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自宅で楽しめる趣味として、アクアリウムに興味をもつ人が増えてきている。熱帯魚にはさまざまな種類があるため、何を飼育するか決めかねている人も多いのではないだろうか。そこで今回はアクアリウム初心者に向け、熱帯魚を選ぶポイントや飼育の準備、飼育のポイントなどを解説する。併せておすすめの熱帯魚も紹介するため、ぜひ参考にしてほしい。
熱帯魚とは
赤道周辺の熱帯地方や、亜熱帯・温帯が原産の魚を「熱帯魚」と呼ぶ。熱帯魚は色や形、大きさから性格まで、実にさまざまだ。グッピーやテトラのような鮮やかでかわいいものもいれば、ピラニアのような獰猛なものもいる。水族館で見られる、巨大なアロワナやピラルクも熱帯魚の一種だ。
熱帯魚は、生息域で3種類に分類される。川にいる淡水性、海にいる海水性、そして川と海の中間に棲む汽水性。なかでも、ペットショップやアクアリウム専門店などで売られている熱帯魚は、ほとんどが淡水生または汽水性である。
熱帯魚選びのポイント
熱帯・亜熱帯原産といえども、日本の一般家庭でも熱帯魚の飼育は可能だ。アクアリウム初心者であれば、まずは丈夫で手のかからない熱帯魚から始めるのが一番だろう。ここでは、熱帯魚選びのポイントを3つ紹介しよう。
熱帯魚の行動をチェック
まずは、弱っている熱帯魚を見極めてほしい。群れから外れて泳いでいる、泳ぎがふらふらしている、水面でパクパクしているなどの状態は危うい。また、物陰に隠れている熱帯魚は、生命の危機を感じ、ほかの仲間から身を隠している可能性がある。さらに、積極的に餌を食べない熱帯魚も避けたほうがよいだろう。
弱っている熱帯魚を連れ帰っても、持ち帰る過程で酸欠になってしまったり、新しい環境に馴染めず早々に死んでしまったりする可能性が高い。せっかく熱帯魚と暮らすのだから、長く一緒にいられるように、丈夫な魚を選ぼう。
熱帯魚の見た目をチェック
病気やケガの状態は、周囲を泳ぐほかの魚と比較するとわかりやすい。表面が白っぽくなっていないか、ヒレやエラが欠けたり溶けたりしていないか、目が飛び出ていないかなど、おかしな点がないか確認しよう。また、痩せ細っている熱帯魚は、寿命が近い可能性がある。
もし、寄生虫やウイルス性の病気にかかった熱帯魚を持ち帰ってしまうと、水槽全体に病気が蔓延するおそれがある。アクアリウム熟練者であれば、弱っている魚を隔離したり薬で治療したりするなど、トラブルに冷静に対応できる可能性もあろう。しかし初心者の場合、臨機応変な対応は難しく、狼狽するうちに飼っている熱帯魚が全滅しかねない。リスクを避けるには、購入前の念入りなチェックが不可欠だ。
飼いやすさをチェック
かわいい熱帯魚、かっこいい熱帯魚に惹かれる人は多いだろう。それでも初心者ならば、病気に強く、水質の悪化・変化に対応できる熱帯魚を優先して選んでほしい。熱帯魚の飼育には、餌やりや水替え、体調管理など何かと手間がかかる。最初は熱心に育てていても、時間が経つと世話をすることを面倒に感じるかもしれない。無理なく世話を続けるには、飼いやすい熱帯魚から飼い始めるべきだ。
チェックしたいポイントのひとつに「餌やり」がある。たとえば、特別な店舗で売っている餌しか食べない熱帯魚もいれば、100円ショップで売っているメダカの餌で生きていける熱帯魚もいる。後者のほうが育てやすいのは一目瞭然だ。また、旅行や出張で家を空けることを想定し、どれほど餌を食べなくてよいかもチェックしておこう。ちなみにグッピーやプラティ、ネオンテトラなどは一般的な餌を与えればよく、1週間程度なら餌を食べずとも生きていられるため、飼いやすい熱帯魚といえよう。
そのほか、「混泳の可否」もチェックしたい。混泳については、一般には「大人しい魚同士なら問題ない」「上層を泳ぐ熱帯魚と底床を泳ぐものの組み合わせならば大丈夫」などといわれている。ただし、熱帯魚は1匹ごとに性格が異なるため、過信は禁物だ。混泳可能といわれる種類でも、まれにケンカは起きることを理解しておこう。その上、日頃は大人しくても、繁殖期には気性が荒くなる場合もある。隔離したいときに備え、予備水槽を用意しておくと安心だ。
