世界的に大きな成功を収めた著名人でも、最初から成功したわけではない。数々の失敗を重ねる中、不屈の精神とポジティブ思考で社会に求められる結果を手にしている。

最初の商品がプレゼンテーションで動かなかったビル・ゲイツ氏、有名映画学部に3度も落ちたスティーブン・スピルバーグ氏、「頭が悪い」と教師に烙印を押されたトーマス・エジソン博士など、著名人5人の失敗経験と逆境に負けないポジティブな名言を紹介しよう。

これらの著名人の共通点は失敗を終わりと受けとめず、新たな出発地点と受けとめていること。「また失敗したらこわい」とおそれることなく、「また失敗したら、もっと学べる」という究極のポジティブ思考だ。

ビル・ゲイツ——「成功を祝うよりも失敗から学ぶ方が重要」

ゲイツ氏が世界に初めて送りだそうと試みたデバイス「Traf-O-Data」は、些細な欠陥が原因でプレゼンテーションでうまく動かず、散々な結果に終わった(LinkedIn2016年1月10日付記事) 。出鼻をくじかれると大抵の人間は臆病になるものだが、ゲイツ氏は後に「成功を祝うよりも失敗から学ぶ方が重要」と冷静に分析。

「商品やサービスに不満のある顧客こそが最高の顧客」とし、「前進し続けるために常にフォードバックが必要」である点を強調している。成功の上にあぐらをかかない、さらに前に進もうとする姿勢を忘れない—これがMicrosoftを世界のトップIT企業に育て上げた秘訣だろう。

「うまく行かないのなら、せめて体裁だけでもとりつくろうことだ」という、ユーモアあふれる発言もある(Brainy Quoteより )。

スティーブ・ジョブズ——「自分が素晴らしいと信じていること」を追求

ライセンス発行をめぐる社内紛争で、自ら立ち上げたAppleを一度解雇されるという屈辱を味わったジョブズ氏。

人生において仕事に費やす時間は長い。仕事で心から満足感を得るには、「自分が素晴らしいと信じていること」を追求できるか否かだという。「イノベーションとは何千という物事にノーということ」という信念があったからこそ、「これまで成し遂げたことと同じぐらい、成し遂げなかったことも誇りに思っている」と語った(The Museより )。

スティーブン・スピルバーグ——「すべてのよいアイデアは悪いアイデアから始まる」

ジョージ・ルーカス氏やジョン・カーペンター氏、ロバート・ゼメキス氏など有名監督を多数輩出した南カリフォルニア大学映画芸術学部だが、スピルバーグは「学力が低いが悪い」という理由で3回も 受験に失敗している(CBSニュース)。

普通ならば「自分は映画に向いていない」と諦めてしまうところだが、スピルバーグ氏は自分の力を信じて夢を追い続け、次々と大ヒット作を世間に送りだした。そして1994年には同校から名誉学位、1996年には理事に任命される。

スピルバーグ氏は成功に時間がかかる理由を、「すべてのよいアイデアは悪いアイデアから始まる」からだと説明している。「常に希望にあふれているわけではないが、希望を捨てたことはない」「自分は年をとっていくが自分のやってることは年をとらないから、ずっと続けることができる」と、投げやりにならない秘訣を語っている(ゴールキャスト2016年5月23日付記事 )。

トーマス・エジソン——「人間の最大の弱点は、諦めてしまうこと」

偉大な発明家として歴史に名を残すエジソン博士だが、学生時代には教師から「お前は勉強するには頭が悪すぎる」といわれたり、最初に就いた職では2回連続解雇されるなど、華々しいキャリアとは縁遠いスタートを切ったようだ。しかし失敗をポジティブに受けとめる性質が、やがてエジソン博士を大きな成功に導いた。

「失敗ではなく、効果のない手法を1万回発見しただけ」 「すべてを試したがもう駄目だと感じる時、じつはまだ試していないことがある」「人間の最大の弱点は、諦めてしまうこと」などの名言に、不屈のチャレンジ精神が現れている。

ただし闇雲に挑戦すればいいというものではないようだ。「世界が必要としているものを見つけ、それを現実化しようと挑戦した」と、目指すべきゴールを定めている。頭の中を明瞭に保つには、「定期的に俗世から孤立した状態に身を置き、邪魔されることなく想像力にひたる必要がある」とのことだ。

ヘンリー・フォード——「失敗はもう一度最初から始める切っ掛けにすぎない」

自動車会社フォード・モーターの創設者も過去に破産を経験している。最初に立ち上げたデロイト・オートモバイル・カンパニーでは技術面に専念するあまり、経営面に無頓着過ぎた。商品第1号は売上が伸びず大失敗に終わる。しかし再挑戦をおそれず、40歳を過ぎてから資本金わずか3万ドルでフォードに再起をかける(US Legalより )。

「失敗はもう一度最初から始める切っ掛けにすぎない」という言葉通り、フォード氏にとって失敗は諦める理由にはならなかった。「欠陥を見つけようとするのではなく、改善策を見つけろ」と問題に対する解決の糸口を探索し、「学ぶのをやめた人は老いているが、やめない人はいつまでも若い」と向上心を維持することの大切さに気付かせてくれる。

文・アレン・琴子(英国在住フリーランスライター)

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