車を購入する際は、貯金と自動車ローンという手段がある。どちらがお得なのだろうか?今回は車を買う際、買ったあとにかかる費用などについても紹介。また、車の購入予算についても目安を解説していくので、参考にしてもらいたい。

目次
1,車の購入予算の目安
2,車の購入に必要な費用は?
3,現金一括払いとローン払いの比較!
4,車の購入資金を貯めるための貯金計画3ステップ
5,車を購入するときに押さえておきたい2つのポイント
6,車購入後の維持費用を確認

1,車の購入予算、どのくらいが目安?年収の半分を目処に

車を購入するとき、重要な判断基準は価格だろう。実際パーク24株式会社が実施したアンケートでも、回答者の70%が購入時に重視することとして「車の価格」を挙げている。

一般的に車の購入予算は年収の半分程度が目安だといわれている。とはいえ、使用用途や経済状況などを鑑みれば個々の予算は千差万別だろう。先程のアンケートでは車の購入予算に対する回答は以下のようになっている。
 

車の購入予算 回答者の割合
50万円未満 3%
50万円以上100万円未満 9%
100万円以上150万円未満 15%
150万円以上200万円未満 19%
200万円以上250万円未満 14%
250万円以上300万円未満 16%
300万円以上400万円未満 12%
400万円以上500万円未満 7%
500万円以上1,000万円未満 4%
1,000万円以上 1%
※「パーク24株式会社『クルマの購入』に関するアンケート結果」より筆者作成

アンケートからは「150万円以上200万円未満」の車を購入すると答えた人が最も多かった。国税庁の調査では2019年の平均給与は約441万円となっているため、おおむね年収の半額以内の予算で車を購入している人が多いといえるだろう。

車はデザイン、機能、メーカーなど、何を重視するかによって価格は変わる。欲しい車の価格が予算を超える場合、車のグレードを変えるなどの調整が必要だ。

2,車の購入に必要な費用は?本体価格350万円の車なら総額44万円必要

実は車の購入に必要な費用は車両本体だけでなく手数料などそれに付随する費用もたくさんある。展示車のフロントガラスに価格が掲示されているのを目にしたことがないだろうか。その価格は車両本体価格の場合もあれば、付属品を含めた価格の場合もある。もしかしたら現金購入に限った価格かもしれない。掲示価格はどのような条件のものか確認することが重要である。

付属品などを含めた価格だったとしても、車を購入する際に必要な費用は他にもある。車両本体価格が約350万円の車を例に代表的なものをシミュレーションしてみよう。すべて2020年2月現在の価格である。
 

項目 費用
消費税 35万円
リサイクル料金 1万5,000円
ナンバープレート代 1,450円
保管場所証明申請手続に関わる費用 2,600円
検査・登録に関わる費用 1,500円
自動車税 4万3,500円
環境性能割 2万8,800円
合計 44万2,850円

費用を全て足し合わせると合計は約44万2,850円となる。350万の車を購入したとしても、合計金額は約400万円近くなってしまう計算だ。次からは各項目について紹介していこう。

消費税(10%)……約35万円(車両本体価格に対する税額)

車の購入には消費税がかかる。課税対象が高額なのでうっかり忘れると予算オーバーになりかねない。予算を立てる際は消費税込みで計算しよう。

リサイクル料金……約1万5,000円

新車を購入すると前払いで自動車リサイクル料金を払う必要がある。本体価格が同じでも車種が異なると料金が変わることがあるので注意しよう。自動車リサイクル料金の水準は以下のようになっている。

【リサイクル料金の水準】

自動車の種類 リサイクル料金の合計額
軽・小型乗用車(コンパクトカー)
(エアバッグ類4個、エアコン有り)
7千円~1万6千円程度
普通乗用車
(エアバッグ類4個、エアコン有り)
1万円~1万8千円程度
中・大型トラック
(エアバッグ類2個、エアコン有り)
1万円~1万6千円程度
大型バス
(エアバッグ類2個、エアコン有り)
4万円~6万5千円程度
※経済産業省の「自動車リサイクル法」ページより筆者作成