熱帯魚飼育にあたって用意するもの
熱帯魚の飼育にあたり、まずは以下で紹介するものを用意してほしい。余裕があれば、先に水槽に飼育水を作り、ろ過器(フィルター)を回しておこう。水質が安定してから熱帯魚をお迎えすると、スムーズに熱帯魚を投入できるためだ。
水槽
水槽は、材質とサイズに着目して選ぼう。材質としてはガラス製とアクリル製の2種類がある。ガラス製は透明性にすぐれ、傷が付きにくいが、重い・割れる・加工しにくいなどのデメリットがある。一方アクリルは、軽量かつ安価で加工も容易な反面、傷が付きやすい・変形しやすい・くもりやすいなどのデメリットがある。
水槽のサイズは、熱帯魚のサイズや種類に応じて選ぼう。初心者におすすめなのは、大きな水槽だ。窮屈な水槽では熱帯魚がストレスを感じやすく、水質も悪化しやすいため管理が難しい。なお、一般的には体長1cmの熱帯魚1匹につき、1Lの水量が必要とされる。
ろ過器(フィルター)
ろ過器は、熱帯魚の糞、または餌の食べ残しによる水質悪化を防ぐために必要だ。ろ過器は主に、「物理ろ過」「生物ろ過」の2つの役割を果たす。物理ろ過とは、マットやスポンジなどのフィルター材を指し、比較的大きな汚れを回収する。
一方、生物ろ過は、熱帯魚の糞や餌の食べ残しから発生する有害なアンモニアを、ろ過バクテリアが害の少ない硝酸塩に変え、水を浄化する仕組みだ。ろ過バクテリアはろ過器内で自然発生するが、すぐに熱帯魚を投入したいときは、市販のバクテリアを投入するとよい。
なお、ろ過器にはさまざまなタイプがあり、設置場所や容積、水流の強さなどが異なる。熱帯魚の種類や水槽のサイズにより、適切なものを選んでほしい。アクアリウム初心者向けの「水槽セット」には、多くの場合「投げ込み式フィルター」が入っており、コスパがよく設置できる。また、底床付近の水質悪化を回避する「底面フィルター」は、コリドラスやプレコ、シュリンプなどを育てる際におすすめだ。ほかにも、群泳を楽しむラスボラ・エスペイやカージナルテトラなどには、水流が強い「外掛け式フィルター」が向いている。
ヒーター、サーモスタット
熱帯魚のふるさとは温暖である。日本の気候を考えると、温度管理なしでは熱帯魚の飼育は厳しい。特に冬場冷え込む地域では、水温低下により熱帯魚の活動が弱まり衰弱してしまうケースが多い。かといって、水温が高すぎるのも危険だ。小さな熱帯魚やシュリンプは熱に弱く、夏場にエアコンをかけない部屋では大量死のおそれすらある。飼育水は25~30℃程度が適温なので、ヒーターやサーモスタットを使ってキープしよう。
ちなみに「ヒーター」は温度を上げる機能、「サーモスサット」は温度を一定範囲にキープする機能を指す。ヒーターとサーモスタットが一体となった「オートヒータータイプ」ならば、初心者でも扱いやすいだろう。
照明
熱帯魚の生活リズムを整え、健康に飼育を続けるには照明が欠かせない。また、たいていの水草を育てるにも、光合成のために照明が必要だ。その上、照明で照らされた熱帯魚や水草は美しい。
照明をつける時間は、6~12時間ほどが目安。つけすぎるとコケが大量発生してしまうためだ。壁面のコケは取り除くのが大変で、やわらかいスポンジで擦った程度では落ちないため、なるべく生えないように管理したい。タイマー式の照明ならば、毎日同じ時間に自動点灯・消灯するため、手間なく管理できる。
照明の種類は、LED・蛍光灯・メタルハライドランプの3つだ。コスパがよく、ライトの色のバリエーションが豊かなものならば、LEDがおすすめ。また、水草の育成に注力するならメタルハライドが向いている。
塩素中和剤
水道水には塩素が大量に含まれており、そのままでは熱帯魚やバクテリアにとって危険な状態だ。塩素を取り除くには、塩素中和剤(カルキ抜き)を使う。水に決められた量を添加し、決められた時間放置するだけで塩素は取り除かれる。なお、塩素中和剤のほかにも多くの水質調整材がある。熱帯魚の種類によっては、PH調整剤なども検討しよう。
熱帯魚を飼育する際のポイント
ここからは、熱帯魚を飼育する際のポイントを3つ紹介しよう。まずは基本を押さえ、徐々に知識とスキルを身につけていこう。
