料理やお菓子のレシピには解説文だけでなく写真や図解が欠かせません。
なぜなら料理には様々な要素が関係しており、それらを明快に短時間で伝えるためには言語だけでは不十分だからです。
そしてこのレシピの書き方は今も昔も変わらないようです。
古代エジプト人が作ったパンやケーキのレシピが絵画で残されていたので、ある歴史家が古代の料理を忠実に再現できました。
イメージありのレシピによって、古代エジプトの料理文化は5000年間も保管されてきたのです。
墓地の絵画にはレシピが描かれていた
古代エジプト人は至る所に象形文字を残しました。その文章は石碑やパピルス紙に刻まれ現代まで保存されています。
実際、歴史家たちはそのような文字から当時の貿易や葬儀の内容を知ることができます。
しかし、1つのカテゴリー「料理」に関してはその大部分の情報が欠落していました。現在まで残っている文字だけでは正確な情報が得られないのです。
そのため歴史家たちは文字だけではなく墓地の壁画を調査することで、5000年前の料理文化やそのレシピを解き明かしてきました。
これから壁画によって再現できる歴史的なケーキとパンのレシピをご紹介します。
レックマイアのタイガーナッツケーキ
歴史家たちの間では、タイガーナッツと呼ばれる「カヤツリグサの塊茎」が紀元前15世紀のエジプトで作られていたケーキのメイン材料だと考えられています。
そして首席大臣レックマイアが埋葬された墓の壁画には、タイガーナッツとハチミツから円錐形のケーキを作る方法が詳しく描かれています。
この絵画のように、古代エジプト人は長い乳棒でタイガーナッツを砕き、その後両手でハチミツと混ぜ合わせつつ、円錐型に成形したのでしょう。
タイガーナッツは特別な日に使用されるものだったわけではありません。普段から薬や香水、食材として活用されてきたのです。
ラムセス3世のうずまき小麦パン
タイガーナッツと同様に、パンは古代エジプト料理の基礎を形成していました。そしてそのパンは通常、昔から栽培されていた小麦と大麦が使用されていたとのこと。
この古代パンの焼き方のプロセスもまた、墓地の壁画に描かれていました。
例えばラムセス3世の墓には古代エジプト人が螺旋型の小麦パンを作っている姿が描かれています。
その壁画レシピによると、彼らはブドウを足で踏んでジュースにし、小麦粉に練り込んだようです。さらに練った小麦粉は螺旋型に形成され、焼く前に一旦茹でられていました。
現代ではなかなか想像しにくい手順ですが、壁画が私たちに正しいイメージを与えてくます。
このように壁画は古代の料理文化を明らかにしており、その古代レシピを再現するのに役立っています。
以下に海外サイト「Atlas Obscura」で、筆者のジェス・エン氏が再現した古代エジプトレシピを紹介します。気になる方は是非チャレンジしてみて、古代エジプトの味を楽しんでくださいね。
レックマイアのタイガーナッツケーキ
材料
タイガーナッツ:1カップ
ハチミツ:1/4カップ
オリーブオイル:1/4カップ
細かく刻んだナツメヤシ:1/2カップ(お好みで)
手順
①タイガーナッツに1/2カップのお湯を注ぎ、20分浸す。その後水気を切り、フードプロセッサーで粉末状にする。
②タイガーナッツ、ハチミツ、オリーブオイル、ナツメヤシを鍋に入れ、中火で2分間加熱しながらかき混ぜる。
③ハチミツが焦げないように弱火にし、さらに5分間混ぜ続ける。
④火を止め、ミックスされたものをバットに注ぎ、20分間冷ます。
⑤手で直径2.5cmのボールを作った後、円錐に形成し直立させて完成。
参考文献
atlasobscura
提供元・ナゾロジー
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