東アフリカ・ウガンダにある「マーチソン・フォールズ国立公園」にて、野生動物の個体群の調査中に、小人症にかかっているキリンが発見されました。

胴体は通常の亜成体(大人になる直前の段階)と同じサイズでしたが、足が極端に短かったのです。

さらに、その後、ナミビアでも同様の形態異常をもつキリンが1頭見つかっています。

調査員によると「小人症のキリンが見つかったのはこれが初めて」とのことです。

研究は、12月30日付けで『BMC Research Notes』に掲載されました。

目次

  1. 足だけが異様に短いキリンを初発見!

足だけが異様に短いキリンを初発見!

通常のキリンは3〜6歳で完全に成熟し、平均4.6〜6.1mの高さに達します。

ウガンダで見つかった個体の年齢は定かでありませんが、ナミビアのキリンは2014年に生まれたことがわかっており、普通なら成体と同じサイズになるはずです。

今回のような野生大型動物の測定には、「写真測量法(フォトグラメトリー)」という方法が使われます。

これは、レーザー距離計を用いて遠距離から対象のサイズを測る方法で、野生動物の生態に悪影響を与えない測定法として確立しました。

その結果、これら2頭のサイズは、通常の亜成体のキリンと比べて明らかに小さいことが立証されています。

世界で初めて「小人症のキリン」を発見! 首の長さはふつうで、足だけが異様に短い(アフリカ)
(画像=(a)通常の亜成体、(b)ウガンダ、(c)ナミビア / Credit: bmcresnotes、『ナゾロジー』より引用)

足先の「指骨(phalanx)」を見ると、ウガンダの個体は通常とほぼ同じでしたが、ナミビアの個体は平均以下でした。

また、指骨の上の「中手骨(metacarpal)」と、さらにその上の「橈骨(とうこつ、radial bone)」は、両個体とも平均以下となっています。

しかし興味深いことに、首の長さは通常の亜成体(約1.4m)と同じで、ウガンダの個体にいたっては1.5mと普通より大きいくらいでした。

世界で初めて「小人症のキリン」を発見! 首の長さはふつうで、足だけが異様に短い(アフリカ)
(画像=各部位の名称 / Credit: bmcresnotes、『ナゾロジー』より引用)

研究チームのマイケル・B・ブラウン氏は「これら2頭はおそらく、骨の形成異常を引き起こす遺伝子疾患をわずらっており、そのせいでドワーフィズム(小人症)を発症したのでしょう」と話します。

小人症のキリンの発見は、野生下および捕獲された個体も含め初めてのことです。

世界で初めて「小人症のキリン」を発見! 首の長さはふつうで、足だけが異様に短い(アフリカ)
(画像=ナミビアで見つかった小人症のキリン / Credit: Michael B Brown、『ナゾロジー』より引用)

ウガンダのマーチソン・フォールズ国立公園に生息するキリンの個体数は、1980年代後半に、不安定な社会情勢と密漁のせいで大きく減少しました。

しかし、それ以降は個体数も増え、現在では推定で1500頭まで回復しています。

参考文献
iflscience

提供元・ナゾロジー

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