餌のあげ方
餌には「人工飼料」「天然飼料」の2種類がある。人工飼料とは加工した飼料を指し、必要な栄養がバランスよく調整されている。フレーク・顆粒・ペレットなどさまざまなタイプがあるため、熱帯魚の食の好みや泳いでいる場所、口のサイズなどに合わせて選ぼう。たとえば、水面近くを泳ぐ口の小さなグッピーには、水面にしばらく漂う顆粒状のものがぴったりだ。
天然飼料とは、主に乾燥赤虫や冷凍赤虫などを指す。ちなみに肉食の熱帯魚には、金魚やコオロギなどの虫を食べるものもいる。生餌を与える頻度は少なくて構わないが、そのような餌に抵抗がある人は、「何を好んで食べるか」もチェックして熱帯魚を選ぼう。
餌をあげる頻度は、毎日2回~数回が基本。数分で食べ切れる量を与えるようにし、食べ残しによる水質悪化を避けることが大切だ。また、新しく熱帯魚を迎えた日は、餌やりを控えたほうがよい。慣れない環境で熱帯魚にはストレスが溜まっているため、消化にかけるエネルギーを休息に回してあげてはどうだろうか。
水草も育てる
水草と熱帯魚の相性は抜群だ。青々とした水草を背に泳ぐ熱帯魚を見ると、得も言われぬ満足感を味わえるはず。しかも水草は、小さな熱帯魚たちの隠れ家や、産卵床にもなる。加えて、コケの原因になる養分を吸収したり、光合成により酸素を供給したりするなどの働きもある。
初心者には、アヌビアス・ナナやウィローモスなど、水草専用のメタルハライドランプを使わなくても育てられるものがおすすめだ。特に、枝や岩にくっつけられた状態で売られているものは、熱帯魚につつかれたとしてもレイアウトが乱れにくい。
なお、成長が著しい水草は、水替えのタイミングでトリミングを行おう。トリミングによって見栄えをキープするとともに、熱帯魚が泳ぐ場所を確保できる。
水槽の水換え
水槽の水換えは、週1回を目処に実施しよう。水替えを怠ると水質が悪化し、熱帯魚が病気になりかねない。交換する水は、全体の1/3程度が目安。一気に水を交換しすぎると、水質が大きく変わってしまい魚の負担になるだけでなく、バクテリアが減少することで、水槽内の生態系も崩れてしまうからだ。
水替え用の水を作るには、水道水に塩素中和剤を加え、室内にしばらく放置し、水槽の水と同じ程度の水温になるまで待つ。温度の変動を抑え、熱帯魚の負担を和らげよう。
なお、水槽の汚れは底床にたまりがちだ。水替えポンプを挿しこみ、下のほうから水を吸い取ろう。また、ゴミや糞のような大きな汚れが目立つときは、スポイトを使うと手際よく回収できる。
特に人気の熱帯魚「カラシン」
ここからは、おすすめの熱帯魚を紹介する。まずはベテラン・初心者を問わず人気の高い熱帯魚「カラシン」だ。カラシンは南米・アフリカ大陸原産で、群れで行動する傾向が強い。銀色に輝くボディが特徴で、背ビレの後ろに小さなヒレがあるものが多い。アゴには歯が発達している。カラシンのサイズは、数cm程度から1mまでと幅広い。以下で紹介する3種は、いずれも成魚で数cm程度とそれほど大きくならないため、育てやすいだろう。
ネオンテトラ
アクアリウムにたずさわる人から絶大な人気を得ているネオンテトラ。全体的にボディの色は青く、尾ビレの付け根から腹にかけて赤いのが特徴だ。水草水槽で飼育すると色映え鮮やかで、仲間と群泳する姿は見応えがある。性格は穏やかで、ほかの熱帯魚と混泳させやすい。なお、卵を水中に産卵するため、繁殖は難しい。
カージナルテトラ
カージナルテトラは、ネオンテトラと色あい・大きさともによく似ている。見分け方は赤色の面積。ネオンテトラが尾ビレの付け根から腹にかけて赤いのに対し、カージナルテトラはエラのあたりまで、体の下半分が赤い。ネオンテトラと同様、美しい熱帯魚としてこちらも人気が高い。
ハチェット
シルバーハチェットとマーブルハチェットが有名。ぽっこり膨れた腹部がユーモラスで、独特な体型が「hatchet(手斧)」に見えることから名づけられた。上層を泳ぎ、ときに水槽から飛び出すこともあるため、フタをして飼育したほうがよい。
温厚で飼いやすい「コイ」