リサイクル料金の支払いを証明するリサイクル券が発券されるので、車検証などと一緒に保管しておくとよい。車を譲渡する際などに必要なことがある。

ナンバープレート代……1,450円(2枚分)

ナンバープレート代は地域によって価格差があるが、ここでは東京都を例に挙げてみる。普通自動車のペイントといわれる一般的なタイプは2枚で1,450円だ。字光式タイプだと2枚で2,860円になる。

自分の好きな数字(希望ナンバー)にしたい場合はペイント2枚で4,140円、字光式2枚で5,360円。地方版図柄入りナンバープレートや東京2020年オリンピック・パラリンピック競技大会特別仕様ナンバープレートなどの価格はさらに高く、2枚セットで7,000円を超える。

保管場所証明申請手続に関わる費用……2,600円(申請手数料+標章交付手数料)

車を所有するには保管場所(車庫)を申請して車庫証明書を取得する必要がある。取得手続きは保管場所(車庫)の所在地を管轄する警察署の交通課窓口で行う。

軽自動車は手続きが必要ない自治体もあるので、引っ越す際は移転先の自治体で手続きが必要かを事前に確認しておきたい。

検査・登録に関わる費用……1,500円(新規登録申請手数料+新規検査申請手数料/OSS登録の場合)

自動車検査(車検)で必要な登録と検査の手数料。OSSと呼ばれる「自動車保有関係手続のワンストップサービス」を利用した倍は1,500円となるが、利用しない場合は2,100円になる。軽自動車は提出書類などによって異なるので、自分が該当するものを事前に調べておくと安心だ。

自動車税……4万3,500円(総排気量2,000cc超2,500cc以下、エコカー減税なしの場合)

自動車税は車の用途や総排気量により税額が決まる。総排気量が2,000cc以上の普通乗用車の場合、価格は4万3,500円だ。2019年10月以降に初回新規登録を受けた車は以下のように税率が引き下げられている。
 

排気量 現行 引き下げ後
660cc超~
1000cc以下
29,500円 25,000円
1000cc超~
1500cc以下
34,500円 30,500円
1500cc超~
2000cc以下
39,500円 36,000円
2000cc超~
2500cc以下
45,000円 43,500円
2500cc超~
3000cc以下
51,000円 50,000円
3000cc超~
3500cc以下
58,000円 57,000円
3500cc超~
4000cc以下
66,500円 65,500円
4000cc超~
4500cc以下
76,500円 75,500円
4500cc超~
6000cc以下
88,000円 87,000円
※一般社団法人の本自動車工業協会の公式サイトより筆者作成

環境性能が優れたエコカーはさらに大幅に減税される。

環境性能割……約2万8,800円(1%、エコカー減税なしの場合)

2019年10月に自動車取得税が廃止され、環境性能割が導入された。税率は燃費性能や排ガス規制等に応じて決定され、自家用の登録車は非課税、もしくは1~3%に区分される。

以下が環境性能割の税率をまとめた表だ。

【環境性能割の税率(乗用車の例)】

燃費性能等 税率
自家用 営業用
登録車 軽自動車
電気自動車等 非課税 非課税 非課税
★★★★かつ2020年度燃費基準+20%達成車
★★★★かつ2020年度燃費基準+10%達成車 1.0%(非課税)
★★★★かつ2020年度燃費基準達成車 2.0%(1.0%) 1.0%(非課税) 0.5%
★★★★かつ2015年度燃費基準+10%達成車 3.0% 2.0% 1.0%
上記以外 3.0%(2.0%) 2.0%(1.0%) 2.0%
※総務省のHPをもとに筆者作成
※()内は2020年9月30日までの臨時的軽減による税率
※★★★★は平成30年排出ガス規制からNOx50%低減達成車又は平成17年排出ガス規制からNOx75%低減達成車

3,車を購入する際の払い方を比較!現金一括払いとローンのメリット・デメリット

ここまで、自動車の購入時にかかる費用を見てきたが支払い方では、支払い方法は現金一括払いとローンのどちらがよいのだろうか。それぞれのメリットとデメリットを見てみよう。

