され、後世に残されていく。石山緑地の存在意義を理解することで、造形集団「CINQ(サンク)」の業績の素晴らしさを実感しました。

札幌軟石の建築物が残る石山緑地周辺を散策

石切り場がアートな公園に変貌!コスプレも映える異空間「札幌市・石山緑地」
(画像=<厳かな雰囲気の石山神社>、『たびこふれ』より 引用)

石山緑地周辺では、札幌軟石を使った建造物などを見ることができます。そのひとつである石山神社は、札幌軟石の採石にあたっていた人々の安泰を祈願し、明治18年に山の神が奉納されました。神社の鳥居や灯篭、狛犬に札幌軟石が使われていると言われています。旅の安全を祈願して立ち寄ってみてはどうですか。

石切り場がアートな公園に変貌!コスプレも映える異空間「札幌市・石山緑地」
(画像=<クラウドファンディングで「ぽすとかん」として再利用>、『たびこふれ』より 引用)

石山郵便局として建設された建物は、2018年にクラウドファンディングで資金調達され、物販やカフェを中心としたスペース「ぽすとかん」としてオープンしました。ぽすとかんでは軟石を使った小物を販売するほか、写真展や音楽演奏会、ジェラードや野菜の直売会など幅広い取り組みが実施されています。火曜日と水曜日は定休日ですので、訪れる際はご注意ください。

まとめ

石切り場がアートな公園に変貌!コスプレも映える異空間「札幌市・石山緑地」
(画像=<ドライブコースに取り入れてください>、『たびこふれ』より 引用)

石山緑地は、札幌で変わった風景を撮影したい人におすすめのスポットです。札幌から支笏湖に向かう国道沿いにあるので、ぜひ観光ルートに加えてみてください。

石山緑地

  • 住所:札幌市南区石山78
  • 電話:011-578-3361(藻南公園管理事務所)
  • 開園期間:4月中旬~11月下旬(冬期11月下旬~4月中旬は閉鎖)
  • 駐車場利用時間:7:00~21:00(夜間閉鎖)

文・写真・吉田匡和/提供元・たびこふれ

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