時・分・秒表示がそれぞれ独立したユニークな配列が目を引くレギュレーターウオッチ。
見た目にもインパクトがあるため、デザインの一種とも捉われがちだが、直訳すると“調整器”となることからもわかるとおり、機構の一種と捉えるのが正解だ。
そもそも時計におけるレギュレーターとはどういったものなのであろうか。ここでおさらいしておきたい。
レギュレーターとは、かつて時計師などが、完成した時計の時刻調整や精度チェックのために用いた、マスター時計のことを指す。時・分・秒針を独立させているのは、ずばり各針の重なりを少なくすることで時刻を正確に読み取るためである。ちなみに、時針と分針が同軸となった一般的な時計の場合では、12時間で時針と分針がぴったりと重なる回数が11回あるのに対して、レギュレーターで針が重なるのは12時00分の1回だけである。
では、いつ頃からレギュレーターが使用され始めたのだろうか。正確なことはわからないが、少なくとも17世紀にはすでに存在していたことは間違いない。ちなみにクロノメトリー・フェルディナント・ベルトゥーは、18世紀に活躍した偉大な時計師、フェルディナント・ベルトゥーの歴史的功績を称えて創設されたブランド。現在展開されているコレクションの多くは当時彼が製作したレギュレーター表示のマリンクロノメーターから着想を得ている。
一方で、レギュレータータイプの腕時計が昔からあったかというと、実はそうでもない。
普及させたのは、今日もレギュレーターウオッチの製造で有名なクロノスイスで、1988年に初めて発表された。当時、このアイディアが大好評を博し、たちまち他メーカーも追随したというわけだ。
現在は、クロノスイスだけでなく、パテック フィリップやA.ランゲ&ゾーネといったハイブランドから、スカーゲンやドゥッファといったカジュアルブランドまで幅広いレンジで展開されているレギュレーターウオッチ。一般的には分表示をセンターに配置したものが多いが、センターに秒表示を置いたモデルやユニークな配列となったモデル、さらにはデジタル表示と組み合わせたモデルなど、デザインとしても楽しめるバリエーションも多く展開されており、選択肢は豊富になっている。
文◎堀内大輔(編集部)
提供元・Watch LIFE NEWS
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