目次

  1. 大きな脳は手がかかる
  2. 料理が「人間らしさ」をつくった
人類の知能の爆上げしてきたのは「料理」だった可能性
(画像=Credit: depositphotos、『ナゾロジー』より 引用)

人は体のサイズに比べてとても大きな脳を持っています。

同じ霊長類のゴリラやオランウータンは、私たちより体が大きいにもかかわらず、脳は小さく、神経の数もずっと少ないのです。

なぜ人類だけが、これほど大きな脳と高い知能を獲得したのでしょうか。

答えは、「料理の発明」にあるといわれています。

大きな脳は手がかかる

摂取すべきエネルギー量は体が大きいほど増えますが、中でも脳の消費量は相当なものです。

人では全体重の2%ほどしかないのに、摂取したエネルギーの2割が脳の活動に費やされます。

そのため、人類の古い祖先である霊長類は、脳を維持するために起きている間はほぼずっと植物の茎や実などを食べていました。

実際、ゴリラやオランウータンは、1日のおよそ9時間を食事の時間に費やしています。専門家の話では、もし彼らが人と同じサイズの脳を持っているなら、食事の時間をさらに2時間も増やさなければならないそうです。

人類の知能の爆上げしてきたのは「料理」だった可能性
(画像=Credit: pixabay、『ナゾロジー』より 引用)

また、彼らの脳が発達しない理由として、草食生活が挙げられます。

茎や木の実は、動物の肉に比べて、摂取できるエネルギー量がきわめて低く、大きな体を維持するにはとにかく食べる量を増やすしかありません。ゴリラやオランウータンの食事時間が長いのはそのためです。

ところが人類の祖先は、料理を発明したことで草食生活から抜け出すことになります。

料理が「人間らしさ」をつくった

人類の脳が発達するきっかけは、今から約200万年前の旧石器時代に、タンパク質と脂肪分を豊富に含む「肉」を食べ始めたことです。

初期人類はこの時期に火を発明し、動物の肉を「焼く」という調理法を編み出しました。焼くことで、肉は食べやすく、消化しやすい状態になります。

これが転機となって、人類は茎を一日中噛む生活から解放されるのです。

さらに新石器時代に入り、調理法のバリエーションが増えていきます。

土器や調理器具、それから火力調節に優れた炭火の登場により、焼く以外に、「煮る・茹でる・蒸す・揚げる」などの調理法が可能になりました。

この頃から人類にとっての食は、「生きるための作業」から「楽しむもの」へと明確にシフトしたのです。

人類の知能の爆上げしてきたのは「料理」だった可能性
(画像=Credit: pixabay、『ナゾロジー』より 引用)

こうした料理の進歩が、脳の発達を加速させていきました。

栄養価の高い食べ物を効率よく摂取できるようになったこと、保存の効く調理により狩猟・採集の時間が減ったこと、減った時間を農耕や牧畜、住居や道具の製作に当てられるようになったこと。

このように、料理は大きな脳の維持が容易になっただけでなく、知能を高めるための時間を生み出したのです。

また、料理により、一家団欒の時間が増えたことも指摘しておくべきでしょう。

今ある人間らしさの源は、料理だったのかもしれませんね。

reference: npr.org, natgeo / written by くらのすけ

提供元・ナゾロジー

【関連記事】
ウミウシに「セルフ斬首と胴体再生」の新行動を発見 生首から心臓まで再生できる(日本)
人間に必要な「1日の水分量」は、他の霊長類の半分だと判明! 森からの脱出に成功した要因か
深海の微生物は「自然に起こる水分解」からエネルギーを得ていた?! エイリアン発見につながる研究結果
「生体工学網膜」が失明治療に革命を起こす?
人工培養脳を「乳児の脳」まで生育することに成功