現金一括払いのメリット・デメリット 利子や手続きの手間がない

現金一括払いの1番のメリットはローン契約の手間や借入れに伴う利子が発生しないため時間とお金を消費せずに済むことだろう。また、購入と同時に車の所有者名義が自分自身になることを魅力に感じる人もいるかもしれない。

デメリットは購入費用が高くなるほど、現金資産が一気に減少することだ。貯金が減っても生活やライフイベントに影響がないか、万が一ケガや病気で収入が断たれても問題ないかなどを検討する必要がある。

ローンで支払うメリット・デメリット 利息を払う必要がある

貯金が少ない人でも車を購入できるのがローンで支払うメリットだ。現金資産が減らないのも、日々の生活には安心材料になるだろう。

ただし、少ないとはいえ利子がゼロになるわけではない。利子の分だけ最終的な支払総額は現金一括払いより多くなる。参考までに一般的な金融機関のローンの利率を比較してみよう。以下は235万円の自動車を購入し、全額自動車ローンで支払う場合のシミュレーションだ。返済期間は5年、60回払いになっている。
 

機関 金利 毎月の返済額 利息総額 返済総額
銀行系のローン
(最低金利)
年2.5% 41,706円 15万2,360円 250万2,360円
銀行系のローン
(最高金利)
年3.7% 42,961円 22万7,660円 257万7,660円
ディーラーのローン 年6.0% 初回47,324円
(2回目以降)
45,400円
3万75,924円 272万5,924円
残価設定のローン 年5.0% 34,562円
(最終支払金)
700,000円
38万9,158円 273万9,158円
※山陰合同銀行「ごうぎんなび」内ページより筆者作成

金利が安い銀行でローンを組むことができても、5年間で最低約15万円がかかる。また、車以外にも住宅購入などのローン契約を計画している場合、2つ目のローン審査に通るのが難しいこともあるといわれている。

4,車の購入資金を貯めるための貯金計画3ステップ

では車を購入したいが資金が足りない場合は何をすればよいだろうか。車を買うための貯金計画の方法を紹介しよう。

STEP……目標金額を決める

まずは車両本体価格だけでなく、税金、保険、オプション料金など、必要な経費も含めて、欲しい車には総額いくら必要なのかを洗い出し目標金額を決める。

候補としている車が複数ある場合は、一番金額の高い車に目標金額を合わせておこう。前段で伝えたように車の金額は年収の半分程度になっているとよいだろう。

STEP2……購入する時期を決定する

車が必要になる時期などを考慮して、いつまでに買うかを決定。出産で家族が増えるなど、ライフスタイルが変わる節目に購入を検討するのも一案である。

値引き率が高くなる販売店の決算時期にあわせるのもよいだろう。ディーラーから購入する場合、2月~3月の決算前や9月などの中間決算前であれば値引き交渉もしやすい。

もし買う時期によっては貯金が間に合わない場合は、ローンを組むことを検討してもいいかもしれない。購入時期までにローンの頭金を貯金しておき、残りはローンで購入するといった方法だ。

STEP3……貯める方法を検討する

STEP1(目標金額)とSTEP2(買う時期)をもとに貯金方法を検討したい。例えば、定期預金を利用するなら満期日を買う時期に設定し、必要な額が貯まるように毎月の積立金額を決めておく。

ネット銀行では目的別に口座を複数に分けることができるものもある。以下に目的別口座が開設できるネット銀行をまとめたので参考にしてほしい。
 

銀行名 開設可能口座数 特徴
住信SBIネット銀行 代表口座
+5つの目的別口座
・ネットから目標金額や期日を設定し
達成状況を確認できる
・円定期預金、外貨預金も管理可能
ソニー銀行 代表口座
+5つの目的別口座
・ネットから目標金額の設定ができ
達成状況を確認できる
・各目的別口座で見張り番として
キャラクターを設定できる
GMO
あおぞらネット銀行
代表口座内に
10つの目的別口座
・定額自動振替機能を利用して
自動的に各口座へ一定額を
振り分けできる
・円定期預金、外貨預金も入出金可能
※各銀行の公式サイトをもとに筆者作成

