目次

  1. 「イヤーワーム」の仕組みとは?
  2. 「イヤーワーム」を起こしやすい人の特徴は?
  3. 「イヤーワーム」の撃退法はある?
音楽が脳内で勝手にヘビロテされる「イヤーワーム現象」とは?
(画像=Credit: jp.depositphotos、『ナゾロジー』より 引用)

「CMのテーマ曲が頭から離れない」「アニメソングが脳内で勝手にヘビロテされる」

こんな経験ありませんか?

こうした「ある音楽が頭から離れない」現象は、9割以上の人が経験しており、正式には「イヤーワーム」と呼ばれます。まるで、耳の中に音楽の寄生虫がこびりついたように感じるからです。

イヤーワームは男女ともに起こりますが、研究では、イヤーワームを起こしやすい人(状態)というのが分かっています。

一体、どんな人に起こりやすいのでしょうか。また、イヤーワームの効果的な撃退法はあるのでしょうか。

「イヤーワーム」の仕組みとは?

音楽が脳内で勝手にヘビロテされる「イヤーワーム現象」とは?
(画像=Credit: jp.depositphotos、『ナゾロジー』より 引用)

イヤーワームは、もちろん寄生虫のせいではありませんが、一度頭の中に留まると「認知的かゆみ(Cognitive itch)」と呼べる状態を引き起こします。

私たちは音楽や歌を聴くとき、「聴覚野(auditory cortex)」という脳領域の一部が活性化されます。

米・ダートマス大学の研究では、被験者に馴染みのある曲の一部だけを聴かせると、聴覚野が自然に残りのパートを埋めようと活性化し続けました。

つまり、実際の曲が終わった後も、脳は続きを聞きたいと切望します。このもどかしさが「認知的かゆみ」です。

このかゆみを「掻く」唯一の方法は、聞いた曲の部分を脳内で何度も反復する以外にありません。不運にも、そのかゆみは、蚊にかまれた痕のように、掻くほど(反復するほど)かゆくなります。

その結果、エンドレスに曲の一部分が脳内でヘビロテされるのです。

「イヤーワーム」を起こしやすい人の特徴は?

シンシナティ大学の研究によると、イヤーワームの発生率は男性よりも女性の方が高いことが判明しています。調査では、女性の方がより長い時間イヤーワームが継続し、男性よりも不快度が高くなっていました。

また他に、音楽家や神経質な人、あるいは疲労やストレスが溜まっている人にも多く見られるそうです。

音楽家は、日常的に音楽を聴く回数が多いですから、イヤーワームが起きやすい状態にあります。しかし、なぜ男性よりも女性に多いのかは今もって分かっていません。

それから、イヤーワームを起こしやすい曲の条件もあります。特に、シンプルかつキャッチーなメロディ、歌詞が反復する曲、特徴的なビートやイレギュラーなリズムが入った曲などです。

アンケート調査では、歌詞付きの音楽が74%、コマーシャルソングやCMのリズム音が15%、歌詞のない楽器音が11%でした。CM曲の製作者としては嬉しい悲鳴かもしれません。

「イヤーワーム」の撃退法はある?

では、イヤーワームを撃退するにはどうすれば良いでしょうか。

専門家の話では、残念ながら100%の確率でイヤーワームを追い払う方法はありませんが、効果的なものならいくつかあります。

例えば、以下の4つです。

1.別の歌を歌ったり、楽器で別のメロディーを演奏する

2. エクササイズなど、身体を活動状態に置く

3. 頭の中に流れる歌・音楽を実際に最初から最後まで聞く(一部の人にのみ効果あり)

4. CDやラジオなどで、別の音源を聞くことで脳の意識対象を移す

これらに効果が確認されていますが、イヤーワームは治らなくても心配する必要はありません。ほとんどが一過性のものなので、健康面に問題はないそうです。

実際、イヤーワームを不快に感じる人も多くありません。バックネル大学の研究では、イヤーワームを好意的に感じる学生が50%以上を占め、中立的な評価が30%、不快と評価したのは15%でした。

より危険なのは、現実に鳴っていない、存在しない音が聞こえる「幻聴」です。これに関しては、医師や心理カウンセラーに相談した方が良いでしょう。

イヤーワームはしゃっくりのように一時的なものなので、その間は楽しく付き合ってみるのも良いかもしれませんね。

reference: howstuffworks

提供元・ナゾロジー

【関連記事】
ウミウシに「セルフ斬首と胴体再生」の新行動を発見 生首から心臓まで再生できる(日本)
人間に必要な「1日の水分量」は、他の霊長類の半分だと判明! 森からの脱出に成功した要因か
深海の微生物は「自然に起こる水分解」からエネルギーを得ていた?! エイリアン発見につながる研究結果
「生体工学網膜」が失明治療に革命を起こす?
人工培養脳を「乳児の脳」まで生育することに成功