「コイ」はアジアや北アメリカ、アフリカに生息するが、カラシンが生息する南米アマゾン川では見られない。目立つ部分には歯がないが、のどの奥、咽頭歯と呼ばれるギザギザした部分で食べ物をかみ砕く。また、口ひげも特徴的だ。日本人ならば親しみ深いであろう、ドジョウや金魚もコイの仲間である。穏やかな性格で、ほかの熱帯魚とも共存可能。
ラスボラ・エスペイ
東南アジアに生息する。体全体を覆うオレンジ色が水草水槽に映え、体の中心から尾ビレにかけ、黒いラインが入っている。間違われやすい種類に「ヘテロモルファ」という種類があるが、ヘテロモルファのほうはオレンジ色がやや薄く、黒いラインがくっきりしている。
アカヒレ
東アジアの熱帯魚で、赤いヒレと、エラから尾ビレにかけて流れる青いラインが目を引く。環境変化に強く、酸素消費量が少なくても生存できる強い熱帯魚だ。エアーの供給がない、金魚鉢やコップなどでも飼えるほどの生命力をもつ。繁殖は簡単だが、メスは水中に巻き散らすように産卵する。ウィローモスなどを置き、生まれたばかりの稚魚の身を守ろう。
オレンジグリッターダニオ
オレンジグリッターダニオは、オレンジのストライプに墨色の縦縞が並んだ奇抜な体をしている。水草を背景にすると、緑にオレンジが浮き立つ。泳ぐスピードが速く、水槽から飛び出るおそれがあるため、水槽に網やガラスのフタを被せよう。
クリー・ローチ
東南アジア原産のドジョウの仲間で、薄黄色と黒の縞模様が特徴的。大きくなると10cmほどにもなる。クリー・ローチは水槽の下部をうねうね泳ぎ、砂に潜っては食べ残しの餌を探し回る。なお、クリー・ローチのために砂を敷くなら、熱帯魚用に販売されている、角の取れた丸っこい砂を用意するのがおすすめだ。
カラフルで美しい「メダカ」
「メダカ」の仲間は繁殖が容易で、品種改良の結果、特徴的な種類が数多く見られる。「胎内で赤ちゃんを孵化させるタイプ」と、「浮草や産卵床に卵を産み付ける卵生タイプ」がある。なお、日本でよく見られるメダカは卵生タイプだ。
グッピー
オスが美しい尾ビレをもつことで知られる。品種改良により、ブルーグラスやキングコブラ、モザイク・タキシード、ドイツ・イエロータキシードなど、これまでにさまざま品種が生み出された。グッピーは真胎生タイプで、繁殖は非常に簡単。ただし、増えすぎて困るという人もいるため、繁殖を防ぐにはオス・メスを分けて飼う必要がある。メスは体が大きく、全体的にあっさりした見た目をしているため、選別は簡単だ。
プラティ
グッピーと同じく「胎内で赤ちゃんを孵化させるタイプ」で、飼いやすく繁殖力が強い。赤・白・濃い黄色などの種類がある。体には模様が入っており、模様の形や大きさにより、ミッキーマウスプラティ、タキシードプラティ、サンセットプラティなどに分類される。ユニークなものでは、バルーンベリフェラという、白い体にピンクのハートマークがあしらわれたものも登場している。
モーリー
プラティとよく似ており、しばしば間違われる。ただし、プラティはやや丸みを帯びているのに対し、モーリーはガッチリとしたボディスタイル。またサイズは、モーリーのほうが大きめだ。有名なものとして、全身が真っ黒のブラックモーリーが挙げられる。ブラックモーリーは繁殖期を迎えるとなわばり意識が強まり、同じ種類でケンカをすることもあるため注意深く観察しよう。
人に慣れやすい「シクリッド」
「シクリッド」は南米やアフリカに生息し、卵や稚魚を守り育てる性質がある。人懐こい熱帯魚で、餌やりのときには手前に寄ってきて、かわいくアピールしてくれる可能性も。種類ごとに色や形、サイズがさまざまで、大人の手のひらほどに大きくなる種類も珍しくないため、大きめの水槽で飼育してほしい。
エンゼルフィッシュ
アクアリウムに詳しくない人でも、名前を聞いたことがあるのではないだろうか。品種改良を経て、ヒレの形や色が異なる多くのエンゼルフィッシュが生み出された。やや強気な性格をしており、成長すると大きくなるため、ほかの熱帯魚を食べてしまう場合がある。特に、同じ領域を泳ぐカラシンのような小型魚とは、一緒にしないほうがよい。
ラミレジィ
南米原産で、多くの色がまじった華やかな見た目のものや、ヒレが伸びるもの、バルーン体型のものなど種類が豊富。長きにわたって人気がある熱帯魚だ。うまくいけば、産み付けた卵を夫婦で守る、かわいい一面を見られるかもしれない。ただしショックを受けると、せっかくの卵を食べてしまうこともある。心配ならば、卵と親を隔離しておくと安心だ。