5,車を購入するときに押さえておきたい2つのポイント 購入タイミングや売却時も考慮しよう

なるべく安く車を購入したいと考える人が多いのは当然だ。ここではそのために押さえておきたい購入するタイミングや車種の選び方を紹介する。

ポイント1,モデルチェンジなど価格が下がるタイミングを見極める

車種にあまりこだわりがないのなら、購入予定の販売店のチラシやホームページなどでセール情報を集める。特定の車種を希望する場合はセール中に在庫がある保証はないので、メーカーのモデルチェンジを狙うのがおすすめだ。古くなるモデルは通常より安く購入できることがある。

ポイント2,売却を見据えた車種選びをする

買い替えや売却することを前提に、査定額が下がりにくい車種を選ぶ。中古車市場は日々変化するが、一定の評価を受ける人気の車種や色の車は査定額が高くなりやすいだろう。

一般的には黒・白・シルバーなどの乗る人を選ばない色の車が売却価格は高くなる傾向にある。他にも走行距離や燃費なども売却価格に影響するため、乗り方にも気をつけたい。

6,車購入後の維持費用はどれくらい?1年間で約22万円

車を購入すると税金やガソリン代、メンテナンス費用、保険料などが維持費用としてかかる。以下に代表的なものをまとめた。ローンで購入した場合、購入費用とともにこれらも継続的に支払う必要があることを覚えておこう。

【車の年間維持費用】

維持費用 金額 備考
税金 自動車税 4万3,500円 2019年10月以降に新規登録、
総排気量2,000cc超2,500cc以下、
エコカー減税なし
自動車重量税 1万6,400円 3年(新車購入時)、
車両重量2000kg超2,500㎏以下、
エコカー減免なし
保険 自賠責保険 3万6,780円 自家用乗用車37ヵ月分
任意保険 2万5,000円~
3万円
契約者は40代、自家用車の場合
車検基本料 2万5,000円 車両重量2000kg超2,500㎏以下、
車検は新車なら3年後、
以後2年に1度必要
ガソリン代 75,000円 ガソリンが150円/1リットル、
年間5000km走行、燃費10km/lリットルの
普通乗用車の場合
合計 22万1,680円
※金額は2020年2月現在の数値

車の維持費用を節約する2つのポイント エコカーなら長期的な費用は安くなる可能性

車の維持費用は年間で約22万円と決して安くはない金額になることもある。それではこれらの維持費用を抑えるにはどうすればよいのだろうか。維持費用が節約できるポイントを3つ紹介する。

ポイント1,ハイブリッドカーを選ぶ

ガソリン車かハイブリッド車(エコカー)かを選べる車種がある。ハイブリッド車(エコカー)はガソリン車より本体価格は高くなるが、燃費がよかったり税金が減免になったり、任意保険料が安くなることもある。

初期費用が高くとも長期的にはハイブリット車(エコカー)の方がお得になる可能性もあるため、保有期間なども含めてどちらにするか検討しよう。

ポイント2,自動車保険を安いものにする 

任意保険料を安くできないか見直すのもよい。保険料は保険会社によって変わるが、年齢や使用頻度(走行距離)、使用目的(通勤か日常・レジャー)などによって変わることもある。

インターネットから申し込めるダイレクト型の自動車保険は保険料が安いことが多い。代理店を通さない分、人件費などを抑えられるからだ。いくつかの保険会社から見積もりをとって比較検討し保障内容を確認したい。

車の購入には意外と資金が必要なため計画的な準備をしたい

このように車の価格は購入方法やタイミングによって節約することができる。車の購入には車両本体の価格にプラスして維持費用などがかかってくる。車を購入する際は計画的に貯金をしながら、ローンと現金一括払いどちらを選択するか、比較検討することを惜しまないでほしい。

文・MONEY TIMES編集部
 

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