SKグループが半導体、バッテリー、バイオなどの新成長動力を中心に大躍進を遂げようとしている。韓国アジア経済によると、SKグループがその地位を高めている背景としては、SKグループのチェ・テウォン会長のリーダーシップと洞察力が挙げられているとしている。

9月1日、SKグループはチェ会長就任23周年を迎えたが、記念式典の開催は見送った。来月のグループCEOセミナーのために、ポストコロナ経営の構想に没頭していると思われる。

今年度のCEOセミナーを前にして、チェ会長の経歴が話題になっている。チェ会長は1998年、ソンギョングループ(現SKグループ)設立者のチェ・ジョンヒョン前会長の他界でグループ会長に就任した。当時37歳だったチェ会長はアジア通貨危機という危機的状況でグループを統率しなければならなかった。彼は、「就任当時は、アジア通貨危機が迫り、経営状況が難しい時期だった。生き残らなければと思っていた」と思い返した。

2003年から始まった政府系ファンドとの経営権紛争で、グループ取締役辞退の危機に追い込まれたが、主要株主と外国人株主の支持を受け、経営権防御に成功した。チェ会長は10年間グループ内の諸問題を改善し、グループ成長戦略の核心である企業買収・合併(M&A)や「社会的価値」という経営哲学で注目の的となった。

チェ会長就任後、最も大きく変化したのはSKグループの事業ポートフォリオである。チェ会長就任前、SKグループはエネルギーと通信事業を軸に財界5位まで成長した。チェ会長は就任後、SKハイニックス(2012年)、SKマテリアルズ(2016年)、SKシルトロン(2017年)などを買収し、積極的なM&Aでグループの事業領域を大きく拡張した。

チェ会長は、グループ取締役全員がSKハイニックスの買収に反対した時、「財務的には買収が不利であるが、最高経営責任者(CEO)は実務者とは違って、遠くを見渡さなければならない」と述べ、「韓国企業が半導体のセカンドティアの座も占めることで、サムスンが半導体市場でのトップティアを維持でき、韓国半導体がグローバル市場を支配できる」と説得したことは有名な話である。

バッテリー中心の環境に優しいエネルギー事業戦略も完成車業界の電気・水素自動車転換と相まって注目されている。SKイノベーションの主力事業は精油事業だったが、バッテリー事業への攻撃的投資を断行し、グローバルバッテリー企業では最も速い成長を見せている。アメリカと中国の貿易紛争の状況下で、半導体とバッテリー事業のバリュー・チェーンが安保問題に発展したことで、チェ会長の未来を予想する洞察力が的中したと評価されている。

特に、チェ・ジョンヒョン前会長が始めたバイオ事業はチェ会長の育成意欲で持続している。10年以上の研究を必要とする新薬開発は、経営陣の意志なしでは事業持続が不可能である。チェ会長は経営権危機状況でも、バイオ事業の育成と投資を続けた。SKバイオファームは韓国企業では初めてアメリカのFDA承認を受けた新薬を開発するなど、大きな成果を出した。新型コロナウイルスの拡散でワクチンの生産や治療剤の開発が国家的重要問題として浮上している現在、SKは半導体、バッテリー、バイオまで、核心産業をすべて運営するグループとなった。

チェ会長は今年度3月、大企業グループの總帥としては初めて、大韓商工会議所の会長に就任した。2014年に「新しい模索、社会的企業」という本を執筆するなど、社会的価値の重視を持続的に主張していた彼が適任という、財界の認識が彼を会長にしたのである。

チェ会長は40年の跳躍を足場に、これからは航空・宇宙と未来モビリティ、環境に優しいエネルギーなど、新事業育成に専念する計画だ。

韓国アジア経済によれば、SKグループの売上高はチェ会長就任当時の37兆ウォン(約3兆5000億円)から現在の139兆ウォン(約13兆2000億円)まで3.8倍成長した。また、資産は34兆ウォン(約3兆2000億円)から239兆ウォン(約22兆7000億円)に7倍増加し、財界順位も5位から3位まで上昇した。

文・korea-marketing/提供元・コリア・エレクトロニクス

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