個性的な種類が多い「アナバス」
アフリカまたは東南アジアに生息する熱帯魚。ヒレが美しいもの、腹ビレがあるものなどバリエーション豊かな外観をしている。「ラビリンス器官」とも呼ばれる呼吸にかかわる器官をもつことで知られ、水面から顔を出し呼吸する珍しい動きを見せる。また繁殖期になると、オスが水面に泡状の巣を作ったり、口の中で卵を育てたりといった、おもしろい行動を見せる。
ベタ
東南アジア原産であり、オスとメスの違いが著しい。オスは美しく大きなヒレが特徴的だが、メスはオスよりもヒレが全体的に控えめ。ペットショップで売られているものの多くは、オスのベタだ。ベタのオスは気難しく闘争本能が強いため、混泳には不向き。ベタ同士であっても隔離すべきだろう。また、コンパクトな容器で飼う場合は水が汚れやすいので、ベタの美観を損ねないよう、水替えは忘れずに行おう。
グラミー
ヒモ状の腹ビレが個性的な熱帯魚。かわいいだけでなく、稚エビや稚魚を襲う厄介なヒドラを食べてくれる頼もしい存在だ。有名なものには、やさしいオレンジ色が特徴のゴールデンハニーグラミー、鮮やかな赤いボディに青い背ビレが目印のオレンジドワーフグラミー、大型でドット柄のパールグラミーなどがある。
その他おすすめの熱帯魚
最後に、ナマズの仲間であるプレコやコリドラス、オトシンクルス、そして「水槽のお掃除屋さん」として重宝されるシュリンプについて紹介する。ナマズの仲間は、数千もの品種があるとされており、生体もそれぞれ異なる。たとえば、水槽の砂付近を好む魚が多い一方で、水面付近を逆さになって泳ぐサカサナマズという種類もいる。これらも上記の熱帯魚に引けを取らない人気があるので、ぜひチェックしてみよう。
プレコ
はっきりしたストライプ模様が特徴の、インペリアルゼブラプレコが有名。ナマズの仲間であるプレコは、水中の岩や木に吸盤状の口でくっつき、コケを食べる。水槽のコケ取り要員として飼育する人は多く、水槽の壁にしがみつく姿は何ともかわいい。なお、コケだけでは栄養不足になってしまうため、通常の熱帯魚と同じく餌やりは必要だ。成長すると10cmを超えるものもいるため、大きな水槽で飼育しよう。
コリドラス
ぽってりとした姿がかわいらしいナマズの仲間。低い位置でじっとしていることもあるが、水流を強めにすると、喜んで泳ぎまわる様子を楽しめる。ときおり空気を吸うため一直線に水面に上昇することもあり、非常にユーモラスな動きを見せてくれる。目の周辺がパンダのように黒くなったコリドラス・パンダや、全身が水玉模様のコリドラス・ステルバイなどがよく知られる。
オトシンクルス
プレコさながらの吸盤状の口をもち、コケを食料の一部とする南米の熱帯魚だ。オトシンクルスはスリムな体をしており、成長しても4cmほどにしかならない。オトシンクルスは水草との相性がよく、砂には潜るが水草を荒らさず、葉の表面のコケを掃除してくれる。しかも水草は、オトシンクルスが身を潜めるにも便利だ。
シュリンプ
ヤマトヌマエビやミナミヌマエビは、熱帯魚水槽のコケ取り名人だ。赤白入り混じったレッドビーシュリンプのような鑑賞用シュリンプも登場しており、シュリンプのみを飼育する人もいるほどだ。なお、小さくかわいいシュリンプだが、大きな熱帯魚と混泳させると食べられてしまうため注意しよう。種類により繁殖のしやすさは異なるが、水草をたくさん仕込んでおくと稚エビの逃げ場所になるため、ぜひ試してみてほしい。
まとめ
日本よりも温かな地域に棲む熱帯魚だが、ポイントを押さえれば日本の一般家庭でも飼育できる。初心者であれば、まずは丈夫で飼いやすい種類を選ぶことが大切だ。餌やり・水替え・水草の手入れなどの基本を押さえたら、徐々にいろいろな種類の熱帯魚に挑戦してみよう。熱帯魚は生活の癒しにもなるので、自粛中の新たな趣味として、アクアリムを始めてみてはいかがだろうか。
提供元・男の隠れ家デジタル
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